アイラの近況報告
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あれから三か月ほどが経ちました。
カイ君はあれ以来、「僕は一生、町の中で暮らす」と言っているらしい。
辻斬り怖かったもんね……。
私もあの日のことを猛省し、自重する日々を過ごしております。
まず、安全性の確保を最優先するようになった。
GMコマンドや装備については、まだ十分に検証できていない。
そのため、アクティブモンスターが出現する場所には近づかないように。
情報収集へ出掛ける時も、《HidePC》で人目につかないように。
遠出をする場合は、道中の危険を避けるため《Warp》で移動するようにしている。
次に、『レーヴァテイン』を装備した状態でのスキル検証も進めている。
「辻斬りを倒した時に使った『スラッシュ』の威力、異常すぎだよね。」
ゲームなら、転職したばかりの初心者が最初に覚えるような攻撃スキルだ。
それが衝撃波を伴うほどの威力になるなんて、想像をはるかに超えていた。
初級スキルであれなのだから、上級スキルを使えばどうなってしまうのか分からない。
周囲にいる人や建物まで巻き込む危険を考えれば、スキルの検証は絶対に必要だった。
というわけで、使えるスキルを一つずつ確認しているところなのだ。
「でもまさか、上級スキルがあんな威力だなんて……。」
上級スキルについては、しばらく見なかったことにしよう。
まずは、力を抑える方法から身に付けた方が良い。
また森の地形を変えてしまわないように。
あとは、自分の命を守るための新しいGM装備も用意した。
《Storage》
頭の中で念じると、目の前にワームホールが開く。
その中から、GM装備『ギャラルホルン』を取り出した。
小さな角笛の形をしており、首から下げられるようになっている。
ゲーム時代の装備部位はアクセサリー。
名前の由来は、『レーヴァテイン』と同じ北欧神話だ。
GM装備の名称は、すべて北欧神話から取られている。
元々は開発元が作った装備なので、なぜ北欧神話で統一したのかまでは知らない。
『ギャラルホルン』の効果は、『HP増加』『移動速度増加』『HP・MP超回復』など。
攻撃性能よりも補助能力に優れたGM専用装備で、強力なボスの攻撃を受ける検証などに使われていた。
二十年以上運営が続いたゲームの最新ダンジョン。
そこに出現するボスモンスターの攻撃スキルにすら耐えられる代物だ。
万が一負傷しても、『超回復』の効果によって短時間で全快する。
即死効果や、耐えられるHPを超えた一撃を受けない限り、命を落とすことはほとんどない。
これさえ装備していれば、死亡する可能性は限りなくゼロに近づく。
今の私には、これ以上ないほど心強い装備だった。
ただし、人前ではGM装備を身に着けられない。
「GM装備やGMコマンドがあるから大丈夫。」
なんて考え方は危険だ。
人間、危機に直面した時、いつも万全の状態で挑めるわけじゃない。
何事も、慎重すぎるくらいでちょうどいい。
次のエピソードから、新しい物語が始まります。
アイラにとっても、大きな転機となる出来事が待っているようです。




