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ユーレンス大陸史  作者: 新参猫
第一章 種間戦争
38/52

第三十六項 アルロート攻防戦 5節

どうも。新参猫です。

ブクマが増えて狂喜乱舞しております。

ブクマして下さっている方

ポイント評価して下さった方

本当にありがとうございます。

それから20分程でアンセルは二人を連れて戻ってきた。

3人共神妙な面持ちをて此方を見ている。

動揺こそしているが怯えている様子はないな。

何か聞きたそうにしているが、手で制止して話を切り出した。


「先に言っとくぞ。今回の作戦はかなり危険だ、死ぬ覚悟が出来てないなら降りろ」


「「降りる」」


3人は顔を見合わせ、口を揃えて言った。


「レティア、理由を聞こうか」


「死ぬ気は無いからですよ。何故こんな所で死ななければならないのですか」


その通りだと頷いてアンセルとアジャスを見ると、

二人とも頷き返してきた。


「よし、ならいい」


変に強がるようなら、そいつを置いていこうと考えていたが幸い誰も死ぬ気は無いらしい。

これなら連れていける。


「当初の予定通り4人で殴り込みに行くぞ!準備は良いか?」


「「おうっ!」」


歯切れの良い返事に満足して俺は歩き出す。

まあ何とかなるだろ?



ЖЖЖ



アルロートの城壁にはガナンのストレス発散で出来た穴がポッカリと口を開けていた。

丁度身を屈めれば通れる大きさだったのでそれを潜ってアルロート内部に侵入する。


「……随分酷い光景だな」


中は想像以上に酷い有り様だった。

至るところにフォルスの兵士が倒れており、特に城門付近には大量に転がっている。

全ての植物は葉を土色に変貌させて無惨に立ち枯れていた。

石造りの町並みは皮肉なほどに美しく、見るものを魅了している。

さながら死都アルロートといったところか。


「すげぇな、大将!時計搭が有るぞ。ぶべらっ!?」


町並みに見とれていたアジャスは足元に転がっていた死体に足を取られて盛大に転んだ。


「不謹慎だぞアジャス。気を付けろ」


「済まねえ大将、何かいきなり捕まれたような気がし―――」


「どうした?アジャs―――」


急に話し声が止まったので振り向くとアジャスの足が死んだ兵士の腕に捕まれていた。

思わず言葉を失い、アジャスと顔を見合わせる。

その横を颯爽とすり抜けるとレティアは微笑みを浮かべてアジャスの手をとった。


「新しい友人が作れたようで何よりです」


「誤解だ!友人じゃない!しかもアンデッド!助けてくれ、レティアさん!」


「やったねアジャス、友達が増えるよ」


アンセルは嬉しそうに手を叩いて笑った。


「おいやめろ!てか助けろよ!頼むよ!」


「ったく世話の掛かる奴だな。二人とも下がれ」


楽しそうにしているレティアとアンセルを下がらせ、右手の剣でアジャスを掴んでいるてを切り落とす。

不思議なことに血は出ない、その上腕は彼の足にくっついたままだ。

無理矢理腕を引き剥がすとアジャスは腕を遠くに投げ捨てた。


「ありがとよ大将。あー死ぬかと思った」


アジャスは立ち上がって伸びをした。

リラックスするのは構わないが後ろを気にしてくれ。


「おい、後ろ見てみろ」


「ハハハハ、大将こそ見てみろよ?」


「……」


「……」


アジャスの後ろでは死んだ筈のフォルスの軍勢が次々と起き上がっていた。

恐らく俺の後ろも同じことになってるんだろう。

既にレティアとアンセルは剣を抜き払い、構えている。

およそ5000の死兵が相手か……。

溜め息を吐いてアジャスと背中合わせになるように剣を構え、辺りを見回す。

アルロートの外に出ようにも既に囲まれており戻るのは不可能だ。


「どうする?大将。全部始末するか?」


「そうするしか無いだろ?」


死兵はジリジリと包囲している輪を狭めてくる。

手近の死兵を切り殺し俺は剣を掲げた。


「1人1250がノルマだ!異論は認めない!行くぞ!」


「「おう!」」


各々前に一歩踏み出して敵を切り裂いた。

負けじと俺も敵の胴を薙いで胸を境に分離させる。

だが死兵は上半身だけで動き、俺の足を掴もうとしてきた。

死なないのか……。

後ろを振り返るとアジャスが同じような状態になっている。


「嘘だろ!?死なねえのかよ!」


腹いせに彼が頭を踏み潰すと死兵は動かなくなった。

思わぬ収穫に呆気に取られていたアジャスだが、すぐに此方を振り返って叫んだ。


「頭をかち割れ!そうすりゃ殺せるぜ!」


試しに足元で蠢いている奴の頭を踏みつけて潰すと、それっきり敵は動かなくなった。


「ありがとよ!アジャス」


「礼を言う暇があるなら1人でも多く殺してくれ!」


そう言ってアジャスは近付いてきた敵を鼻の辺りで切り落とす。

敵はくるくると回ってその場に倒れ、動かなくなった。

成る程その方法なら手間が省けるな。

集中的に頭を狙って敵を切り裂く。

思った通り動かなくなったな。

レティアとアンセルを見るとやはり頭を切り裂いて敵を始末している。

これで少しは楽になるな。


1時間後―――。


戦いの副産物として、あちこちに死体の山が築き上げられている。

死を恐れない兵士達程、厄介なものはない。

目の前の死兵は全員捨て身の攻めを展開して此方に対抗してくる。

その上、思った以上に死兵達は統率されており、気を抜けば一瞬で命が無くなるような場面が幾つもあった。


目の前の死兵を薪割りの如く真っ二つにすると、怯えたのか死兵達は一斉に後退して此方の様子を伺っている。

額の汗を拭い、周りを見回すと他の3人も束の間の休息をとっていた。


「お前ら!何人始末した?」


「453だぜ大将!」


「私はピッタリ300です」


「408だよ!」


「そうか、よくやった!」


「大将は何人だ?」


「俺は549だ」


全員合わせて1710か。

まだ半分もいかないのか……。

フーっと息を吐くと敵が此方に突進してきた。

半身でそれを避け、頭頂から顎まで切り裂きいて始末を済ませる。


「ほら、休憩は終わりだ!行くぞ!」


「「おうっ!」」


1時間後―――。


レティアとアンセルの息が切れ始めた。

最早大丈夫とは言えそうもない、

2人共何とか気力だけで戦っている状態だ。


「おい、アンセル!レティア!無理するなよ!」


返事はないという事は、それほどまでに疲れているのだろう。

不味い、このまま行くと2人共死ぬ……。


「アジャス!アンセルのフォローに入れ!俺はレティアをフォローする」


「おうよ!」


相変わらずアジャスは元気そのものだ。

普段は無駄に元気で疲れるが、

こういうときは本当にありがたく感じる。

レティアを後方に下がらせて自分が前衛に立つと剣を構え直す。


「さーて、掛かってこい!」


その時、空から場違いな程優雅に手紙が落ちてきた。

迫る敵を蹴り飛ばし、何人か巻き込ませて時間を稼ぐ。

一瞬できた隙に慌てて手紙の封を切って中身に目を通すと、そこには一言しか書いていなかった。


“手紙を読んだらすぐに伏せて”


字体からしてレイからの手紙だ。

何か考えがあって送ってきたのだろう。


「全員っ、伏せろっ!」


俺の命令に素晴らしい反応速度で全員その場に伏せた。

その直後、頭上を数多の剣が通り抜けていく。

30秒程続いた剣の風が収まると、勝ち気で可愛らしい声が響いた。


「ほら、早く立ち上がって!魔力の供給が始まってる!」


慌てて立ち上がり辺りを見回すと、死兵は全て体を貫かれてピクリとも動かない。

余りの力の差に呆然と立ち尽くしていたが、ハッとして声の主を探すと、後方に少女を見付けた。


腰まで届く長い黒髪に銀色の目、歳は見た目から判断すると13くらいに見える。

だが、彼女が普通じゃないのは一目瞭然だ。

彼女の背中には数え切れないほどの剣で作られた翼が生えていた。

軽く羽ばたくだけで剣が2~3本矢のように放たれており危険極まりない。

その上、地面に突き刺さった剣は数秒後に彼女の翼に転移して元通りになっている。

環境に優しいな。

恐らく先程の剣は彼女が飛ばしたものだろう。


「済まない、助かった!名前を聞いていいか?」


「ミューよ。そんなことより時計搭に向かって!早くしないと取り返しがつかなくなる!」


そう言うとミューは空に戻って行った。


「お前ら!聞いた通りだ!時計搭に行くぞ!」


「「おうっ!」」


一行は時計搭に向かって走り出す。

しかし、何でデュレーン達は俺達に協力してくれるんだ?

俺の頭の中で僅かな違和感が首をもたげた。

ミュー「ただいま」


レイ「あら、お帰り。協力感謝するわ」


ミュー「感謝するのは私の方よ」


レイ「あら、どうして?」


ミュー「だって、協定のせいで暫く剣翼《ウィンダリア》使えなかったのよ!?」


レイ「分かるわ、その気持ち……」


ミュー「あぁ、そっか。レイは傍観録の閲覧以外、禁止されてるんだもんね」


レイ「手足を切り落とされた気分よ……」


ミュー「同感……」

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