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ユーレンス大陸史  作者: 新参猫
第一章 種間戦争
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第十八項 予想外の終わり、思いがけない始まり

どうも。新参猫です。

王宮の見取り図を描いていたら三時間たっていました。

3階に上がると、そこはとても大きなホールになっていた。

遥か先にある王座で猫の耳を持ち、白い目をしたジャルジュが頬杖をついて此方を眺めている。

ルナに目配せすると彼女は僅かに頷いて答えた。どうやらあれがメルフィらしい。


「ようこそ~、ソルネアスへ。歓迎するわ。ほら皆さんダンスパーティーの時間よ~」


メルフィが指をパチンッとならすと光と共にホール全体にジャルジュの兵士が現れた。


当たり前だが全員鎧を着こんで手に武器を持っているためとてもダンスパーティーをするようには見えない。

だがパーティーの時間というのは間違っていない。後ろを振り返りニヤリと笑うと全員頷いて

答えた。


「構えろ!来るぞ!」


叫んだのは俺ではなく敵の隊長だ。

なにも言わなくても皆は敵を狩り尽くさんと敵に飛び掛かった。

アジャスは相変わらず敵の頭を切り落として

高笑いをしている。


意外だったのはレティアがと北の兵士が鬼の形相で敵と切り合っていることだ。

堅実な戦い方で有名な公国軍が盾までも攻めに使って戦っている。その姿は怒り狂った魔物を連想させた。

こっちも負けてられないな。

大剣を振り回して5人まとめて斬り捨てると

声を張り上げた。


「お前らの力はその程度かっ!?

まだ足りないぞ!好きなだけ暴れてやれ!」


「「おうっ!」」


返事をすると第一部隊の兵士達は、より残虐に、より恐ろしく豹変する。

俗に言う殺人鬼モードだ。理性は消え去り、

目の前にいる獲物を前にニヤリと不気味な笑みを浮かべる。

意味がわからず笑い返した敵兵は後悔する

間もなく上半身と下半身が分離した。


阿鼻叫喚の戦場でレティアは淡々と敵を切り裂き続けている。その目には復讐の二文字が

、その口には粛清の二文字が浮かんでいる。


珍しく怒りに身を任せ、周囲の敵を一掃すると

レティアはメルフィに突進していく。

だがそれを阻むように屈強な敵兵3人が彼女を

囲んだ。

その内一人が下品な笑みを浮かべてレティアに

近付く。


「おっと?メルフィと戦いたいなら俺達と遊んでくれや。ま、ソルネアスの三巨頭に勝てるわけねえけどな」


一瞬突風が吹いたのかと勘違いした。それほどまでに強い殺気がレティアから放たれている。

その場にいる全員がレティアの殺気で動けなくなるとレティアは冷たい目で辺りを見つめた。


怯えて微動だにしない三巨頭を鼻で笑うと

レティアは大剣を構える。


「・・・貴様等如きがソルネアスの三巨頭だと?笑わせる」


大剣を一振りして三巨頭と言われる兵士の首を全て刈り取った。


驚きの余り、敵の隊長が武器を取り落としすと、けたたましい金属音が鳴り響く。

すると催眠から解けたように再び戦闘が始まった。

敵の隊長は剣を慌てて拾い、レティアに向けた。だが、残念な事に剣は手の震えによって

カチャカチャと音を立てている。

ビビってるのがバレバレだぞ?おっさん。


「な、何者だ!お前!」


「私か?フン、知らぬと言うなら教えてやろう」


背後から斬りかかる敵を振り返りざまに大剣を横に振り抜いて上下に分断する。

そして改めて隊長に向き合った。


「我が名はレティア・ローゼンガルド。公国の王女にして第十二代目ローゼンガルド家当主だ!」


レティアが名乗り上げるのを聞いて元公国軍の兵士は雄叫びを上げた。まるで主の怒りを代弁するかのように。

対する敵の隊長は狼狽してヨロヨロと後退りした。

「ば、バカな!王家の人間はおろかソルネアスの人間は全て殺した筈だ!

何故生き残っている!?」


怒りに表情を歪ませるとレティアは大剣を振り上げた。


「知る必要はない。失せろ」


怒りに身を任せ大剣を振り下ろす。

敵は咄嗟に剣で攻撃を受けたが剣ごと真っ二つにされた。死体が左右に分かれるのを見て殺したことを確認すると、レティアは糸が切れたようにその場にへたり込んだ。


だが待っていたかのように背後からは敵兵が恐る恐る近付き、やがて剣を振り上げる。


「させるかよ!」


咄嗟に俺が投げた剣は敵の心臓を貫いた。急いでレティアの傍に寄り死体から剣を引き抜く。


「済みません。力が抜けてしまいました」


「別に良いさ、それよりよくやった!」


「何がです?」


「強そうな敵兵3人を撃破しただろ?」


「あぁそれですか。それよりもメルフィを」


俺が王座に目を向けると、メルフィは退屈そうに欠伸をして手を振ってきた。嘗めた事しやがって。その首はね飛ばしてやる。


「アジャス!レティアを守れ!俺はあの糞猫の首を取る!」


「分かったぜ大将!後でメルフィの首をくれよ?」


言っている事が少し理解できないが、よしとしよう。

一気にホールを駆け抜けると玉座の前で武器を構える。だが、相変わらずメルフィは玉座に座ったままだ。

それどころか笑って此方を見上げる余裕さえ見せている。


「何で殺されるかもしれないのに

笑ってるんだ?」


「創造神様からここで死ねと

御啓示されたからよ~」


「創造神?」


「エッカ・ボッカのことよ」


魔腕で敵を蹴散らしながらルナは走ってきた。

ルナを見るとメルフィは目を細めて微笑を浮かべる。


「あ~ら、ルナじゃない?裏切り者の仔猫さんが何の用かしら~?」


尻尾をユラリと動かすとルナは魔腕をメルフィの頭に突き付けた。それでも彼女は焦る様子がない。


「分かるでしょう?貴女ならね。けれど自慢の魔術を殆ど使わないのは何故かしらね?」


「使って欲しいの~?でも創造神様に使うなって言われてるのよね~」


「何を隠してるのかしら?」


「さぁて、何でしょうね?

言えないのが残念よね~」


舌打ちをするとルナはメルフィの頭を潰した。


こうして呆気なく戦闘の幕が降りた。

敵はその後も戦いを続けたが結局全滅して、その屍を晒した事となる。荘厳なホールは血の海に

成り果て、さながら襲撃されたワイナリーのようだった。



ЖЖЖ



外を見ると辺りはすっかり暗くなっていた。

仕方ないので二階に降り、兵士達は部屋を借りて休養する。

余りいい気分でもないので階段に一人で座っているとルナが隣に来た。


「レティアはどうしてる?」


「折角レディが隣に座ったのに聞くことは他の女の事?心配なのは解るけれど不粋よ?」


「で?どうなんだ?」


「つれないのね。・・・今は自室で寝てるわよ」


「そうか」


レティアはメルフィが死んだ後、微笑んで立ち上がろうとした直後に意識を失った。

幸い過労であることが判明したので二階にある

レティアの自室に運び込んで様子を見ている。


外の敵兵はドラコン達に恐れをなしてソルネアスから逃げ去ったらしい。少なくとも街には人の気配が無くなっていた。


「鉱山の方はどうなった?」


「フォルスの一部が味方について何とか制圧したらしいわよ?」


「なら、そいつらに警備を任せて合流するよう

伝えてくれ」


「あら?信用するのね」


「リュークが仲間と認めたなら問題ないだろうしな」


そう言って天井を見上げる。どうも引っ掛かる。メルフィが何を隠しているのか分からなかった以上、マイソーカに一刻も早く戻らないといけない。


「にしても、殺さなくても良かったろ?」


「分かってないわね。エッカから口封じの魔術を掛けられてたのよ。喋りたくても喋れないわ」


連絡魔石を弄り回しながらルナは溜め息をついた。

溜め息を吐きたいのはこっちだ。今回の戦い違和感しかない。しかも予想が一切できない。

疲れているからか?


「済まない、少し休む。リューク達が来たら騎士団長の部屋にいるから、伝えに来てくれ」


「分かったわ」


立ち上がって部屋に向かう。騎士団長の部屋に行くには必然的にフロアの端から端に移動する事になる。片道30分くらいか。・・・遠いな。


どうにか部屋にたどり着き、ベッドに身体を横たえた。

何もないといいが。



ЖЖЖ



ドンドンッと部屋を乱暴にノックする音によって叩き起こされた。何があった?

もう少しで寝れたってのに。


「何事だ!」


「起きろ大将!敵襲だ!」


敵襲だと?このタイミングで来るか?

普通に考えて。


「何処に、どれだけ居る?」


「既に市街地に侵入された!

数は2000くらいだ!」


おいおい、笑えないぞ?

直ぐにドラゴンで脱出しないとヤバいな。


「レティアは起きたか?」


「それが、いくら揺すっても起きねえんだよ!」


寝てるやつをドラゴンに乗せるのは無理だ。


「仕方ない!俺が起こしに行く!」


ドアを開けると冷や汗をダラダラ流すアジャスが待っていた。そんなに焦るってどんな敵が来たんだ?


「大将、仮にレティアさんが起きなかったらどうする?」


「決まってるだろ?起きるまで敵を抑える」


やっぱりか、と溜め息をついているアジャスを置いてレティアの部屋に向かった。



ЖЖЖ



レティアの部屋に着くと中からルナが出てきた。此方に気付くと、いつになく真剣な顔で此方を見つめてくる。


「レティアの容態は?」


「眠り続けてるわ」


「起こせないのか?」


「何やっても起きないのよ。あれは普通じゃないわね」


と、その時。遠くで叫び声が聞こえた。見れば息を切らしたアジャスがようやく追い付いてきたところだ。


「今度はどうした?」


「大将!寝たやつが全員起きなくなった!」


「あ?寝言は寝ていえ」


「寝たら終わりだ大将!今全員に寝るなって伝えて回ってるところだ!それじゃあな」


再びバタバタと何処かへ走って行った。騒がしいやつだな。


ルナを見ると真剣な顔で何かを考えている。そして唐突に窓を開け猫の姿に変わるとそのまま外へ走り出してしまった。


何か考え合っての事だろう。しばらく待つか。

ってそんなことしてる場合じゃない。

敵襲だった。起きてる奴等を全員集めるか。



ЖЖЖ



アジャスを手伝わせ、起きている全員を一階の

エントランスに集めた。

数えてみたが32人しかいない。だが状況は変わらない、これだけでやれることをやる。


「知ってるだろうが、一度寝たら二度と起きられなくなった。そういう訳だ敵を蹴散らしながら眠気覚ましといくぞ!」


数人が首を傾げているのが見受けられた。

言っている事が支離滅裂なのは理解している。

けど事実だから仕方ないだろ?


「作戦はこうだ。ここで全ての敵を迎え撃つ!

質問はっ!?」


誰も何も言わない。異論も質問も無いと見た。


「よし!2階には蟻一匹通すなよ?全員生きてマイソーカに戻るぞ!」


「「おうっ!」」

いかがでしたか?

またお会いできることを願っています。

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