↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
43/136

行ってきます!⑤

それからも、三人で他愛のない話をした。

今日あったこと。

昔の思い出。

明日からのこと。

普段ならとっくに寝ている時間になっても、誰も終わりにしようとは言わなかった。

私も、少しでも長く二人と話していたかった。

だけど、眠気には勝てない。

「ふぁ……。」

欠伸を噛み殺しながら、何度も船を漕ぎ始める。

そんな私を見て、ママが小さく笑った。

「そろそろ寝ましょうか。」

「ああ。アイラも自分のベッドに入りなさい。」

二人に促され、立ち上がろうとする。

「……。」

だけど、やっぱり嫌だった。


「……やだ。」

「ん?」

「今日は、パパとママと一緒に寝る……。」

言ってから、少し恥ずかしくなる。

もう十二歳になるのに。

でも、たぶんこれが最後のチャンスだ。

明日、十二歳を迎えて冒険者になれば、私はこの家を出る。

次に帰ってきた時には、今までと同じように甘えるのが少し恥ずかしくなっているかもしれない。

だから今日だけ。

もう一度だけ、二人の子供でいたかった。


「……分かった。」

パパはそれ以上何も言わなかった。

私の部屋からベッドを運び、二人の寝室へ並べてくれる。

もともと広くない寝室だ。

三つのベッドを置けば、隙間なんてほとんど残らなかった。

そこにパパ、私、ママの三人で仰向けに寝転がる。

綺麗な川の字の完成だ。


「ふふっ。」

何だかおかしくて、小さく笑う。

掛け布団の中でもぞもぞと両手を動かす。

右手を伸ばすと、パパの大きな手。

左手を伸ばすと、ママの柔らかな手。

二人の手を見つけ、そのままぎゅっと握った。

握り返してくれる。

それだけで胸の奥が温かくなった。

「おやすみなさい……。」

「ああ、おやすみ。」

「おやすみ、アイラ。」

二人の声を聞きながら、ゆっくりと目を閉じる。

秋の夜だというのに、いつものような肌寒さはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。