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第21話 新たな使い方

 足元が悪い。


 大量の水で大地は泥と化し、縦横無尽に根をはる植物に、走る足をとられる。


 何度も転びそうになる体。

 跳び跳ねた泥が全身にかかる。


 ──あぶなっ……でも、何だか前よりも転ばないな。


 それでもギリギリ転ぶことなく、走り続けることが出来ていた。

 自分では気がついていなかったが、何度も繰り返した壁登りで、体幹が鍛えられた効果だった。


 そして、互いに集中しあってやりあっているウンディーネとドリアードの死角へと回り込む。

 ドリアードまで、あと少し。しかしここから先は無数の爆発するキノコが生えてきていて、これ以上、容易には近づきがたい。

 なのでいったん、ちょうどそこにあった岩の陰に僕は身を潜める。


『エルダ。触れるのはトレントオブライフの本体の必要があるぞ』


 様子を伺っていた僕へ囁くように告げてくるビゲート。

 あい争う精霊二柱に気がつかれないよう、配慮してくれているのだろう。


「それは、いいけど……どこからが本体だか」

『ふん、弱気か。任せろ、エルダ』


 口の減らないビゲート。

 そして相変わらず自信満々だ。

 ただ、それは根拠のある自信だったようだ。


 スキルボードの上に立体で表示されていた地図が形を変えて僕の顔へと迫ってくる。


「なっ」

『動くな、エルダ。同期がずれる』

「同期って、何するの」


 顔へ迫ってきた地図に、僕は思わず目をつむってしまう。

『ほら、できたぞ。目を開けてみろ』

「……なんだこれ、すごい」

『そうだろ、そうだろ。凄いだろ』


 ビゲートが自慢げだ。

 立体で表示されていた地図が、僕の視界に重なるように変化していたのだ。

 顔や視線を動かすと、それに合わせて視界に重なって見えている地図も変わる。


 そして、その重なった地図の一部が金色に輝いていた。


「もしかして、これが──」

『そうだ。エルダにしては察しがいいな。そうだ、それがトレントオブライフの本体部分だ。その金色に光っている部分のどこかを触れば、ドリアードと賃貸契約を結べるぞ』

「……思ったよりも、狭いな」

『そこは頑張れ』

「頑張れって……いや、待てよ」


 最後丸投げのビゲートにあきれていると、僕の視界の端、少し離れた場所に、トレントオブライフの本体を示す金色に輝く光が見えた。


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