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神造世界の世界録(ワールドメモリー)(旧:創破神の異世界修行)  作者: 虎號赤椿姫
第一章 異世界への旅立ち編
13/14

1-11 神の子、本気を出す

久々の投稿です。

小説と違って現実は厳しいです・・・

 俺を殺そうとシャドウウルフが襲いかかってくる。痛みで思考がまとまらないが、それでもやるべきことは分かる。目の前の敵を殺し仲間を救うこと。それさえ分かっていればあとは奴等を皆殺しにするだけだ。

 俺は立ち上がる。シャドウウルフに向けて右手をのばす。シャドウウルフが俺の右腕をも食おうと噛みつこうとしたとき、俺の右腕から黒い稲妻が放たれシャドウウルフに直撃し、鳴き声すら発することなく地面に落ちる。勝利を確信していた男は絶句し、守られていたレオナも放心状態だ。

 先程の黒い稲妻は破壊の権能。どうやらまだこの世界と俺の魂が馴染んでおらず破壊の権能も可視化されているようだ。

 封印の印が食われたため使用可能になった破壊の権能はシャドウウルフの魂のみを壊した。故に外傷はない。そのことも彼女らを驚愕させた要因のひとつだ。


「な、なにが・・・おい!シャドウウルフ!起きろ!」


 ようやく(事態は把握しきれていないが)盗賊の頭が反応する。


「無駄だよ。そいつはもう死んでるよ」


 俺は腕の痛みを耐えながら立つ。その場にいる者、魔物も含めた全ての者が俺を見る。その顔にはいろいろな感情を混ぜたような複雑な表が刻まれていたが、どの者にも多量に含まれていた感情は[恐怖]だった。特に盗賊達からはほとんど恐怖の感情しか見てとれなかった。


「お前は何者だ!?」

「あんたらに教える気はない」


 俺はそう言うと黒い稲妻が纏われた右手を盗賊の頭に向ける。頭は後退りながらも魔物と手下達に命令を下す。


「レッドウルフ、ファイアウルフ!その男をすぐさま殺せ!ゼルは離れて魔法で攻撃しろ!」


 命令に従いゼルが合流し、手下達は魔法で攻撃し、魔物達は一斉に俺に飛び掛かってきた。

 頭に向けていた手を天に向ける。黒い稲妻が右手から全身に行き渡り、右手から枝分かれのように黒い稲妻が拡散する。それがレオナ達にはまるで意思をもつかのように避け、魔物達だけに当たり魂のみを消滅させ殺す。

 さらに手の黒い稲妻は俺の全身に広がり俺に向かい飛んでくる魔法を次々に消し尽くす。それにどれだけの威力があろうと関係なく消えるのみ。


「なんなんだそれはっ!?魔法なのか!?」


 盗賊の頭の言葉はその場の創輝以外全員が思っていることだ。特にその力を振るわれている盗賊達は一層強い疑問と恐怖を抱いているだろう。俺は敢えてその言葉を無視する。


「くそが!聞いてねえぞこんな奴は!ぜ、全員だ!全員で攻撃するぞ!どんな能力だか知らないが穴はあるはずだ!」

「り、了解っす」


 盗賊達は俺を包囲し、攻撃してくる。近接攻撃や魔法の遠距離攻撃で俺を何とか殺そうとする。しかし、近接攻撃なら俺に触れたところが消滅し、魔法は先程と同じように消え去る。

 攻撃し続けた盗賊の頭はいくらやっても傷ひとつつかないことに焦り、次第に発狂しはじめた。


「う、うがぁぁぁぁぁ!」


 俺はそれをいにかえさずそいつを仕留めるために次の行動を起こす。纏った稲妻を前に集める。それをエネルギー砲のように撃つ。

 それは盗賊の頭に一直線に、障害物や魔法を消し去りながら進み、やがて直撃し、盗賊の頭の上半身(・・・)を吹き飛ばす。魂を消したのではなく体ごと消したのは見せしめのためだ。


「「「「・・・」」」」


 敵のみならずナディアナも茫然自失している。それも仕方のないことだろう。何せ魔法かも定かでない防御不可能な攻撃など非常識にもほどがあるのだから。

 俺は盗賊達に向け一歩踏み出す。その音で皆、我に帰。ナディアナは驚愕したまま固まり、敵は恐怖の感情を滲ませ俺に背を向けて逃げる。


「逃がさない」


 また一歩踏み出した、が次の瞬間俺の視界は地面で満たされた。倒れたと認識したときに俺の意識は薄れていった。


 /-/

 ロック視点


 俺達が危機に陥ったとき別行動していたソーキとナディアナが駆けつけた。

 ナディアナは息が上がっているがソーキは平然としている。ソーキとは知り合ったばかりで謎が多いが、ナディアナは魔法使いだが接近戦も出来るため体力はそこそこある。なのでソーキはそれだけ体力が多いということだ。


「ナディアナは向かってくる二人とゼルと呼ばれたやつの相手を頼む。俺はレオナを守りながら魔物の相手をする」

「いくらソーキが強くても無理よ!」

「じゃあ早めに盗賊を倒して援護して。来るよ!」


 そのままソーキは大量の魔物に向かって駆け出す。

 俺は這いつくばっていることしかできない自分の無力さを呪いたいくらいだった。


「大丈夫!?ロック?」

「ナディアナ、か。俺は平気だが、マットが」


 何とか返事をする。それを聞いたナディアナが俺とマットに回復魔法をかけ、俺に解毒薬を渡す。


「ごめん。今はそれくらいが限界。あとは奴等をどうにかしてからね」

「ああ、ありがとう。危なくなったらナディアナだけでも逃げろ」

「そんなこと言っても逃げないってわかってるくせに」


 俺は解毒薬を飲み立ちあがるが麻痺のダメージが完全に消えてないのでふらつく。


「じゃあ背中は任せたよ!あとマットもね」

「ついでみたいに言ってやるなよ・・・」


 ナディアナは詠唱を始め、俺は剣を構える。

 最初にナディアナの後ろ、俺の目の前の盗賊が仕掛けてきた。


「魔力よ、流水をもって標的を穿て!」


 水属性魔法を使い攻撃を放つ。

 俺は剣を抜き魔法を迎撃する。俺の剣に当たった魔法はスッパリと切れるとそのまま弾け散った。


「それが魔法剣の力か。厄介だな」


 そう。普通の剣では魔法に対抗できない。俺の剣の能力は剣身に触れた魔法の魔力を霧散させると言うものだ。これのお陰で俺はCランクになれた。


「是が非でも欲しくなったなぁ!」


 盗賊は瞬時に肉薄し斬りかかってきた。それを受けるのではなく受け流す。

 盗賊はバランスを崩しよろける。その隙を逃さず盗賊の背中を突き刺すと血が溢れ、剣を紅く染め俺の顔にも飛び散る。

 やはり盗賊といっても人を殺すのは慣れないな。


 ナディアナは風属性魔法の広範囲攻撃で攻撃する。竜巻が起こると盗賊二人に向かっていく。一人、ゼルは回避したが、もう一人は飲み込まれて上空に吹き飛ばされる。落ちてきた盗賊の姿はあらゆるところを切り刻まれた無惨な姿になっていた。


「これで、あんた一人だけよ」

「お前はケインズの仇だ。楽には殺さんぞ」


 俺は剣をゼルに向け、ナディアナは杖を構える。


「へぇ、なかなかやるじゃんか」


 対してゼルは構えもせずにこちらを観察していた。飄々とした態度に憤る。


「じゃあ、まずは面倒な後衛から無力化するかぁ」


 その言葉に俺達は身構える。

 しかし、ゼルは一歩も動くこともせずにこちらに手を向けた。


「きゃあ!?」


 後で悲鳴が聞こえ、振り向くと木が生物のように動き、枝や根でナディアナを拘束していた。


「ナディアナ、平気か!?」

「大丈夫よ。これくらい私の魔法で《魔力よ!焼き尽くす炎となりて焼き焦がせ!》」


 ナディアナが詠唱するが魔法は発動しなかった。


「なんで!?」

「あぁ。それは魔力を吸収する特別な木だ。それに触れられている間は魔法が使えなぁい。ちなみにぃ、吸った魔力の分だけ固さが増すから剣でも切れないぜぇ」

「だが俺にはこの剣がある。それも魔法でできているなら切れる」


 俺はナディアナを拘束している木に向かって剣を降り下ろす。魔道具や魔法を斬り捨ててきた俺は今回も斬れる、そう思っていた。しかし、帰ってきたのは鉄と鉄がぶつかりあったときのような音と振動だった。


「なっ!?」

「なぁ?無駄だろぉ。お前の剣は魔力を切ることはできるが魔力で強化されたものは斬れない。それを斬れるのは勇者の聖剣くらいじゃないかぁ?つ・ま・り、無駄ぁ。ヒャハハハ!」

「ならば術者を斬ればいい!」


 自分自身に身体能力強化をかけてゼルに向かって疾走する。足にのみ集中してかけたため地面が陥没しとてつもない速度が出る。


「そう来ると思ったぜぇ」


 ゼルは頬に笑みを浮かべこちらに手を向ける。その先から火球が生まれる。魔力をこめる度に一回り大きくなり、放たれるときには人が一人飲み込まれるほどの大きさになっていた。


「効かないのは知っているだろう!」


 俺は苦もなく火球を切り裂く。俺の剣の性能を知っているのにお粗末な攻撃に違和感を覚える。


「あぁ、知っているさ。効かないだろうなぁ、お前には(・・・)なぁ?」


 その言葉を聞き、ナディアナのほうを見るとそちらにも火球があった。


「並列発動と多重発動の合わせ技だぜぇ。一つに幻影魔法をかけるとこんなこともできるんだ。どうする?俺を斬るかぁ?それともそっちの女を助けるかぁ?」

「くそ!下劣な奴だ!」

「誉め言葉として受け取っておくぜぇ」


 足に力を入れてブレーキをかけて止まるとナディアナの方に進行方向を替える。


「私は大丈夫だから奴を斬って!」


 と、ナディアナは言うが


「そんなこと言ってもナディアナを助けるってわかってるだろ?」


 先程ナディアナに言われた言葉と同じように返す。

 彼女も実際は強がりで言っているのだ。当たれば彼女も無事ではない。最悪死ぬ可能性もある。

 火球とナディアナの間に庇うように割って入る。剣を振りかぶり、迎撃しようとしたとき、指をならすパチン、と言う音がした。音が響き渡り剣が火球に触れた瞬間、火球が爆発した。


「ぐああああ!」


 爆発の熱と衝撃は俺の体を焼き、地面に叩きつけた。その一撃で俺の意識は刈り取られた。


 /-/

 ナディアナ視点


 私が捕まり、ロックが敵の魔法を受けて倒れた。まだ息はあるようだが、火傷がひどく早く治癒しなければ後遺症が残る恐れがある。なんとしてもこの拘束から抜け出し奴を倒すべく考えを張り巡らせる。

 この木といい、魔法の技術といい、いったいこの人物は何者なのだろうか。ゼルの顔を見るとあることに気がつく。それは耳。耳が長く尖っているのだ。そして、その特徴を持つ種族はひとつだけだ。


「あなた、まさかエルフ!?」

「ん?やっと気付いたかぁ。まあ、純粋なエルフじゃねえハーフエルフだがなぁ」


 純粋なエルフではないにしろその血が半分は混ざっているということ。エルフは膨大な魔力と知識を有する種族で、人族とは比べ物にならないくらいな魔法の高度な技術を持っているのだ。


「なぜハーフエルフがこんな盗賊達に力を貸す?」


 エルフよりハーフエルフのほうが圧倒的に数が少なく、街などでもその技術と力があれば冒険者や盗賊などにならなくても裕福な生活ができるはずだ。


「親父が盗賊の頭領で母は拐われたエルフでなぁ。まあ生まれ自体がこんなだからなぁ。うちの盗賊団は家族みたいなもんだ。その家族を殺してくれたんだ。このあとはどうなるかわかるよなぁ?」


 私は必死に逃げようと木を振りほどこうとするが魔力を吸収され力も出ず、ただ揺れるのみだった。


「ああぁぁぁぁぁぁ!」

「ハッ。あっちも大詰めみたいだなぁ」


 少し離れた所からソーキの苦痛に満ちた叫び声が聞こえた。拘束されているため見ることは出来ないが相当な深傷を負わされたのだろう。


「ボスの命令でもあるしなぁ。生かして捕らえるが・・・」


 ゼルは一旦言葉を区切り、こちらに向くと下卑た笑みで笑い、


「死んでたほうが良かったと思うようなことになるだろうよぉ?まあ男どもは死んでもら・・・」


 そこまで言うとゼルは私を見て途端に驚く。いや、私の後ろにいるソーキ達に驚いているのだ。


「な、なにが・・・おい!シャドウウルフ!起きろ!」


 盗賊の頭領が驚愕と困惑の混じった声をあげる。


「レッドウルフ、ファイアウルフ!その男をすぐさま殺せ!ゼルは離れて魔法で攻撃しろ!」


 次第に焦りと恐怖の感情も露になり、最初の堂々とした態度が崩れていく。


「はぁー。どうなってるか知らんがお呼びのようだ。あっち片付けたらまた来るからまってろよぉ」


 ゼルもソーキ達の戦いに加わる。魔法が打ち出される音や魔物の唸り声が聞こえるが次第に静かになってくる。そして私の真横を黒い稲妻が通りすぎていく。


「きゃあ!」


 何故か私は拘束から逃れ地面に落ちた。私を縛っていた木は何故か途中で切れていた。


「そ、そうだ!ロック!大丈夫!?」


 ロックのもとにふらつきながらも駆け寄り安否をたしかめる。ひどい怪我をしており、もはや虫の息だが辛うじて生きていた。私自身もまた魔力がなく、満身創痍であるため唯一戦える状態であろうソーキへと助けを求めようと目を向ける。


「な、なにこれ」


 そこにはソーキを中心として、周りには事切れた魔物と盗賊の亡骸が横たわっていた。

 感情が一切合切消えたソーキの顔を見て、恐い、そう、思った。思ってしまった。

 今日知り合ったばかりだが言葉遣いや一緒にいるレオナちゃんを気遣う優しさなどから温厚でいい人だと思った。そんな彼が無表情で人や魔物を次々に殺していく様は信じられなかったし、信じたくなかった。

 先程まで私達を苦しめていたゼルでさえ恐怖で顔が引き攣っている。全ての攻撃を消し去り、敵を殺していく圧倒的で残虐なソーキの姿はまさに化け物のようだ。

 しばらくするとソーキは躊躇いなく盗賊の頭を殺した。下半身だけを残しこの世から消した。そんな常識はずれの力を見せつけられた盗賊達は我先にと逃げていく。それを追おうとするソーキだったが血を流し過ぎたせいかその場に倒れる。


「ソーキ!」


 私は心配になり駆け寄ろうとするが先程のソーキの顔を思い出し、恐怖でソーキに近づけなくなる。

 そんな私には気付かずにソーキに駆け寄るレオナ。回復魔法を必死にかけている。その光景を見て私は自分を非難する。ソーキは私達を助けたのだ。そんな命の恩人ともいえるソーキを私は恐がり、すぐさま治療に向かわなかったのだから。

 少しの罪悪感を感じつつ、ロックを抱えてソーキのもとへ向かうのだった。




多少でもおもしろくなっていればいいんですが(^^;

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