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49 発動なるか、第四術式


 支配の紋章。


 第四術式を発動するためには、それが必要なのだという。


 けれど、具体的にどうすればいいのか分からない。


 そもそも支配の紋章というのがなんなのか――。


 おそらくそれは、かつて俺が『星の声』を聞いたときに見たビジョン――額に紋章を宿した保持者と思しき人たち――がヒントになるんだろう。


 いや、答えというべきか。


 あれと同じ紋章を浮かべればいいんじゃないだろうか。


 ただ、その方法は謎のままだ。


「支配の紋章……か」


 あらためて、つぶやいてみる。


 なぜ『支配』という名前なんだろう?


 支配するというなら、その対象はなんだろう。


 他者か?


 あるいは世界そのもの――?

 と、


「どうした? 攻めてこないのか?」


 光竜王が右手を突き出した。


 どうっ!


 そこから放たれる衝撃波を、俺は防御アイテムで相殺する。


 ぐぐぐっ……!


 周囲が爆風で揺らぐ中、俺は無傷だ。

 近くにいるリリィたちにも被害が及ばないよう、防御範囲を計算し、奴の攻撃を完全にシャットアウトする。


「――なるほど、なかなか硬いな」


 うなる光竜王。


 俺だって大量の強化ポイントを付与したアイテムを何重にも身に着けているんだ。


 その防御は簡単には破られない。


 とはいえ、絶対じゃないことは証明済み。


 ぱきん。


 身に着けている+10000付与の『守護の宝石』が一つ、砕け散った。


 やっぱり合体光竜王の攻撃力は掃討に高い。


 防御アイテムが効力を発揮しているうちに――全部を破壊されないうちに。

 考えをまとめ、たどり着くんだ。


 支配の紋章を出現させる方法を。




 俺はさらに思考する。


 かつて修業時代に、俺の手に紋章が浮かんだことがあった。


 あれは、普段なら無機物に強化ポイントをこめるところを、試しに自分自身に使ったことで起きた現象だ。


 けれど、その後に同じことをしても紋章は出現しなかった。


 一度きりの偶然なのか?


 それとも他に条件があるのか?


 あるいは――。


 ぱきん、ぱきんっ。


 さらに俺が身に着けている防御アイテムの指輪が二つ砕けた。


 奴の攻撃は断続的に繰り出されている。


 俺からの決定打も、奴からの決定打もない。


 けれど有利なのは手数が多い光竜王の方だろう。


 このまま防戦気味じゃやられる。


「……試しにやってみるか」


 俺は強化ポイントを自分にこめてみた。


 要領は普段、武器や防具、アイテムにポイントを込めるのと同じ感覚で。


 ヴ……ンッ!


 俺の全身が光に包まれる。


「何……!?」


 光竜王が驚いたように俺を見つめた。


 ――あのとき支配の紋章(と思しきもの)が一度だけ出現した理由。


 俺は仮説を二つ立ててみた。


 一つは、偶然。


 その一回だけ何らかの条件が重なり、偶発的に出現したというもの。


 もしこれが正しければ、今の俺に再現することは難しいだろう。


 再現するためには、偶然に頼るしかない。


 だけど、もう一つの仮説の場合は話が変わってくる。


 それは――能力の不安定さ。


 あのときの俺は修行時代だった。


 自分の付与魔術の正体も、根源も、何も知らなかった。


 当然、その力は不安定で未熟そのものだ。


 けれど、今は違う。


 力の正体――『天の遺産』の存在を知った。


 いくつもの激戦を経て、新たな術式に覚醒した。


 あのころとは比べ物にならないくらいに、俺の力は飛躍的な成長を遂げ、安定性を手に入れた。


 だから、不安定な能力で一度だけ出現させられた『支配の紋章』を、今なら安定的に出現させられるかもしれない。


 もし、その条件が単純に『自分自身を強化付与する』というものだったならば。


 だから、俺は自分に強化ポイントを付与する。


 限界量である30000ポイントを一気に――。


 ぴきぴきぴき……。


 俺の右足から乾いた音が響いた。

 そして、


 ぱきいんっ。


 石化した部分が砕け散り、生身の足に戻る。


「これは――」


 さらに次の瞬間、




 ずおおおおおおおっ……!




 俺の全身が黄金の輝きに包まれる――!


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