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危うい冒険心①

あれから色々ありまして、先週十歳になりました。


あの日からGMコマンドは極力使わないようにしている。

あまり気軽に使うのも怖いし、ガイア様に目をつけられたくなかったから。

とはいえ、一切使わないというわけではない。

世界のバランスに影響を与えそうなことや、危険なことはしない。

そんなルールを自分の中で決めていた。

転生してアイラになったせいか、精神が体に引っ張られることがよくある。

ふとした時に幼児っぽい行動をしてしまうことがあるので、まずは自制心を身に付けたかった。


町の子と喧嘩になりそうな時や、理不尽なことがあった時は、

『いいのか?こっちにはGMコマンドがあるぞ?』

と心の中で思うと、精神の安定を図れた。

ちょっと違うけど、『筋肉は全てを解決する』って本当だったんだな、と実感している。


あ、筋肉と言えば、あれから体作りも頑張った。

走ったり筋トレしたりしてみたんだけど、この体は本当に筋肉が付きにくい。

前世では結構がっしりした長身の男性だったから、なおさらそう感じる。

食事も、タンパク質を十分に摂れる環境じゃない。

その辺りも影響していそうだった。

低身長のやせっぽち。

それが今の私だ。


「でもきっと、二次性徴で背が伸びるよね!」


絶対。

いや、きっと。

そうであるはずだ。

今のところ望みはかなり薄いだけに、現実逃避でもしなければやっていられない。


これまで、やれることはできるだけやってきた。

まずは、さっきも話した体作り。

これは元の体格もあって、あまり上手くいっているとは言えない。


次に勉強。

計算については、普通の平民だと大人になっても生活に必要な程度しかできない人が多い。

でも私は前世で基礎を身に付けていたから、改めて勉強する必要はなかった。

歴史についても前世の知識がかなり役に立ち、大して勉強しなくても困ることはない。

足りなかったのは、文字の読み書きと法律に関する知識だ。

文字の読み書きは一から勉強することになったけど、この国の言語は前世よりずっと簡単だった。

おかげで、それほど苦労せず身に付けることができた。

法律はまだまだ勉強中。

前世ほど難しくはないけれど、簡単に覚えられる内容でもない。

それでも何とかなりそうだ。


「子供の吸収力、恐るべし。」


過労死する前は、『最近、記憶力が落ちてる気がする』なんて言っていたのに、今は心身ともに絶好調すぎる。


「若いって良いなぁ。」

思わず、おじさんみたいなことを口走る。


ここまでくると、最初は『アイラは天才かもしれない』なんて喜んでいたパパとママも、さすがに異変に気付く。


「アイラ、最近すごく頑張ってるけど、どうしたんだい?」


ある日、少し心配そうな表情でパパが聞いてきた。

隣ではママも真剣な顔で私を見つめている。


「私ね、冒険者になりたいの。」


私は二人をまっすぐ見つめて答えた。

誤魔化そうと思えば、きっと誤魔化せた。

それ以上追及されることもなかったと思う。

でも、大好きなパパとママにだけは嘘をつきたくなかった。

パパは少しだけ眉を下げる。

ママは息を呑み、口元をそっと押さえた。


「冒険者がどれだけ危険なのか、分かっているのかい?」


今まで聞いたこともないほど低い声で、パパが問いかけてくる。

冒険者という仕事がどれほど危険なのか。

毎日のように命を落とす人がいること。

ママのお父さん――私のおじいちゃんも、モンスターに襲われて亡くなったこと。

もし私に何かあったら、自分たちは耐えられないこと。

二人は時間をかけて、何度も何度も話してくれた。

それでも、私の気持ちは変わらなかった。


「ごめんなさい。心配をかけてるのは分かってる。それでも私は、冒険者になりたい。」


こんなにも愛されているのに、申し訳ないとは思う。

それでも、この世界で生きるなら一度は冒険をしてみたい。

それが、私の夢なんだ。

静かな時間が流れる。

誰も何も言わない。

まるで時が止まってしまったような沈黙だった。

先に目を逸らしたのは、パパだった。


「はぁ……。冒険をするのは十二歳から。これだけは譲れない。」

「十二歳の誕生日を迎えても気持ちが変わらなかったら、その時にもう一度、三人で話そう。」

そう言って、二人は困ったように笑った。


――あの時は、ごめんね。


でも、パパもママも厳しいことは言っていたけど、一度だって『ダメ』とは言わなかった。

娘の夢に反対しているんじゃない。

ただ、大切な娘だから心配だっただけ。

だから私は、二人を必要以上に心配させるようなことをしないように気を付けよう。

そう思って、今日まで慎重に過ごしてきた。

だけど――。


そろそろ次のステップへ進んでもいい頃だと思う。

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― 新着の感想 ―
長文失礼します。 有名なMMOで遊んで居たら多数の魔物引き連れトレインして擦り付けたに注意すると「助けろよ!」「俺を誰だと思ってるんだ!」と言うから知らないですねと答えると覚えていろよ! と言われた…
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