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セイギノチカラ  作者: 混沌
第三章 単位奪還作戦-VRで頂点を目指せ-
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第24話

「ま、まあまあ。宇都君、レア度10だよ!? これって、すごい事なんだよ!」


 彼らは酒場の中で、レベル上げ後の休息をとっていた。

 五月雨が落ち込みまくっている宇都を励まそうと、必死にもがいている表情をしている。


 酒場の中は混雑して、音楽やら人の声やらで騒がしくなっていた。

 しかし、座っている人たちの防具を見ると、初期装備のままの人や、なけなしの金でやっと武器や防具を揃えることができた人たちばかりである。


 このパーティは、他人の目を惹く十分な装備をしていた。


 見慣れの無いマント、水晶、そして剣。

 他のパーティに狩りに誘われたり、武器の入手場所など質問攻めにあってしまった。

 とりあえず最初のプレゼント装備で当てたとか適当な事を言っておいてごまかしておいたが。


 さて。


 宇都が落ち込んでいる理由。

「この武器、敵に対しては本当に使えないみたいですね......」

 武器のステータスであった。


 このウェポンブレイカーという武器は、武器や装備破壊の為の武器という何とも珍しい代物らしい。

 攻撃力が+9999とか書いてあったが、それは武器や防具に攻撃する時のみ攻撃力が上昇する仕組みなのだ。


「ははは! ウト、どんまいだ! だが、うまく使えば大戦力になるぞお」


 不知火がテーブルにあるビール(中ジョッキ)を一気に飲み干す。

 この世界にもガラスコップ、ビールが存在し、置いた時の音まで完全再現されている。


 ガチャ、と置くと自動的にそれは消滅した。

 用済みの物は自動的に消滅してしまう仕組みらしい。


「......レベル上がったね。どうする」

 黒が小さくつぶやく。


「おお、じゃあどこへ行くか決める前に、ここで全員のレベルを確認だ!」


「え、お、うん、じゃあ僕が確認するね......ええっと」

「五月雨ー頼むぞお!」


 五月雨はまだ覚束ない手つきで画面を操作している。


「......宇都君がレベル20、不知火さんがレベル35、黒さんがレベル30、僕がレベル28ですね」


 このゲーム、経験値がすぐ溜まりちょっと数時間プレイし続けるだけでかなりの経験値が稼げるらしい。

 スライムを一匹倒すだけでもレベルがすぐ上がるシステムだ。

 ひょっとしたら、二週間あれば本当にレベル999まで行くかも......


 と宇都が考えていると、不知火は宇都の肩に手を伸ばしてきて、がっしりと雁字搦(がんじがら)めをする。


「い!? 何するんですか、不知火さん!」

「ウトォ! 俺がしっかりお前を育て上げてやるぞ!」

「なんですかその超熱血教師的なノリは!」


 はははとパーティから笑いの声が出た。


「それにしても、あの武器は使えないから急きょ別の武器を購入して変更しましたが、ダンジョン攻略できますかね?」

「え、えと、大丈夫、じゃないかな。そこまで恐ろしいダンジョン行かなければ平気だし......」

「おお、そうだぞ、ウト! その武器は捨てずに持っておけよお!」


 宇都は先ほど急きょ購入したバスターソードをまじまじと見つめる。

 パーティで狩りをしまくったおかげでお金も溜まり、高かったが支援を得て購入することができた武器だ。


 ウェポンブレイカーより重いが、それがこの武器の特徴なのだろう。

 頑張って扱えるようになろうと彼は一人決意している。


「......で、どこのダンジョンに行くの」

「おお、黒、その話だったな! じゃあ、ここにしよう!」


 どれどれ、と全員で顔を不知火のマップに覗き込むと、【魔王の巣窟】と書いてあった。


「......あの、不知火さん? 名前的に凄まじそうなんですが」

「ちょ、その、あの! 不知火さん。ここはレベル600台向きのダンジョンだけど......知ってる?」

「ぬ、なぬ! そうなのか! それは失敬! 日本的なジャパニーズジョークだ。ははは!」


 この人、本当にゲーム得意なのか? と宇都は一人ため息をついた。

 黒は冷静にマップを見て、ここよさそうと呟いた。

 相変わらず小さな声で言うので聞き取りにくい。


「名前が、【初級ダンジョン】。なんか名前的にここがよさそうですね。五月雨さん、ダンジョン情報ってありますか?」

「う、うん。勿論あるよ。ここは、レベル5でも簡単に攻略できる本当に初級者向けのダンジョンみたい」


 五月雨が近くに置いてあるメロンソーダをストローで少しすすった。


「よし、ではそこにしよう! 休んでいる暇はない。いくぞお!」

「え、も、もうですか!?」


 休憩して十五分ほどしか経っていないのに。

 スキルのポイントも回復しきっていない。

「いやあ、楽勝楽勝! ははは! みんなで行こうぞ!」


 不知火は何キャラを演じたのか分かりかねないが、三人はしぶしぶ席を立ちあがり、外へ駆けだしたでかい図体の男の背中を追いかける。

 酒場の中は混雑していたが、時刻も深夜に近づいてきたためか、プレイヤーは休息や食事を取るためにログアウトしていく姿が目立っていた。


 人がいなくなり、がらがらになりつつあるアナザーワールド。

 しかし、彼らはログアウトする必要が無い。

 開発者不知火教授の取り計らいによるものだ。


 しかし、何としてもこのゲームをクリアしなければならない。

 その決意を胸に、宇都は走り出す。


 時刻は本当に深夜になっているようだ。

 時計には、AM1:20と表示されている。

 外で活動するプレイヤーの数も減ってきているようだ。


 その証拠に、このゲームも現実の時間帯と合わせて景色の暗さ、出現するモンスターが変化しているのだ。

 青色のスライムがいなくなり、代わりにコウモリが出てきていたり。

 温度が寒くなり、昼の活動時間より寒くなっている感覚に彼らは襲われる。


「意外と寒いですね」

「不思議なものだなあ! こんな寒さまでプログラムで表現できるなんてな!」


 先頭は剣士である宇都と、魔道剣士の不知火。

 後方には銃士の五月雨と、魔導士の黒だ。


 これで、いつ敵が襲ってきてもフォーメーションを維持しながら戦うことができる。


 敵のエンカウント率も少なく、難なく初級ダンジョンの入口へ到着した。

 ダンジョンと言えでも、まじかで見れば非常に迫力がある。


 石でできた洞窟、ではあるがブロックが几帳面に上へと積み上げられている。

 石で構成されているタワーが、そこにはあった。


 後は入り口に近づいた瞬間、プログラムか何か発動してどこかへ飛ばされるのだろう。

 ゲームなんて、そんなものだ。


「よおし、パーティ初のダンジョン攻略だ! いくぞお!」

 入り口付近で不知火が叫ぶと同時に、全員は入り口へ向かって歩いた。


 ふわっと目の前でフェードアウトが起こり、彼らを初のダンジョンへとワープさせていった。

一話一話が長すぎるのでしょうか?

ちょっと修正しようかな......と思っています 2015/02/22

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