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ユーレンス大陸史  作者: 新参猫
第一章 種間戦争
23/52

第二十一項 奇特な血筋

どうも。新参猫です。

RTして頂けた方、まだまだ時間はかかりそうですが

頑張って読みます。気長にお待ち頂けると幸いです。


同時刻 某所―――。


朝陽が差し、私の眠りが妨げられる。

いつもなら二度寝するけれど今日は何故か眠れなかった。

昨晩、紅茶を飲んだのがいけないのかしら?


体を起こして寝起きの微睡みを堪能していると

普段ならする筈の無いノックが鳴り響いた。


「入って」


部屋に入ってきたのは真っ白な双子。

髪は白。服も白。肌も透き通るような綺麗な白。極めつけは目の色も白。


いつもは表情が乏しい二人が珍しく慌てた顔でいる。

厄介事じゃないといいのだけれど。


「何かあったの?」


「空から男の人が!」

「降ってきたの!」


交互に話すのはこの子達のチャームポイントなのよね。

因みに髪が腰まである女の子がルカナ、

髪が首まで伸びている男の子がルカト。


それにしても厄介事を見事に持ってきてくれたわね。

仕方ないので掛けてあるマントを羽織って

立ち上がる。


「案内してくれる?」


「こっち!」

「森の中!」


二人して私の手を引いて走る。

二人とも可愛い!

でも転ばないように気を付けないと。


「あう!」

「きゃ!」


二人とも同時に転んだ。

必然的に私も転ぶ羽目になる。

可愛いけれど少し抜けているのよね、この子達。


ルカナとルカトは私よりも早く立ち上がると心配そうに此方を覗きこむ。


「レイ?」

「大丈夫?」


起き上がって二人の頭を撫でる。

ルカトは嬉しそうに目を細め、

ルカナはヘニャッと笑って此方を見上げた。


「これ好き」

「えへへ~」


はぁ、この笑顔の為に生きてる。

あ、まずい。

昨日はこのまま一時間撫で続けてたのを

忘れてたわ。

己を律して何とか手を止める。


「大丈夫よ、ほら早く行かないと」


二人を促すとトテトテと走って行った。

私も行かないと。



ЖЖЖ



森に入ると普段はしない恐ろしい気配がした。

いつもなら歩いているだけで顔を見せに来てくれる鳥達が1羽もいない。

不安なのかルカナとルカトも私の後ろに隠れて進む道を指示してくれている。


教えられた通りに歩いていくと気配の正体に辿り着いた。

そこには一頭のドラゴンが青髪の青年を守るようにして鎮座していた。

しかし恐ろしい気配はドラゴンからではなく青年から発せられている。

この人一体何者かしら?

そこから一歩近付くとドラゴンがグルルルと唸り声を上げる。

警戒するのは分かるけれど、失礼よ?


「落ち着きなさい竜の子。私はレイ、竜帝ルドラの知り合いよ」


ルドラの名前を聞くとドラゴンはその場に伏せて唸るのを止めた。

許可が下りたみたいね。

青年の横に膝をついて脈を取る。


「生きてるわね。それにしてもこの人何者?サピエにしては体が強すぎるわよ?」


私が色々思案していると、ルカナとルカトはドラゴンと戯れ始めた。


「すごーい!」

「強そう!」


二人がキャッキャッとはしゃいでいるとドラゴンが欠伸をした。

食べられると思ったのか二人は抱き合って震え上がった。


「食べないで!」

「美味しくないよ!」


・・・一瞬自分の脈が止まった気がしたけれど気のせいね。

さて、このまま放っておくのも可哀想だし連れて帰りましょう。


「竜の子。運ぶのを手伝ってくれるかしら?」


グゥと短く鳴いてドラゴンは翼を軽く広げ、

篭のような形にした。

何とか青年を持ち上げてドラゴンの篭に乗せる。


「ルカナ、ルカト。食べられないから大丈夫よ」


「本当に?」

「食べられない?」


心配なのか二人して私の手を掴んでついてくる。

転ばないか心配だったが結局そのまま家まで帰ることになった。


案の定三人揃って転び、ドラゴンに鼻で笑われたのは言うまでもない。



ЖЖЖ



家に着くと青年の武器を外し、客用のベッドに寝かせる。

いつの間にか恐ろしい気配は消え失せ彼からは

普通の人の気配しかしなくなっていた。

ちなみにドラゴンは家に入れないので外で待って貰っている。


「さて、調べようにもアレが必要ね。ルカナ、ルカト。手伝ってくれるかしら?」


「また使うの?」

「怒られるよ?」


「大丈夫よ、怒る人もいないわ」


渋々というようにルカナとルカトは頷く。

外に出ると二人は互いの手を絡ませ、

目を瞑って呪詛を唱える。


「星よ願わくば聞きたまえ」


「原始に響く鳴動を」


「終焉に轟く咆哮を」


「全ての行く末を示したまえ」


呪詛を唱え終わると光の柱が空を貫いた。

それと同時に私に封印された力が一時的に戻ってくる。


魔術を駆使して私は一冊の本を手元に呼び出した。

本の名前は傍観録。

世界における全ての出来事、人物、その他様々なものを記録している本だ。

本来ならいつでも見られるのだけれどね。

忌まわしい協定のせいで力を一部封印されたのでルカナとルカトの力を借りなくてはならなくなった。

当然だが二人にも負担があるので長時間の使用はできない。

以前長々と調べものをしていたら、二人に負担がかかり過ぎて丸一日昏睡させたこともある。

あのときは泣きながら二人が起きるのを待ったわね。


すぐに自分の記憶を参照させて傍観録にあの青年の情報を引き出させる。



名前 シュドム・アクリエス


性別 男


年齢 25


種族 サピエ*



何だろう?この*っていうマーク。

詳しく説明するように傍観録にオーダーすると別のページが開かれた。


*

亜魔族同士の子供であり、両親から魔族の血

だけを引いている。その為ほぼ純血の魔族と

言える。ただし、魔族の力は上手く使えておらず危機が迫った時にのみ発現する。



「興味深いわね、

出来ればもっと調べたいけれど・・・。

ルカト、ルカナ、ありがとう。もういいわ」


二人が絡めている手を離すと光の柱は消えた。同時に傍観録も砂のように崩れ去ってしまう。


疲れたのだろう二人はその場に座って眠たげにしている。


「お疲れ様、二人とも。ご褒美に好きなもの作ってあげるわよ」


「エヒネ!」

「飲みたい!」


二人は両手を挙げて嬉しそうに立ち上がる。

素直でいい子達!おまけに我が家の貯蔵庫事情も考慮してるみたい。

嬉しさと申し訳なさで胸が一杯になる。


「分かったわ。すぐに作るからその間

彼の事をお願いね」


「うん!」

「分かったよ!」


トテテテと二人は客室に走っていった。さてエヒネを作らないとね。



ЖЖЖ



エヒネを作り、客室にいくとシュドムが丁度目を覚ましたところだった。

ルカナとルカトにエヒネを手渡し、

彼と向き合う。


「初めまして、シュドム。私はレイ、レイ・アナリューゼ」



ЖЖЖ



目覚めると見慣れない天上が目に映った。

慌てて起き上がると白い双子とマントを羽織った薄いピンクの髪の少女が此方を覗きこんでいた。

少女は双子に飲み物を渡し、此方を向いて微笑む。


「初めまして、シュドム。私はレイ、

レイ・アナリューゼ」


名前の前に色々聞きたいんだが。


「ここは何処だ?」


「私の家、バレンド大森林の中にあるのよ。貴方空から落ちてきたけれど大丈夫なの?」


クスクスと口に手を当ててレイは笑う。

空から落ちてきた?

あぁそうだ眠くなってノーグの背中から

落ちたんだ。

何故か分からないが生きてる、体も痛くないな。

まあノーグが空中で受け止めてくれたんだろ。


ん?待てよ。何でレイは初対面なのに名前を知ってるんだ?


「レイは何で俺の名前を知ってるんだ?」


双子があーあ、と言って首を横に振った。レイは気にせず目を輝かせて身を乗り出す。


「さっき調べさせて貰ったのよ。それより貴方、面白い血筋ね。まさか亜魔族の血を引いているなんて」


「亜魔族?」


「魔族と人の混血のことよ。しかも貴方魔族の血だけを引いてるから実質魔族みたいなものよ?」


「まて、頭が混乱してきた。俺が魔族だと?」


スイッチが入ったようにレイは休むことなく説明し続ける。

見かねた双子が間に入った。


「レイ!」

「落ち着いて!」


目をギラギラさせていたレイはハッと正気に戻り、近くの椅子に座った。


「ごめんなさい。つい興奮しちゃって」


「いや、別にいいさ。それより俺の血筋がどうしたって?」


再びレイの目に嫌な光が宿る。

双子はそれを予想していたのかマントを掴んで

短めにね、と釘を刺した。


「端的に言うと、貴方は殆ど人間じゃないわ」


「待て、親父もお袋も人間だぞ」


「正確に言うとそれは間違いよ。貴方のご両親は亜魔族の生き残りなの」


「だとしたら俺も亜魔族じゃないのか?」


質問を聞いてレイは嬉しそうに再び身を

乗り出す。

ヤバい、またスイッチが入った。


「親から子に伝えられる性質は基本的にそれぞれ半分ずつなの。稀なことに貴方は魔族の血だけを受け継いだのよ!」


「それでほぼ純血の魔族か」


だとするとあの力は魔族の血が関係してるのか?親父がおかしくなったのも、もしかして・・・。


「でもよ、魔族って500年前に居なくなったよ

な?」


「そうよ。でもドラゴンもまだ生きているし、魔族が生きていてもおかしく無いと思うけれど?」


少し落ち着いたのかレイは椅子に座り直して脚を組んだ。


「1つ聞いていいか?」


「何かしら?」


「レイはその情報をどこで手に入れたんだ?」


質問された意味が分からないのかレイは

一瞬キョトンとした。

だがすぐに納得して笑う。


「傍観録を見ただけよ?」


「何だそれ?」


「傍観録っていうのは―――。」


突然、煙と共に例の老紳士が現れた。

驚きのあまりレイは目を見開いて口をパクパクさせている。

双子はピューッと脱兎の如く何処かへ

走り去った。


「それ以上は言ってはいけない。分かっていると思ったんだがね?」


「バエラ!何故戻ってきたの!」


何だレイもバエラの知り合いか。

とするとレイも計り知れない何かを持っているのか?

ルドラはドラゴンを呼べたしな、レイは何だ?


「協定違反すれすれの魔術を行使した者がいたのでね。忠告に来たのだよ」


かなり真剣な顔で話しているのを見ると、そうとう重大な事なんだろう。


ソロリとベッドを抜け出して玄関に行くと自分の武器が立て掛けてあった。

大剣を背負い、腰に剣をさす。

・・・以前よりも軽く感じるな。


そのまま外に出るとノーグが擦り寄ってきた。

ノーグは口に何かを咥えて渡そうとする。


「これは、牙か?」


牙を受け取って懐にしまうとノーグは嬉しそうにグゥと鳴いた。

まぁ貰っておいて損はないだろ。

さて、早く皆に追い付かねえと。

レティア怒ってんだろうなあ。


ノーグに跨がると俺は雄叫びを上げた。

それに合わせるようにノーグも咆哮を辺り一帯に響かせた。


慌ててバエラとレイが家から出てくる。


「世話になったな!レイ!」


「いいのよ。また遊びに来てね?」


名残惜しそうにレイは手を振る。

彼女は双子に呼ばれたのか家の中に戻っていった。


「バエラ!詳しい話を後で聞かせてくれ」


「ふむ、了解した。シュドム殿、また後で会おう」


バエラもまた家の中に入っていく。

さて、早くマイソーカに戻らないとだ。


「行くぞ!ノーグ!」


「グラァァァァア!」


力強く大地を蹴ってノーグは空に飛び立った。

しかし、俺が魔族か。

色々複雑だが・・・。

まぁ、今まで生きてこれたし、何とかなるだろ。

同時刻 上空―――。


アンセル「ねえ、レティア?」

レティア「何ですか?」

アンセル「この高さから落ちて生きてると思う?」

レティア「・・・。」

アンセル「まぁ、生きてそうな気もするけどね」

レティア「・・・はい。彼ならきっと大丈夫です」

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