幕間 三国同盟
今回は、今まであまり触れてこなかった国家についてのお話です。
この設定が今後どのように物語へ絡んでいくのか、私も決めかねています。
アイラがこの先、他国と関わることになるのか。
それとも、世界を彩るだけのフレーバーに収まるのか。
それは私と、アイラたちと、これからの展開次第です。
少しだけ世界が広がる幕間として、お楽しみいただければ幸いです。
中央大陸には、三つの大国が存在する。
『ゾディアック王国』。
『神政国家ストレリチア』。
『シン共和国』。
三国は千年にも及ぶ『三国同盟』を結んでいる。
もっとも、その同盟も今では名ばかりのもの。
長い年月の中で関係は悪化し、現在は事実上の冷戦状態となっている。
表向きは互いに友好国として振る舞いながら、その裏では間者を送り込み、情報を盗み、時には工作を仕掛ける。
千年続いた同盟は、いつ崩れてもおかしくない危うい均衡の上に成り立っていた。
◇ゾディアック王国
『女神ガイア』を祀る『ガイア教』を国教とする国家。
国内には六つの公爵家が存在し、貴族社会の最高位に位置している。
国王も世襲制ではなく、六公爵家の中から最も優れた者が選出される仕組みとなっている。
・国家理念
自由と秩序。
国民には多くの自由が認められている一方で、法と秩序を守ることが強く求められる。
・冒険者
三国の中で唯一、冒険者を国家的に支援している。
冒険者ギルドを通じて様々な支援を受けられる一方、有事の際には戦時動員に従う義務がある。
正当な理由なくこれを拒否した場合は投獄。
最悪の場合、死刑となることもある。
自由には相応の責任が伴う。
それがゾディアック王国における冒険者の立場である。
・Gossip
最近、国王が病に倒れ、すでに崩御しているのではないかという噂が流れている。
国王が公の場に姿を見せる機会も減っており、その真偽を巡って様々な憶測が飛び交っている。
そんな中、六公爵家の傍系にも不穏な動きが見られ、次代の王位を巡って水面下で争いが始まっているとも囁かれている。
国内情勢は、少しずつ不安定になりつつあるらしい。
◇神政国家ストレリチア
女神ガイアの息子『天神ウーラノス』を祀る『天空教』を国教とする国家。
法王庁が政治の中心となっており、その頂点に立つ法王が国家の最高権力者として据えられている。
法王は血統によって選ばれるものではない。
『天神ウーラノス』から天啓を授かった者が、次代の法王となる仕組みである。
・国家理念
全ての国民は神の下に平等。
個人の幸福よりも国家全体の幸福を重視し、全ては神と国家のためにあるという思想が根付いている。
・冒険者
冒険者という存在そのものが認められていない。
モンスター討伐や危険地域の探索など、ゾディアック王国で冒険者が担っている仕事は、全て法王庁の管理下に置かれた人間によって行われる。
武力を持つ者が国家の管理外で自由に活動することを許さない。
それがストレリチアの方針である。
・Gossip
現法王は名ばかりの存在で、実際には一切の権力を与えられていないという噂がある。
法王庁内部では戦争推進派の影響力が急速に強まり、反対する穏健派の人間が次々と中央から左遷されているらしい。
さらに近年、国内では大量の軍事兵器が製造されているという話もある。
彼らが何に備えているのか。あるいは、何を始めようとしているのか。
その答えを知る者は少ない。
◇シン共和国
魔法や奇跡が存在しない代わりに、科学と機械工学が大きく発達した国家。
国家の代表者は国民選挙によって選ばれた大統領。
――ということになっている。
共和国には『アルカナ』と呼ばれる巨大企業が存在し、軍事、医療、工業、物流をはじめとした国のあらゆる事業に関わっている。
一説には、シン共和国という国家の成り立ちそのものに『アルカナ』が深く関わっているとも言われている。
富裕層と貧困層の格差は三国の中でも特に激しく、犯罪発生率も非常に高い。
・国家理念
絶対的な力。
倫理や道徳よりも、新たなものを生み出すことを優先する。
技術の発展に必要であるならば、多少の犠牲には目を瞑る。
そんな思想が国家全体に深く根付いている。
・冒険者
冒険者という名称の職業は存在しない。
しかし、報酬と引き換えにモンスター討伐や護衛、危険地域の探索などを請け負う者たちは存在する。
金さえ払えば仕事を請け負う。
そこにはゾディアック王国とはまた違った、徹底した資本主義の形が存在している。
・Gossip
『アルカナ』の人間が、裏からこの国の政治を牛耳っているらしい。
表向きは技術によって国民の生活を豊かにする巨大企業。
しかし、その裏では人を人とも思わない非道な実験が繰り返されているという噂がある。
そして『アルカナ』の最高権力者には、その全てを使って成し遂げようとしている何らかの目的があるようだが――。
――この記事を書いた新聞社は、その翌日に発生した事故によって建物が崩壊。中にいた人間は全員死亡した。
そしてこの記事が、世間に出回ることはなかった。




