第24話 手にしたもの
「これはなかなか、立派だよな」
『おめでとう、エルダ。これで宿無し地主から卒業だな』
「──ビゲート、いちいち棘がない?」
『そんなことないだろ。事実さ』
「はぁ、まあいいけど」
僕は、さっそく目の前のツリーハウスへと近づいていく。
ドリアードの眷属からの攻撃を受けなくなったことで、僕は森林のそのほとんどをトレントが占めるこの地域を自由に歩き回れることになっていた。
つまり、この地域に限っては所有権を保有する土地をかなり容易に増やせるこということ。
そうして増やした所有権持ちの地域のなかで、出来るだけトレントオブライフから離れた隅っこのところに棲むトレント種のうちの一体と契約したのだ。その内容は見てのとおり。
住居を提供、だ。
「──雨露がしのげるだけでもだいぶ違うしな」
中を覗いて呟く。
家具もなにもないスペース。
ツリーハウスということもあって、その空間自体も決して広くはない。
当然、追放された実家の部屋とは比べ物にならないぐらい、質素だ。
『こんな僻地にしないで、ドリアード=リュ=ラパンガンの近くにすれば良かったじゃないか、エルダ』
「いやいやいや、そんなの気が休まらないって。確かにトレント的にはあっちの方が栄えているのかもしれないけど、まずはここで十分さ。このハウストレントを成長させていきながら、身の回りの品を増やすよ。成長させられるって言ってたよな、ビゲート?」
改めて僕はビゲートに確認してみる。
『ああ、言った。ただそれには、必要な物が多いぞ。それこそ、このトレント達の地域外まで行って契約をしてくる必要がある』
「うっ、仕方ないから頑張るさ」
僕は住環境の整備のためなら頑張ることを決意する。
その時だった。
ぐーと、久しぶりに僕のお腹が鳴る。
『ウンディーネの涙を摂取してないからな。食事をとる必要があるぞ』
「ああ、それでさっき賃貸契約をするときに食料の提供をすすめてくれたのか」
『先見の明があるだろ。褒め称えてよいぞ』
「……はいはい。すごいすごい。いつもたすかるよ、ビゲート」
棒読みで台詞を読み上げるように言ったのだが、それでもビゲートは自慢げに胸をそらしている。
なんだか微笑ましくなって、僕は思わず笑ってしまう。
新しく手に入れた家を出ると、僕は食料の提供を契約した別のトレントのもとへと向かうのだった。




