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救われたい。
認められたい。
存在するだけで周囲を元気づけられる、鼓舞できる人に憧れて。
自分もそうなりたい、と。
笑顔を絶やさずに、
相手の要求を飲んで、
ひたむきに頑張っていれば、
作中のお姫様みたいに、
誰からも愛される人間になれるんだって。
でも、現実は違う。
“こいつはなにしてもいい奴”になった。
どんなに奪われても、
どれだけ貶められても、
ずっと笑っていられるのが、
できた人間、というのなら、
私たちはそうでなかっただけ。
どうしたの。
いつものアナタじゃない。
あぁ、僕は、私は、
お姫様にも
王子様にもなれなかったんだ。
灰かぶりは灰を被ったまま。
白雪姫は目覚めない。
人魚姫は王子様を殺し、
王子様は蛙のまま、誰からも愛されない。
そんなバッドエンドをいつまでも迎えたくなくて、推薦組は死神のテリトリーに入っていく。
項垂れ、虚ろな目をした彼らの背中から、割れるようにして赤黒い羽が生えて。涙までもが血に染まり、別のナニカになり始めていた。
未来永劫“なにをしてもいい奴”になんて。
早く楽にしてくれ、と皆で縋りつけば、縋られたほうも斬らざるを得なくなる。
けれど、斬れば斬るほど、彼らの勢いは増すばかりで。
次から次へと多勢に無勢。
死神の腕に、足に、腰に、首にまとわりついて、大鎌を握るのがやっと――――のところで、エルサと色欲の彼がやってくる。
――キミにとっての王子様は死神なのかい?
彼らの求める言葉をひとりひとりに囁いて、推薦組の注目を色欲の彼に。その隙にエルサも、波に飲まれないよう身を寄せ合うトウリたちと合流した。
「大丈夫かい?」
「な、なんとかっ」
アヤセとスノウの首元を、自身のYシャツの袖で拭うトウリは元気そうで。
「キミの親衛隊がここにいるってことは、上層部は全滅したってこと、かな」と、2人にも話を振れば、すごく不機嫌そうに頷かれた。
並の悪魔では太刀打ちできないくらいに、力を付けた推薦組――――を、色欲の彼はいつまで止めていられるのか。
言葉巧みに愛を囁く彼に、『動きを止める』以上の力はなかった。
知ってるよ。
ずっと笑ってる、だけじゃない。
誰もいないところで、ひとりで泣いて。
意地悪されることの苦しさも知っている。
それでも腐らなかったから、幸せになれたんだ。
『――本当に?』
『僕の前では本心を吐き出していいんだよ』
『どんなに醜くても、汚くても、ありのままのキミを僕は愛したい』――――のに。
幸せは自分で掴むもの。
配った幸せは返ってこない。
配った分だけ、次は自分が幸せになれるんだって。
ずっと
ずーっと思ってた。
次こそは――って
もがいて、
折れて、
また生を受けて。
もう、望みません。
だから、
他人の幸せすら喜べなくなった私たちを殺してください。
――――最終的には、僕に死を望む。
「最高につまらない」
深淵から帰ってきた色欲の彼は、腹立たしいこと この上なかった。
「白徒の保身とやらが、ようやく理解できたよ。とんでもないことをしてくれた」
決定打のない、魅了の力でも、この状況を打破できると思っていた。
頑張りすぎる彼らを労って、甘やかして、周囲なんて雑音になるくらい自分に夢中にさせれば、『暴走』は止められる、と。
しかし、事はそんなに簡単なことではなく。
エルサも色欲の彼に賛同する。
「いろんな部分が欠落してよかったよ。おかげで冷静に交渉ができる」と。今にも動き出しそうな推薦組の中心で、彼は頭を下げた。




