第25話 遭遇
──どうしてこうなった……
僕は出来るだけ自分の手元をみて、小さくなりながら食事をしていた。
場所は、トレントが密集してまるで集落のようになっている一角。
日差しを遮るように葉が生い茂り、トレントの根が良い具合にベンチとテーブルのようになっている。
ここも賃貸契約をかわして食事を提供する場──食事処を用意してもらったのだ。
巨大な葉に盛られた食事は、木の実と果物が中心だった。
やや物足りないが、それは贅沢というものだろう。味自体はとても良い。
問題は僕一人じゃないということだった。
僕の座る木の根のベンチの左右に、居るのだ。
人ならざる存在。
圧倒的な存在感と周囲を威圧するほどの魔力。
ウンディーネ=ロペと、ドリアード=リュ=ラパンガンが。
見た目だけは麗しい美女と、可愛らしい幼女だ。
まだほぼ人の型を保ったまま。その肌色はそれぞれ青と緑。そして、その身にまとうのはともに真っ赤な光が固着したような衣装。
それも体を引き絞るようなタイトなもので、つまり正直なところ、正視にたえない。
そんな二柱が、僕と同じ様に果物と木の実の食事をとっていた。
『お食事の真似事は、久方ぶりです。魔素の摂取としては決して効率的ではありませんよね』
『文句、あるなら、いね。みずおんな』
『まあまあ、お口が悪いですね。そもそも植物ロリババアは大人しく日の当たるところで、光合成をしていたら良いのでは? お水を恵んであげますわ』
『余計なお世話。そも、これは我が眷属のもの。吸収効率なら、我が勝る』
小さくなっている僕の頭越しに言い争う二柱。いかに危害を加えられない契約をしているとはいえ、ストレスが半端ない。僕は意を決して話しかけてみる。
「あ、あの……」
『なんだ?』『どうされました? 地主エルダ=ラースロット』
「今日はどうしてこちらに?」
『ぬしが、我が眷属とかわした契約、確認』
『とても面白そうなことをされているとトレントさんたちが言われていましたので。まだ債務の履行期間があって地下に戻れないので見学しにきました』
どうやら、二柱ともこの食事処のことが気になったらしい。
「……それはたまたま、偶然ですね」
『いや』
『偶然ではありませんよ?』
違うらしい。
もしかして今後ここに僕が食事に現れる度に、ウンディーネ=ロペとドリアード=リュラパンガンも来るのかと、僕は戦々恐々とするのだった。




