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GM権限、使えちゃいました⑤

「アイラ、朝だぞ。」


誰かに優しく肩を揺すられる。


「んぅ……。」


まだ眠い。

もう少しだけ寝ていたい。


「ほら、起きないと朝ご飯が冷めちゃうぞ。」


大好きな声が、苦笑交じりに聞こえた。

私はぼんやりと天井を見つめる。


「……朝。」


寝ぼけた頭で、昨日の出来事を思い返す。


「……っ!」


勢いよく体を起こし、そのまま布団を跳ねのけた。


「おはよう!」

「お、おう?」


あまりにも急な変わりように、パパが目を丸くする。

その様子を見ていたママが、くすりと笑った。


「あら、珍しいわね。いつもなら『あと五分〜』って言うのに。」

「えへへ。」


恥ずかしい。

やっぱり、ママもそう思っていたんだ。


井戸で顔を洗ってくると、いつものように三人で朝食を摂り始めた。

いつもと変わらない、穏やかな時間。

ママの作った温かいスープを飲み、硬いパンを頬張る。

パパは今日の仕事について話し、ママが相槌を打つ。

私も時折会話に加わり、食卓には自然と笑顔があふれていた。


食事を終えると、パパは弓を背負い、仕事へ向かう支度を始める。


「それじゃあ、行ってくる。」

「いってらっしゃい、パパ!」


玄関まで見送り、大きく手を振った。

パパの姿が見えなくなると、部屋へ戻って普段着に着替える。

動きやすい服を選び、身支度を整えると、再び玄関へ向かった。


「ママ、いってきまーす!」

「いってらっしゃい。明るいうちに帰ってくるのよ。」

「はーい!」


元気よく返事をして、家を飛び出した。

向かう先は昨日と同じ。

町外れの、人目につかない場所だ。


「昨日の続きをしなきゃ。」


胸の高鳴りを抑えきれないまま、足を速める。

昨日とは別の人気のない路地裏までやって来ると、念入りに周囲を見回した。


人影はない。

近くの家の窓も閉じている。

誰かがこちらを見ている気配もなかった。


昨日と違う場所を選んだのには理由がある。

万が一、誰かに見られていた場合、毎回同じ場所で姿を消していれば、さすがに怪しまれるかもしれない。

考えすぎかもしれないけれど、この力については慎重になりすぎるくらいでちょうどいい。


十分に安全を確認してから、頭の中にコマンドを思い浮かべた。


《hidePC》


昨日と同じように、私の姿が見えなくなる。


「うん。今日もちゃんと使えた。」


無事に発動したことへ安堵しながら、今日の目的を頭の中で整理する。

絶対に確認しておきたいこと。


一つ目。

《hidePC》を使用する際、HPやMPといった何らかの力を消費しているのか。


昨日は突然の出来事に驚き、そこまで確かめる余裕がなかった。

もし使うたびに体力や魔力を消耗しているのなら、それを知らずに使い続けるのは危険だ。


そして二つ目。

この状態を、どれほど長く維持できるのか。

自分で解除しない限り永遠に続くのか。

それとも、一定時間が経てば勝手に解除されてしまうのか。

朝に弱い私が、今日はすぐに目を覚まして家を出てきたのも、その二つを確かめるためだった。


「昨日は夕方まで効果があったけど……。」


発動したのは昼を過ぎてからだった。

数時間使い続けられたことは間違いない。

けれど、それだけでは十分とは言えない。

戦闘中に突然効果が切れてしまえば、取り返しのつかないことになる。

絶対に無視できない情報だった。

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