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90歳は女の子  作者: ソラ Soar


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2話


卒塔婆小町そとばこまち

「このお話が、若返りの話ですか」


 目の前のお姉さんに話します。

 お姉さんは明るい声で話ます。


『この舞台、作者さんが言いたかったのはね』


『小町は色が深くて、なの』


「悪霊が言ってましたね」


『そうなの。普通、おばあさんは恋愛の題材にならないの』


「そうでしょうね。悲しいですが」


『でも、作者は普通に負けなかったの』


『私が綺麗な小町を思い出させる』


『舞台に引き出すんだ』


『そう思ってこの物語は作られたの』


『悪霊はそのための工夫なの』


『あなたは今も美人だ』


『恋人達は知っている。ってね』


『恋することで』


『若さを取りもどせる』


『そう考えたのね』


「ふむう」


『納得しにくい?』


「いえ、分かる気がします」


「だって、ほかの女性だって主役にできたでしょう」


「はなやかな恋物語はほかにもできたでしょう」


「そんな中で、歳を取った小町を主役にしている」


「ねらいがあったと思います」


『お兄さんするどい! それに考えが優しい』


「え? そ、そうですかぁ」


『お兄さんも色男ねぇ』


「え? いろおとこ?」


『優しい心がある素敵な男性ってこと』


「ちょっとー、やめてくださいよー」


「お姉さんには負けますよ」


「あららららら!」


 お姉さんほっぺたが桜色。

 自分の力で綺麗になってます。


「でも、あれですね」


「いまの考えはお話したからできたことですよ」


「お姉さんの優しさが私にうつったのかもしれませんよ」


『わたしの? やさしさが?』


「私も話しやすかったですし」


『うれしいけど、どうなのかな?』


「ほかにもありますよ」


「物語への共感です」


「物語って、相手の気持ちを知ることに楽しみがあると思うんです」


「歳を取る悲しみを知るのは、そのひとつです」


「いろんな人や物語の気持ちが分かるのって、優しさと思うんです」


卒塔婆小町そとばこまちの作者も、ねらいを見てもらえてうれしかったと思いますよ」


『うふふふふふ』


 お姉さんがニッコリしてます。

 笑うと顔が良くなりますね。

 悲しみもアレもきえています。


『あら、話すぎたかしら?』


『そろそろおいとまするわ』


「楽しい時間をありがとうございます」


『じゃあね、優しいお兄さん!』


「お姉さんもお元気で」


 お姉さんはうきうきで歩いていきました。


「若々しい人だったなぁ」


「もしかして、小野小町もあんな感じだったのかな?」


 年金はもらってそうですが、それ以上は分かりません。

 さて、私も移動しましょうか。



 帰り道。

 受付カウンターでお姉さんを見ました。

 司書さんとお話してる?


『この本、面白かったのお』


「そうなのですね」


『昔を思い出したのー』


「はは、そうなのですか」


『もう大変よぉ。90歳も生きたらねぇ?』


 うん?

 90歳?


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