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四つ葉の郷の物語  作者: 村野夜市


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満月祭りが終わるや否や、まっさきに旅支度を始めたのはフィオーリだった。


「え?フィオーリ?

 まさか、君も、一緒に来るつもりなの?」


びっくりしてそう言ったら、フィオーリは目を真ん丸にしてこっちを見た。


「はあ?

 何言ってんっすか?

 行くに決まってるでしょう?」


フィオーリは当然というように言い切った。


「・・・だって、君の目的は、家族を探すことだったんじゃ?」


その目的はもうかなったわけで、だからもう、フィオーリには旅をする理由なんか、ないんじゃ・・・


「はい。おかげさまであっさり見つかってよかったっす。

 これで、心置きなく、聖女様の旅について行けます。」


そう言ってフィオーリは清々しく笑った。


「ここに残って、家族と暮らすんじゃないの?」


「は?なんで?

 おいらはもう、このパーティの一員なのに?

 ああ、もしかして、みなさん、まだここにいたい、っすか?

 そんなら、いたいだけいてもらってもいいっすけど。

 あんまり長くいると、みんなから放してもらえなくなるっすよ?」


いや、ここに残りたいのは僕らじゃなくて君だろう?


「フィオーリは、家族といたい、って思わないの?」


「家族は大好きっす。

 けど、おいらはもう、おいらの仲間を決めましたから。

 家族は離れてても家族だし。

 どこにいても、空はひとつ。繋がってますから。

 同じ空の下で元気に暮らしているなら、それでいいっす。」


あっさりとそう言って笑う。


その首にマリエがいきなり抱きついた。


「わ!

 え?

 聖女様?

 って、いったい、どうしたんっすか?」


バカだね。

いったいどんだけ君は、彼女を心配させたと思ってるんだよ。


焦りまくるフィオーリに、マリエは何も言わない。

けど、その腕に、ぎゅっと力を込めた。


ここまでしてもらって分からないなんて、そんな間抜けなこと言うなら、今度こそ許さないよ?


僕は言いたいこと百個飲み込んで、一個だけにしておいた。


「この先、マリエを悲しませたらただじゃおかない。

 ついてくるんなら、それだけは覚えておいて。

 もしも約束破ったら、そのときはこの僕が、問答無用で成敗する。」


「は?

 え?

 なんでおいらが聖女様を悲しませるんです?

 てか、聖女様?

 なんか言ってください。

 へ?

 泣いて、るん、っすか?

 ひぃぇぇぇ~・・・

 なんでまた、泣いてるんっす?

 あの、聖女様?

 このままだとおいら、ミールムに成敗されるっすよ?

 聖女様ぁ~」


ふん。

今日のところは成敗はしないよ。

だって、今のマリエの涙は、嬉し涙だからね。


マリエが幸せなら、僕は、それでいい。

それだけは、今もこれからも、変わることはない。

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