第2章 寄付の抜け穴と追放された経営顧問
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朝日は高くなり、応接室の窓を越えて、部屋の中に影を落としていた。
部屋の空気はさらに重くなっていた。
マルクスが初めて笑みを消した。
椅子を引き、ゆっくりと立ち上がる。
背が高い。
その目はアルフレッドのことを勘定しているように見えた。
「ひとつだけ申し上げてよろしいでしょうか」
「聞こう」
「この契約は、代官殿と我が商会との間のものです。
おっしゃる通り、領主様の承認は制度上、形式にすぎない。
あなたがここで止めても、代官殿が署名すれば契約は成立する」
「第22条」
アルフレッドは最後の頁を開いた。
「『領主の同意なき場合、本契約は効力を生じない』。
これは初めて見た。
あなたが入れたんだろう。
領主が反対した時、代官の独断だったと言い逃れするための条項だ。
複雑にしすぎたことが裏目に出たな。皮肉なことに今、これが効いている……違うか?」
マルクスの唇の端が動いた。笑ったのか舌打ちしたのか判別がつかなかった。
「……その条項は通常、形式的に扱われるものです。契約書にも柔軟性が求められますから……」
「柔軟性?!そちらに都合よく契約を成立させるための欺瞞じゃないか!」
マルクスの目をまっすぐ見つめたままアルフレッドは続けた。
「塔を売りつけて味を占めたつもりかもしれないが、これからはそうはいかない!
父の副署はしない!
第22条に基づき、領主代行として、この契約への同意を拒否する!
同意なき契約は効力を生じない。この契約は、成立しない!
さらに領主の統治権において、マルクス魔導コンサルティング商会との一切の契約を停止し、本日付で、領内での営業を禁ずる!
御社だけではない!
今後我がヴェルン領はあらゆる不当な搾取と戦い、財政を立て直し、不交付を、自立を目指す!」




