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今日もキミはガラスの靴を落とす  作者: 次野/うずらの


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9/10




「それで――――トウリ(こいつ)らないのか?」




 傷心しょうしんしているエルサのかたわらで、死神しにがみはトウリのくび大鎌おおかまをあてがった。



 推薦すいせんぐみ自己じこ犠牲ぎせいみ、浄化じょうかまでおこなったエルサを、死神しにがみいましんじず。


 アヤセ、スノウ、トウリがこのにいる=『欠片かけら回収かいしゅう』であり、推薦すいせんぐみ猛追もうつい退しりぞける口実こうじつだった、だけではないかと。



「――欠片かけら養殖ようしょくも、全員ぜんいんかえれ」



 まぁごもっともだ、と色欲しきよくかれうごかない。


 『トウリをまもれ』の約束やくそくも、結局けっきょくしていなければ――――大鎌おおかまげた死神しにがみは、アヤセになぐられるからだ。



 ぐー、で。

 おもいっきり。



 死神しにがみあつものともしないで、「本当ほんとう全員ぜんいんぶんなぐってやりたい……」と、普段ふだんしずかなぶんすごみが。



 なぐばされた死神しにがみて、色欲しきよくかれわらった。



かみ名乗なのるなら、見極みきわめねば。トウリにそうものなら、2人(ふたり)とも容赦ようしゃせんようだ」



 ささえられているエルサのほうも、スノウに首根くびねっこを地味じみつかまれて、殺意さついもひしひしと。


 回収かいしゅうするはないにしろ、トウリにいたっては【死神しにがみってもらったほうがいいのでは】とおもっていたときがあり、それをられて、窮地きゅうちおちいっていた。



 死神しにがみ口走くちばった“養殖ようしょく”は、なにをかくそう、トウリのこと。



 もとからひとかれ自己じこ犠牲ぎせいけたことで、『欠片かけら』にものへ――――成功せいこうれい白徒はくとられるまえほうむらなければ、とエルサは何度なんどおもったことか。



「スノウ、くびれてしまいそうだ」

れればいいとおもってちかられてる」

「……おそろしいねぇ、ガーちゃんの一部いちぶって」



 あんに『欠片かけら』だとほのめかすが、回収かいしゅうしたとてけた天界てんかいもとにはもどらない。


 天界てんかいと どろどろにった3にん白徒はくともちいるよりも、【現世げんせ影響えいきょうあたえられるキミたち】に協力きょうりょくあおいだほうが、ずっと有意義ゆういぎだ。



 エルサはそうおもって、シニガリのかれらをのこしたのだ。



「……協力きょうりょくって」

友人ゆうじんおもいのキミたちのやさしさは、むねあたたかくさせる」

べつに、万人ばんにんやさしいわけじゃないんだけど」

「『あのひとていると元気げんきもらえる。一緒いっしょ頑張がんばろう。今日きょう頑張がんばろうって』――キミたちは、そういうひと推薦すいせんぐみ目指めざした、お姫様ひめさまだよ」

「せめて王子おうじさま……も、ちがうな」


 あぁでもない、こうでもないとはなしていると、トウリとアヤセがやってくる。


 うしろのほうで色欲しきよくかれかたりる死神しにがみもいるが、おそってくる気配けはいはない。



けっしてわるいようにはしないよ」



 トウリとアヤセにも、いま一度いちど協力きょうりょく要請ようせいを。


 アヤセは「このからがしてやるから協力きょうりょくしろっていたいのか?」と、不満ふまんそうだったが、それもトウリをおもってのこと。



ぼくたちはなにをするにも、約束やくそくわさないといけないからね」



 エルサはまどろっこしいやりかたびた。



 ずるくはあったが、協力きょうりょくしてくれることの了承りょうしょうがただしくて――――そんな一方いっぽうてきぶんは、れられることですぐに筒抜つつぬけてしまうのだけれど。




【キミたちが現世げんせきるさまは、

 きっとだれかの甲斐がいになる……のは、

 ぼくだけだろうか。

 キミたちが現世げんせつなぎとめているとおもうと、

 ぼく永遠とわ頑張がんばれるがする】




 トウリと、トウリにうでかれたアヤセにも、ばっちりつたわって、本当ほんとうずかしさしかなかった。



 スノウはずっと首根くびねっこをつかんでいるし、普段ふだん余裕よゆうそうなエルサがたじたじなのは、色欲しきよくかれからても面白おもしろくて。


 すこしばかりのさみしさをかんじて、浄化じょうかされていくかれらを見送みおった。



 一際ひときわかがやひかりが、冥府めいふそら旅立たびだっていく。


 エルサはひとりでがりながら、かれらにいのった。



来世らいせは――たまたま居合いあわせただけじゃなくて、もっと身近みぢかに。おたがいをたかえるような関係かんけいせいになれることを――」



 前世ぜんせも、ここでのこともおぼえてはいないだろうけど。


 かれらは約束やくそくたがえない。



 途方とほうのない御礼おれいまいりがはじまろうとも、いきおいは――――いつか。



「それじゃあ、よろしくたのむね」

「てめえがみきれなかったやつる」

「キミはおとりてっして」



 死神しにがみとしてるのは、推薦すいせんぐみ浄化じょうかわってから。


 それまでは、エルサと色欲しきよくかれ頑張がんばりどころ。



むなくそになりながら、わたしあいささやけとうのか」

「うん。できるだけ素早すばやむから」

是非ぜひそうしてくれ。ぐちゃぐちゃにあいっているときに、おまえにちらつかれるのは勘弁かんべんだ」




 にたい、となげこえちかづいてくる。


 にたい、とおも余裕よゆうがなくなるくらいのあいささやいて。


 にたい、なんて微塵みじんおもわない来世らいせを――――貴方あなたおくろう。




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