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四つ葉の郷の物語  作者: 村野夜市


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マリエとフィオーリって、じっさいのところは、どうなってるんだろうね?

旅の間はずぅっと仲良くて、そういうことなんだろうって、仲間うちじゃ暗黙の了解っぽかったけど。

けど、恋人同士なのかっていうと、それもよく分かんなくてさ。

だいたい、僕らみんな、マリエのこと当たり前みたいに大事にしてるしさ。


マリエは、多分、きっと、フィオーリのこと、特別に思ってる。

けど、フィオーリのほうは、どうなんだろう?

弟妹たちや、家族や、郷のみんなを大事に思うみたいに、大事なんだろうか。

それとも、マリエだけ、特別、だろうか。


フィオーリにとってはきっと、マリエだけ特別だ、って。

そう思ってるのは、もしかして、僕だけだったのかな。


もちろん、マリエがここに残ることを選択すれば、それはそれでいいんだろうよ。

けど、マリエは、残らないって決めてるんだ。

だったら、フィオーリとマリエは・・・離れるしかないのかな?


そんなの嫌だって、そんなこと僕が言うのもおかしいけど。

でもね、嫌だよ。

だって、僕の大事なマリエは、きっと悲しむもの。

僕は、僕の大切なマリエに、悲しい思いをしてほしくないんだよ。


だけどさ、フィオーリって、誰にでも優しいから。

弟妹たちだって、フィオーリの好きな相手を間違うくらいだから。

それって、フィオーリがマリエを特別扱いしてるようには見えない、ってことだよね?


くそくそくそ。

腹立つ腹立つ腹立つ。

なんだって、フィオーリは、もっとマリエのこと、大事にしないんだ。

特別なんだって、大好きなんだって、そういって、捕まえておこうとしないんだ。


僕だったら、きっと、そうするのに。

もしも、マリエの見てくれるのが、この僕だったら・・・


フィオーリのばかまぬけあほんだら。

大事にしないんなら、僕にちょうだい。

マリエにあんなに悲しそうな目をして見つめてもらえるその場所を。

もっとも、僕なら、あんな悲しそうな顔なんて、絶対にさせないけど。


誰にでも優しいって、本当は優しくないんだ。

本当に大切な人を大切にしてないんだ。

なのにさ、マリエは、それでも、フィオーリがいいんだ。

僕より、シルワより、グランより。

百歩譲って、僕でなくても、シルワかグランでも。

フィオーリよりは、きっとマリエを大事にしてくれる。

それでも、マリエは、フィオーリを選んだんだ。


それがマリエの選択なら、僕らにはどうすることもできないよね。

マリエが、ここに残らないことを、どうすることもできないように。


マリエのこと、大切だから、その選択は、僕らの気持ちよりも、大事なんだ。


けど・・・


マリエはまた、泣くのかな?

誰も見ていないところで。

ひとりきり、声を殺して。


粉々になったフィオーリの花を、絶望したように見つめて。


そんなマリエの傍に。

僕は息を潜めていよう。

マリエに気づかれないように。


僕は、決して、マリエを、ひとりにはしない。



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