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ユーレンス大陸史  作者: 新参猫
第一章 種間戦争
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第十五項 密かに迫る危機

どうも。新参猫です。

早くも一章が終盤に入りました。

まだまだ頑張ります。


目が覚めると胸の辺りに重みを感じた。

体を起こそうとすると見慣れた青髪が視界に入る。

どうやらレティアが俺を枕にして寝ているらしい。


仕方ないので寝たまま頭を撫でてやると後五分と寝言を言って手に抱き付いた。

クソッ柔らかい感覚に手が包まれた。

いつも鎧を着ているから知らなかったがレティアは中々凄いものを持っているらしい。

俺は紳士だから何の事かは言わないでおく。


理性が瓦解する前にレティアを揺すって起こす。レティアは顔を上げると目を見開いて手を離した。


「目が覚めたのですか!?あの後眠り続けてたんですよ?」


「今の日時は?」


「エウル暦460年、夏節の63日ですよ。しかも夕方です・・・。かれこれ18時間寝てたんですよ!」


「済まないな」


今度こそと起き上がろうとするとベッドに押し戻された。


「まだ動かないでください。すぐに医師を連れてきます!」


そう言うと急いで部屋を出ていってしまった。よかった、抱き付いたことは覚えていないらしい。



ЖЖЖ



5分程するとレティアは医師(アジャス)を連れてきた。

相当混乱してるな。

誰がどう考えてもこいつだけは連れてこないだろ。


「お前医者じゃないだろ?」


「いやいや。俺だって人の体を切ったことくらい有るぜ?立派な医者だろ?」


「麻酔もしないで良く言う。で、何の用だ?」


「いや、ちょいと気になることがあってよ。済まねえが席を外してくれるか?レティアさん」


「え?あ、分かりました・・・」


少ししょんぼりするとレティアは部屋の外に出ていった。


「で?人払いして話す内容はなんだ」


「単刀直入に聞くぜ?何を企んでる?

ジャルジュの兵士を受け入れたり。

訳の分からない化物を招き入れたり。

いくら頭の弱い俺らでも何かあるのは

分かってんだ」


「何を聞くかと思えば、でも話すには丁度良い時期だな。・・・北を取り戻すぞ」


驚いてアジャスは思いっきり俺の足を叩いた。

痛えよ馬鹿。


「はぁ!?本気かよ?大将」


「本気だ。決行は明後日だ今日中に出撃メンバー決めないとな。

先に言っとくが50人選抜するつもりだ」


「もっと早く言えよ!全員に伝えてくるぞ」


「おう!頼んだ」


アジャスが慌ただしく走り去ると代わりにレティアが部屋に入ってきた。

見れば手に大量の紙を持っている。

嫌な予感がするな。


「それはなんだ?」


「兵士の名簿と自己申告式の経歴書です。メンバー決めないとですよね?」


机に全ての紙を乗せるとドンッという重い音がした。

レティアはこちらを向くとニッコリ笑う。


「さあ、やりましょうか?」


誰か助けてくれ。



ЖЖЖ



作業が終わる頃には夜になっていた。

何せ3300人の兵士から50人を選抜しろというのだ。

無茶過ぎる。

その上これを二つの隊に分ける作業も敢行した。色々疲れた、早く飯が食いたい。


どうにか作業を終えるとレティアは夕飯を取りに部屋を出た。

何やら騒がしいと思い外を見るとジャルジュの娘が誰かに絡まれている。

絡んでいる相手を良く見ると見覚えのある顔だ。思わず窓を開けて叫んだ。


「アジャス!問題起こすな!」


唐突に名前を呼ばれて驚いたのか、アジャスはキョロキョロと辺りを見回す。

やがて、俺を見つけると石を投げて抗議の声をあげた。


「うるさえぞ大将!人の恋路を邪魔すんな!口説いてる最中だぞ!」


「え?私、口説かれてたの!?晩御飯の話しじゃなかった?」


窓を閉めてゲラゲラ笑った。

どんな口説きかたしたら晩御飯の話題と勘違いするんだ?

何にせよ愉快だ。落ち込んだアジャスが見れると思い窓の外を再び眺める。


一瞬理解が追い付かなかった。

何故か今度は殴りあっている。

何も見なかった事にしてレティアが夕飯を持ってくるのを待った。



ЖЖЖ



「本当ですか?作り話ではないのですか?」


今起きたことをありのままに伝えるとレティアは訝しげな顔をしている。

それが普通だ。

俺もいまだに理解できていない。


ちなみに夕飯はラファコ(肉を詰めて揚げたパン)とトトルのスープだった。


トトルは大陸中部で採れる野菜で。

最初とても美味しいが、噛み続けるといきなり苦くなるので食べるときに見極めが必要となる。


北で育ったレティアはそれを知らなかったらしい。

暫く幸せそうに味わっていたが、やがて涙目でこちらを見てきた。


「何ですか?これ」


「トトルだ。噛みすぎると苦くなるからな」


「もう少し早く聞いておけばよかったです」


口直しに何かを食べようとするが自分の皿の上には何も残されていない。

可哀想なのでラファコを半分渡してやるとペロリと食べた。


「ありがとうございます。助かりました」


「気にするな。誰もが通る道だ」


自分の分のラファコを口に入れる。

可もなく不可もなくという感じだ。

昨日食べた骨付き肉が美味しすぎたせいで他の肉料理が霞んで見える。


「そういやテヨンと話せたのか?」


「はい。あの後テヨンが訪ねてきて普通に話せました。昨日もテヨンの紹介でジャルジュの友人が一人増えましたよ」


ハンカチで口元を拭い、嬉しそうに言った。

ひとまず安心だ。隊長格が協力し合えないという最悪の事態は避けられたらしい。


と、その時。タシタシという窓を叩く音がした。そちらを見ると見覚えのある黒猫が窓を

叩いている。

急いで窓を開けるとヒラリと部屋の中に入り

人に姿を変えた。


「ルナ、どうした?」


「落ち着いて聞いて頂戴。南の伝令猫から

連絡があったわ。

南の軍が包囲陣を突破されて敗走したそうよ」


さすが元猫。猫を使って各地の情報をかき集めているらしい。って感心している場合じゃない。


「クソッ、思ったよりも早過ぎる。敵は今何処にいる?」


「既に南の本拠地に向かって侵攻中よ。明後日の朝には到着するでしょうね」


「時間が無い。今日中にメンバーを発表して隊の編成も作戦も伝える。

レティア!ルナ!手伝ってくれ」


起き上がろうとするとレティアが止めようと肩を押さえ付ける。


「まだ寝ていて下さい」


言っている事は至極真っ当だがそんなことをしている場合じゃない。

肩に置かれている手を何とか押し戻す。


「いや、もうゆっくり出来そうもない。明日の早朝に出撃できるようにするぞ」


「・・・分かりました。無理はしないで

下さいよ」


「善処する。ルナはバエラにドラゴンを早朝に呼ぶよう伝えてくれ。あとリュークにも頼む!」


「分かったわ」


猫に姿を変えるとすぐに窓の外へ出ていった。


「レティアは第二部隊とアンセルに対する

通達を頼む」


「分かりました」


小走りでレティアは第二部隊の兵舎へと向かう。さて俺はあいつらの所か。

正直全く気が進まない。

文句ばっかり言うだろうしな。



ЖЖЖ



30分で第一部隊に出撃メンバーを伝えると

思った通り批難の嵐が起きた。


「おいザック!静かにさせろ」


「その前に大将!何で俺が留守番なんだ!?」


こいつがこの調子じゃ静かになら無いな。

仕方がないので剣を抜くと5秒で静かになった。やればできるな、お前ら。


「いいか、黙って聞けよ?」


剣を掲げ言うと揃いも揃ってコクコクと首を縦に振った。


「南の包囲陣が破られたと連絡があった。こうなれば敵が此方に来るのも時間の問題だ!

だから俺は最高の隊長代理と最高の兵士に留守を任せる!分かったか!?」


「「おう!」」


「よし。隊長代理はザックに任せる!

文句がある奴は?」


シーンとして誰もなにも言わない。

どうやら問題はないらしい。


「よし、明日出撃する奴等はもう休め。早朝に出撃だからな!」


それだけ言って剣を収めると兵舎から出る。

地上に戻る階段の途中で兵士達の歓声が聞こえてきた。


この調子なら死ぬ気で守り抜くだろう。


これで安心して出掛けられるな。

いかがでしたか?

絵を描いてくれる方を募集しています。

詳しいキャラクターの姿が知りたい場合は御連絡下さい。

それではごきげんよう。

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