第二十項 何気ない旅立ち
どうも。新参猫です。
物語が制作者の手を離れて歩き始めました。
何が言いたいかというとプロット作成当時と
違う物語が展開されています。
まぁプロット自体、3年前に書いたものですからね。
外に出ると黒い怪人と一頭のドラゴンが庭園に降り立った。
遅れて他のドラゴンも庭園に降りてくる。
リュークは人の姿に戻り、ニヤリと笑った。
「お疲れ」
「ああ、お疲れ。よくやってくれたな!」
「青いの!俺も頑張った!」
ドラゴンから下りたテヨンが嬉しそうに
跳ね回った。
リュークはテヨンの襟首を掴んでその場に
引き留める。
テヨンはバタバタと手足を動かしていたがやがて静かになった。
「落ち着いたか?」
「済まない頭領。興奮してた」
「ならいい。行くぞ」
「ああ、分かった。青いの後でな」
引き摺られながら手を振っているテヨンに
手を振り返す。
前よりも元気になってないか?あいつ。
周りを見回して確認したかぎり兵士達が疲弊している様子はない。
これならすぐにでも出発できるな。
「30分後にはマイソーカに出発するぞ!今のうちに準備しておけよ!」
「「おう!」」
返事を確認すると王宮の中に戻る。いつまでもあいつらに寝られるは困る。
ЖЖЖ
王宮に入ると土下座するワガリスと大剣を手に持ったレティアが目に飛び込んできた。
寝起き早々何やってんだよ。
周りに居る奴等は全員カタカタと震えて事の行く末を見守っている。
「何やってんだ?レティア」
「彼の謝罪と私の貞操を賭けて決闘しただけです。ほら言うことがありますよね?」
大剣を地面に打ち付けて催促するとエントランスにいる全員が飛び上がった。
「済まなかった!城を壊したのも俺達だ!その上嘗めた口をきいたのも、諸々謝罪する!済まなかった!」
「・・・正直な話許す気はありません。ですが
この城を任せられるのは貴方しかいません」
そう言うと大剣を鞘に戻し、外に出た。
ワガリスは座ったまま顔を上げると此方を向く。
「済まないな、うちのじゃじゃ馬が迷惑かけた」
「いや、あの娘からしたら。生温いだろうよ。
どうやら此処を死守するのが償いらしい。
済まない、兄弟。着いていくことは出来なくなっちまった」
「問題ない、元からそれを頼むつもりだった」
「なんだよ!元から留守番かよ!ま、頼まれたからには勤めあげて見せるぜ?」
ワガリスを立たせると祝賀ムードだった連中に視線を向ける。
目が合うと何故かビクッと体を震わせた。
何か仕出かしたのか?
「お前ら!30分後にはマイソーカに出発するぞ!今のうちに準備しておけ!」
返事を待たずにレティアを追いかける。問題を起こしてないといいが・・・。
ЖЖЖ
予想は嬉しい外れ方をした。
レティアは公国軍の兵士達一人一人に対して苦楽を共にしてくれた事を感謝して回っていた。
これなら安心だ。
突然トントンと肩を叩かれた。振り向くと嬉しそうにアンセルが笑っている。
「よう、アンセル!お疲れさん。大変だったろ?」
「まあね、でも味方が増えてからは楽だったよ」
「お前らの方はフォルスが味方についたんだろ?」
「そうなんだよ、リステナさんっていう雷の魔術が得意な人が味方についてくれてね。彼女の人望に感謝だよ、他のフォルスも味方になったんだ」
身ぶり手振りを交えてアンセルは語りた続ける。そうとう楽しかったみたいだな。楽しいのは良いことだが戦ったんだよな?
レティアを見ると相変わらず兵士に挨拶して回っている。アンセルは寂しそうにそれを見つめた。
「レティア、此処に残るのかな?」
「何でだ?」
「北を取り戻したんだよ?今度は復興に力を注ぐんじゃないのかい?」
アンセルは敢えて目を合わせないでいる。
でも、一理ある意見だな。
まあ、ワガリスに城を任せるって言ってたが。
「それはないな。ジャルジュの兵士に此処を任せる宣言してたぞ」
先程と表情が一変して、アンセルは笑顔になった。
純粋な少年だな。レティアが知ったら驚くぞ。
「そっか、なら良かった」
安心したのか自分のドラゴンの元に駆け寄ると何か話し始めた。
あいつとドラゴンが話してるのは絵になるな。
今度、絵描きを仲間にするか。
さて、俺も準備しないとだな。
「ノーグ!」
空に向かって叫ぶ。
数秒後には自分の元にドラゴンが舞い降りた。
口元に何かの肉片が付いているが気にしない事にする。
首の横を撫でててやるとノーグはグゥと短く鳴いて目を細めた。
ドラゴンて案外可愛いところがあるんだよな。
10分程そのまま戯れていると続々とドラゴンが集まってくる。
本格的に出発の準備が始まった証拠だな。
その後5分しない内に庭園はドラゴンだらけになった。
予定より早いが出発するか。
「お前ら!ドラゴンに乗れ!出発するぞ!」
「「おう!」」
兵士達は次々とドラゴンに乗っていく。もう慣れたのか中々様になっている。
アジャスは別格だが。
出発するのに気付いたのかワガリスが見送りに出てきた。
真剣な顔でレティアの方に向くと片膝をついて頭を下げる。
「ローゼンガルドの主よ!確かに承った!
我が氏族の名に懸けてこの地を守ることを
約束いたす!」
「・・・頼みましたよ!今度こそ、この地を守り抜いて下さい!」
レティアはそれだけ言うと背を向けた。
ワガリスは立ち上がり、ニイッと笑って俺の方を見る。
「兄弟!存分に暴れてこい!全て終わったら杯を交わすぞ!」
「あぁ、楽しみにしておく!」
満足気に頷いてワガリスは手を挙げて合図した。
すると、いつの間にか城壁に上がったワガリスの仲間が一斉に角笛を鳴らす。
ガハハハと笑ってワガリスは手を振った。
せめてもの餞別という事だろう。
角笛の勢いに合わせ、全力で叫んだ。
「行くぞ!お前ら!」
「「おぉぉぉぉお!!」」
雄叫びと角笛が響くなかドラゴン達は威勢良く空に飛び立った。
ЖЖЖ
空の旅は相変わらず快適だ。
先頭を飛んでいるとレティアが横に並ぶように追い付いてくる。
「何のようだ?」
「特に用はないです。・・・ただ」
「ただ?」
「ただ、お礼を言いに来ただけです」
前を向いたままレティアは素っ気なく話す。
素直じゃないな。まあ、慣れたけどよ。
「礼はいらない。こうして付いてきてくれただけで十分だ」
レティアは目を細めてフワリと笑った。
「・・・敵いませんね」
レティアがこんな顔を見せたのは初めてだったので少し驚いた。
少しは肩の荷が下りたみたいだな。
心配なこともあるが。
「・・・残らなくて良かったのか?」
「彼が居れば大丈夫です。今度こそ守りきるでしょう」
「さっきから気になってたんだが。今度こそっていうのは一体どういう事だ?」
空を見上げると、レティアは思い出すようにゆっくりと話す。
「彼は今でこそジャルジュです。ですがあの顔と剣技は騎士団長のものでした。
何の因果か分かりませんがああしてソルネアスに戻って来てくれたんですよ」
だから殺さずに謝罪で済ませたのか。
しかし、もしそうなら北の人間は殺されずに
ジャルジュに変えられたのがいるわけか。
なら、もしかして・・・。
「リューク!少しいいか?」
「何だ?」
「最近になって隊に入ってきた奴はいるか?」
「いない。発足してから追加は一切無い」
残念だ。北の人間がいるかと思ったんだがな。
世の中そんなに甘くないか。
「そうか、ありがとうな」
リュークは眉をひそめていたがやがてどうでもいいかと呟いて景色を堪能し始めた。
丁度朝陽が昇り始めたな。
あぁ、何何故か眠い。
そうか今晩寝てないんだった。
仕方ない、少し寝るか・・・。
眠る直前に聞こえたのはレティアの
叫び声だった。何かデジャブを感じるな。
アンセル「予想通り質問なしだね。どう思う?」
レティア「そういうものでしょう?
精進するしかないですよ」
アンセル「自作自演はしないんだね・・・」
レティア「正々堂々いきますよ。
それにやっていて悲しくなるので」
アンセル「成る程ね。それじゃ次回もよろしくね」
レティア「読んで頂きありがとうございました」




