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四つ葉の郷の物語  作者: 村野夜市


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昨日は間違えて同じ章を投稿してしまいました。

読んでくださった方には、申し訳ありませんでした。

部屋に戻ると、グランとシルワは早々に寝息を立て始めた。

まあ、お腹いっぱいだし。旅の疲れも残ってるのかも。


けど、僕は眠れなくて・・・

でも、みんなの眠りを邪魔したくなくて、上掛けを被ってじっとしていた。


明かり取の窓にはカーテンがかかってるけど、お日様の光はカーテン越しに入ってくる。

外は明るいんだって思うと、なおのこと眠れない。


と、ふと。

眠っていたはずのマリエが、そぉっとベットから抜け出して行った。

みんなのこと、起こさないように気遣って、なるべく音を立てないようにしているけど。

最初から起きていた僕は、しっかり気づいていた。


そっか。マリエも眠れないのか。


話し相手にでもなろうと思って、僕もそぉっとマリエの後についていった。


家のなかはしんと静まり返っている。

みんなよく眠っているんだろう。

マリエはそんな家のなかを、そろりそろりと歩いていく。

ここで声をかけたら、誰かを起こしてしまうかもしれない。

そう思って、僕は静かにマリエの後を追う。


「・・・妖精さん?」


ふいに後ろから声をかけられて、思わず、大声をあげそうになった。

振り返ると、寝ぼけた目をしたドメニカが、こっちをじっと見上げていた。


「あ。ごめん。

 起こしちゃった、かな?」


「・・・トイレ・・・」


なんだ、トイレに起きたのか。


「トイレ・・・どっち?」


え?それ、僕に聞く?

あなたのお家でしょうに。


「・・・ト~イ~レ~。」


ドメニカはしくしく泣き出してしまった。


「え?あ、ちょっと待って。泣かないで。

 トイレね?トイレトイレ・・・

 確か、こっちだ。」


僕はドメニカの背中をそっと押しながらトイレに連れていく。

ドメニカは素直についてきた。


「妖精さん、ここで待ってて?」


トイレのドアの前で、ドメニカにそう命じられる。


「だって、トイレ、ひとりで怖いでしょ?」


今は真昼間だから、お化けは出ないと思うけどね。


「仕方ないなあ。」


僕がそう言ってうなずいたら、ドメニカは満足そうに笑ってトイレに入っていった。


トイレから戻ってきたドメニカを部屋に送ってから、もう一度、マリエを追いかけようとした。

けどもう、どっちに行ったか分からない。

とりあえず、玄関を出る。

相変わらず、鍵は開けっ放しだ。


なんとなくだけど、外に行ったんじゃないかな。

いや、あのマリエのことだから、外に行こうとして反対側に行くというのもあり得る・・・


郷の地下通路はなかなかに入り組んでいる。

景色も見えないし、おまけに薄暗い。

前に来たときにはフィオーリの案内があったから迷ったりはしなかったけど。

僕でも、ちょっと、どっちに行けばいいのか分からないくらいだった。


あっちこっち迷っていたら、むこうのほうに明るい陽射しが見えた。

とりあえずは、外に出られるらしい。

なんだか、むしょうに外の風が恋しくなった。

マリエはいないかもしれないけど、とにかく、風に当たってから帰ろう。


光を目指して飛んでいく。

薄暗い通路の先、ずっとずっと先に、明るい出口がある。


ふ、と。

なにか、思い出したような気がした。


・・・なんだろう・・・

心を過ぎったイメージは、ほんの一瞬で、すぐに消えてしまう。

捕まえようとしても、もうなにもなくて、だから、何を思い出したのかも分からない。


なにか、大事なことだった気がするんだけど・・・


晴れた霧のように、そこにはもう、なにも残っていなかった。


思い出せないものは仕方ない。

思い出せないってことは、きっと、今はまだ、切羽詰まった用事じゃないってことだろう。


僕はそう考えて、先を急ぐことにした。

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