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50 発動、そして混戦へ


 俺は自分の力について、あらためて考える。


 俺の付与魔術――いや『天の遺産』の【付与】の力とは、そもそもなんなんだろう?


 この力の根源はどこにあるんだろう?


 すべての始まりは――たぶん、子どものころに近所に住んでいた『冒険者のお兄ちゃん』の死だったと思う。


 あれだけ強かった憧れの『お兄ちゃん』が、あっけなく命を落とした。


 たまらなく悲しく、たまらなく切なかった。


 だから俺はそんなことが二度とないように、そんな人たちを守れる力を欲した。


 その願いの発露こそが『強化付与』だったんじゃないだろうか。


 もしかしたら、あのとき俺に『天の遺産』が宿ったか、あるいは覚醒したんじゃないだろうか。


 もちろん、本格的な覚醒はずっと後のことだけれど――。


 他者を守るために、他者を強くする。


 そのために武器や防具、アイテムを強くする。


 そして強くなったそれらを身に着けた他者を間接的に守ることになる――。


 だから、俺自身には力が作用しなかった。


 あくまでも『他者を守る』という願いの具現化が【付与】だったから。


 でも――そこで視点を変えてみる。考え方を変えてみる。


 力は、あくまでも力だ。


 この力は自分が指定したものを『強くする力』。


 誰かを、何かを守るために強くする力。


 なら、今ここで――みんなを守るために。


 俺自身を強くすることで、みんなを守ることができるなら。


『強化付与』が俺自身に作用しても、俺の根源とは矛盾しない。




 ――だから、今こそ――




「くっ……うぉぉぉぉ……っ……!?」


 その瞬間、額に強烈な熱感が宿った。


 熱い。

 熱い。

 熱い。


 額が内側から爆発して、弾けそうだ。


 次の瞬間、その熱が額の一点に収束する。


「……!?」


 光竜王が俺を見て、わずかに顔をしかめた。


「なんだ、それは」


 目を細め、たずねる。


「その紋章は――」


 俺の側から見えないけど、額に紋章が浮かんでいるということか?


「お前も出せるのか……ディータやシリルのように」


 奴の反応から見て、やっぱり『支配の紋章』を出せたみたいだ。


 となると、やっぱり『自分に強化付与をかける』という手順で、紋章を出す方法は間違ってなかったのか?


 あとは、指定された強化ポイントを消費すれば、発動できるはず――。


『天星兵団』との戦いで膨大なポイントを得た俺からしても、さすがに第四術式に必要なポイントはかなり大きい。


 そのポイント総数は『444万4444』。


 こいつを使うことができたとして、手持ちのポイントの半分ほどを消費してしまうことになる。


 そして、何よりも――。


「本当に、この状況を打開できる能力なのか……!?」


 付与魔術・第四術式、その効果は何か?


 事前に説明の『声』がなかったから、たぶん使ってみなければ分からないということだろう。


 効果も分からない術に、大量のポイントを消費するのは賭けだ。


 けれど、他に有効な手がない以上、賭けてみる価値はある。


「簡単にやらせると思うか」


 大量の竜牙兵が向かってくる。


「っ……!」


 術の発動に必要な『精神の集中』を阻止する狙いか!?


「簡単に阻止させると思わないでくださいね!」

「あたしたちだって――」

「守ってやるぜ!」


 リリィ、マルチナ、マーガレットが剣を手に、俺の前に出た。


 術の発動をフォローするために、俺の盾になってくれるのか。


「あたしが蹴散らすから、討ち漏らしをお願い!」


 マルチナが『蒼天牙(ファイザ)』を掲げて叫んだ。


「【乱れ斬り・百刃乱舞(ひゃくじんらんぶ)】!」


 繰り出された対集団用の剣術スキルが、竜牙兵たちをまとめて吹き飛ばす。


「力を貸して――『紅鳳の剣(ミラーファ)』!」


 今度はリリィだ。


「【虹帝斬竜閃こうていざんりゅうせん】!」


 ――って、いつのまにそんなスキルまで使えるようになったんだ!?


 リリィの強烈な一撃は、マルチナの攻撃で陣形が乱れた竜牙兵たちを一気に薙ぎ払った。


 さらに、


「俺だって――」


 マーガレットが俺の与えた魔剣『紅翼の刃(デュランディス)』を構える。


 その剣全体が激しく明滅した。


 刀身に【加速】をかけるマーガレットの得意戦形か……?


 いや、違う。


 ごうっ!


 さらにその刀身を風が覆い、もう一段階加速する――。


「【ウィンドアクセルブレード】!」


 赤い閃光と化したマーガレットが竜牙兵たちの間を高速で駆け抜けて、斬り伏せていく。


 この土壇場で――いや土壇場だからこそか、三人の連携はどんどん磨かれていた。


 互いにフォローしあうように動きながら、それぞれの伝説級の剣や魔剣で竜牙兵を次々と打ち倒していく。


 個の力が重なり合い、より強固な力へと――。


 その頼もしさに胸が熱くなった。


「これなら――」


 精神を集中させる時間は十分に稼げる。


 さあ、いくぞ……!


「発動だ、付与魔術・第四術式――」


 ごうっ……!


 俺の全身からあふれる黄金の光が、さらに光量を増す。


 膨大な強化ポイントを消費し、発動――。




 どんっ!




 その瞬間、俺はすさまじい衝撃を受けた。


「っ……!?」


 身に着けた防御アイテムの数々がその衝撃を相殺してくれたとはいえ、一瞬体がぐらつき、俺はたたらを踏んだ。


「なんだ……!?」


 光竜王の攻撃じゃない。


 今の攻撃は、別方向から来たものだ。


「支配の紋章を出せるようになっていたとは」


 かつ、かつ、と足音を立て、向こうから歩いてくる人影――。


「お、お前……!?」


 白髪の、精悍な顔立ちの青年。


「ゴルドレッド……!」


 消滅したんじゃなかったのか……!?

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