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今日もキミはガラスの靴を落とす  作者: 次野/うずらの


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8/10



「――――冥府めいふ正常せいじょう協力きょうりょくしてほしい」



 これは、エルサ個人こじんのおねがいだ。

 最優先さいゆうせん事項じこうの『欠片かけら回収かいしゅう』をなげうってでも、白徒はくとらかした制裁せいさいをしたい、と本心ほんしんからのぞんでいる。



 もとから滅多めったつからない、自分じぶんたちの一部いちぶ執着しゅうちゃくするあまり、多大ただいなヒトを現世げんせからはなしてきた。



 自分じぶんたちはうごけないというのに。

 冥府めいふ神々(かみがみ)たよりっきりで。



 尻拭しりぬぐいをさせられているかれらが『欠片かけら』をかこいたくなるのも、本来ほんらいつい関係かんけいであるがゆえ

 それを、冥府めいふ協力きょうりょくしてくれない、などと戯言ほざいて。



 白徒はくとはヒトに、自己じこ犠牲ぎせいけた。



 何度なんど何度なんど転生てんせいさせて。

 無垢むく慈悲じひぶかい、天使てんしのようなヒトなら、天界てんかいかてになる――――なんて。



 あまっちょろいかんがえだった。


 どれだけたましいみがこうが、所詮しょせんはヒト。



 欠片かけら代用だいようひんにできなければ、ぜん人生じんせい記憶きおくかかえたままのかれらは、どんどんこわれていってしまって。

 でも、はい用済さよならは、あまりにも無慈悲むじひだからと、ひとりでもおおくのもの道連みちづれにする役割やくわりあたえて、しとした。



 その結果けっかが、これだ。


 『欠片かけら』さえ無事ぶじなら、推薦すいせんぐみ暴走ぼうそうしたとて、死者ししゃるなら本望ほんもうだろうと、どこまでも横柄おうへいで。



 エルサは手段しゅだんえらばなくなった白徒はくと事情じじょうを、死神しにがみ色欲しきよくかれ、シニガリのトウリたちにもあらいざらいけた。



「てめえらがいたたねだろうが」



 一番いちばん被害ひがいしゃであろう死神しにがみくちひらいた。

 『てめえらでとしまえつけろ』とわないあたり、死神しにがみ見透みすかしている。


 白徒はくとでは、もうどうすることもできなくて。


 けれど、死神しにがみひとりが協力きょうりょくしたところで、さばけるりょうでもないことを。



「なんとかしてえって本気ほんきおもってんなら、誠意せいいせろ。それ相応そうおう覚悟かくごがてめえにはあんのか」

「……協力きょうりょく、してくれるってことで、いいんだね?」



 エルサはをかざした。



 一瞬いっしゅん片翼かたよくばたかせたかれ後光ごこうめば、空気くうき振動しんどうするほどのちから放出ほうしゅつされる。



 いたくもかゆくも、まぶしくもなくて。



 推薦すいせんぐみだけがそのに、次々(つぎつぎ)たおれていった。

 死神しにがみすがっていたたちもかれ足下あしもところがり、みなゆっくりとひかりまとって、えていく。


 やわらかなひかりだった。


 血涙けつるいかし、稲穂いなほごと砂地すなちらして――――エルサもそこにぶったおれた。


 あわててスノウがかれささえる。


「おい、アンタしっかりしろ!」


「いやはや……」と、スノウの気遣きづかいにおどろきつつも、エルサは笑顔えがおわすれない。


「さすがにこの人数にんずうはキツいね」

「なにしたんだよ」

ぼく一応いちおう白徒はくとだから」


 色欲しきよくかれもエルサをのぞきんで、「色欲のわたしはいらなかっただろう」と、虚仮こけにされていることをツッコんだ。


「まさか。シニガリも推薦すいせんぐみもまだまだやってくる。キミがうごきをめてくれないと」



 エルサの声色こわいろは、どこか覇気はきがなかった。



「……こわれてたよ、みんな。こころなかで、ずっと自分じぶんころつづけてた。キミがささやいても、それにたされた自分じぶん滅多めったしにするんだ」



 ――本当ほんとうになにやってるんだろうね、と同胞バカどもらかしに嫌悪感けんおかんいだくことしかできなかった。



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