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「――――冥府の正常化に協力してほしい」
これは、エルサ個人のお願いだ。
最優先事項の『欠片の回収』を擲ってでも、白徒が遣らかした制裁をしたい、と本心から望んでいる。
元から滅多に見つからない、自分たちの一部に執着するあまり、多大なヒトを現世から切り離してきた。
自分たちは動けないというのに。
冥府の神々に頼りっきりで。
尻拭いをさせられている彼らが『欠片』を囲いたくなるのも、本来は対の関係であるが故。
それを、冥府が協力してくれない、などと戯言いて。
白徒はヒトに、自己犠牲を植え付けた。
何度も何度も転生させて。
無垢で慈悲深い、天使のようなヒトなら、天界の糧になる――――なんて。
甘っちょろい考えだった。
どれだけ魂を磨こうが、所詮はヒト。
欠片の代用品にできなければ、全人生の記憶を抱えたままの彼らは、どんどん壊れていってしまって。
でも、はい用済は、あまりにも無慈悲だからと、ひとりでも多くの者を道連れにする役割を与えて、良しとした。
その結果が、これだ。
『欠片』さえ無事なら、推薦組が暴走したとて、死者が減るなら本望だろうと、どこまでも横柄で。
エルサは手段を選ばなくなった白徒の事情を、死神や色欲の彼、シニガリのトウリたちにも洗いざらい打ち明けた。
「てめえらが蒔いた種だろうが」
一番の被害者であろう死神が口を開いた。
『てめえらで落とし前つけろ』と言わないあたり、死神は見透かしている。
白徒では、もうどうすることもできなくて。
けれど、死神ひとりが協力したところで、捌ける量でもないことを。
「なんとかしてえって本気で思ってんなら、誠意を見せろ。それ相応の覚悟がてめえにはあんのか」
「……協力、してくれるってことで、いいんだね?」
エルサは手をかざした。
一瞬、真っ白な片翼を羽ばたかせた彼に後光が射し込めば、空気が振動するほどの力が放出される。
痛くも痒くも、眩しくもなくて。
推薦組だけがその場に、次々と倒れていった。
死神に縋っていた子たちも彼の足下に転がり、皆ゆっくりと光を纏って、消えていく。
やわらかな光だった。
血涙を溶かし、稲穂の如く砂地を照らして――――エルサもそこにぶっ倒れた。
慌ててスノウが彼を支える。
「おい、アンタしっかりしろ!」
「いやはや……」と、スノウの気遣いに驚きつつも、エルサは笑顔を忘れない。
「さすがにこの人数はキツいね」
「なにしたんだよ」
「僕も一応、白徒だから」
色欲の彼もエルサをのぞき込んで、「色欲の力はいらなかっただろう」と、虚仮にされていることをツッコんだ。
「まさか。シニガリも推薦組もまだまだやってくる。キミが動きを止めてくれないと」
エルサの声色は、どこか覇気がなかった。
「……壊れてたよ、みんな。心の中で、ずっと自分を殺し続けてた。キミが囁いても、それに満たされた自分を滅多刺しにするんだ」
――本当になにやってるんだろうね、と同胞共の遣らかしに嫌悪感を抱くことしかできなかった。




