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番外

なぜかあの人を語りに据えたら進む進む…びっくりです。

――お初にお目にかかります、わたくしはジョナサン。マディンバラ家にお仕えする執事にございます。

 本日のマディンバラ家へお越しになる商談のお客様は、午前中に個人が3名様、午後の3時頃より団体様がひとつ。

 そして、最後の個人のお客様がお帰りになられてから、午後よりの団体のお客様がお越しになられるまでに、マディンバラ家個人的なお客様がお二人。このお二人様、実はわたくしめの姪とそのお連れ様です。

―――さらに、わたくしナディお嬢様に内緒で旦那様と奥様とディアお嬢様とともに、この“お連れ様”の情報を伏せているのですよ。それはなぜかといいますと………面白い反応が見られるからですよ、もちろんディアお嬢様と奥様の発案の企みですよ?わたくしめの提案ではありませんとも、ええ。旦那様はもちろん、巻き込まれただけですけれども。けして旦那様をないがしろにはしていませんよ?わたくしめがお仕えする“ファミリー”をないがしろにするわけありませんから。

 おっと、もうこんな時間ですね。


「叔父貴、到着したから開けて」

――ほら、姪が来ましたよ。にしてもいけませんよねぇ?この娘は職務から離れるとすぐに言葉が汚くなる。しかも、それだけではありませんよ、驚きのあまり口を大きく開けて呆けるんですからね――職務のときにでもね。あれほど“空気たるもの”の教えをみっちり仕込んだというのに。

「叔父貴」

――ああ忘れていましたね、すっかり。

「テッラ、口調をただしなさいとあれほど――」

 結局、旦那様型がお待ちになられてるプライベートな居間――ああ元とはいえお仕えしていた主を待たせるなんて、なんて娘ですか――に向かうまでみっちり説教をしましたとも。お連れ様にはお目汚しをしてしまいましたが、この娘が悪いのでございますよ。自分が指定した1分と30秒も遅れるとは。

「旦那様、テッラがつきました」

 ノックして入室の許可を得ます。扉越しに伝わる気配から、ナディお嬢様がたいへんリラックスしながらも楽しみにうきうきとなさっているのが、手に取るように伝わってきます。おや、旦那様は今さら罪悪感にうちひしがれておられますね?わたくしどもはもう一蓮托生、同じ穴のムジナでございますよ旦那様。奥様とディアお嬢様はいつものように素敵なポーカーフェイスでございます。さすがでございますね。ジョナサンめ嬉しゅうございます。

「どうぞ」

 入室の許可を得て、ドアノブをひねります――ほら、後方から姪の緊張感が一気に強くなるのが伝わってくるのでございます。一方、お連れ様は全く緊張なされておりませんね。さすが“近衛”でございますね。我が姪にはもったいない御方でございます、全く。

「お久し振りにございます、旦那様、奥様、お嬢様方」

 テッラが先に入室し、挨拶を済ませたあと、お連れ様の入場――このような作戦でございます。

「テッラ、お久し振りね!」

 室内からディアお嬢様の嬉しそうなお声がします。さすが奥様のはらぐ――ごほん、ご性格をよく受け継がれておられてますね。

 ちなみにわたくしめは、室外の廊下、扉付近にて待機しております。執事は同席いたしません。当たり前でございます。しかし、職業柄“何か”のときにすぐ対応できるよう、常に臨戦態勢は整えております。ですから室内のご様子は手に取るようにわかりますとも……けして好奇心からのデバガメとやらではありませんとも、ええ。

「ーっ!」

 おや、もうお連れ様が入場なされるタイミングですか。年を取ると時間感覚がおかしくなりますねぇ。

「お初にお目にかかります。僕は王宮にて、この度近衛兵長の任につきましたリカルド・ダッテンと申します。こちらのリンガン嬢と婚約を交わしております」

――ああ、ナディお嬢様の声なき心からの絶叫が耳に届いてきております。現在進行形で叫ばれておいでになられます。姪は本当にナディお嬢様によくしていただきましたから。もったいなきお心をいただいております。

――しかし、ナディお嬢様はディアお嬢様が真っ白だとおっしゃられるくらい真っ白でございます。ディアお嬢様は奥様に似てたぬ――ごほん、たいへん聡いお嬢様でございますからね、真っ白ではございません。逆にナディお嬢様が真っ白におなりです、旦那様とよく似ておられて。

――しかしナディお嬢様。またオリヴィアお嬢様にお伝えしてカリキュラムを組んでいただかないと、例え身内同然のお客様がみえたからとはいえ、このように使用人にお心うちが伝わってはいけません。将来は旦那様(予定)をお迎えになって(決定)いただくマディンバラの次期御当主(決定、期待含む)なんですから。



さぁ、ナディお客様、これからもジョナサンめがお仕えするファミリーのトップとして御自覚なさって精進していただきますからね。

テッラ主軸のつもりが作者の腕不足によりジョナサン主軸のテッラ報告談に。テッラとリカルド期待した方、申し訳ありません……。

ちなみに、これはくろこ。の少しあと、テッラがリカルドにほだされて婚約を交わした頃。まだ裏方にいて、あと数日で裏方に戻らなくなります。リカルドはあの件から出世して長になりました。

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