第15話 再交渉
「『エレキマタンゴクイーン、債務を履行!』」
僕とビゲートの声が重なる。
次の瞬間だった。
スキルボードから一直線に赤い光がエレキマタンゴクイーンである巨大なキノコへとのびる。光が、かつてウンディーネ=ロペにしたように、エレキマタンゴクイーンの巨大な体に巻き付き縛り上げていく。
『ぴぎゃーっ』
縦穴にエレキマタンゴクイーンの悲鳴が響き渡る。
それでも、エレキマタンゴクイーンを縛り上げる赤い光は止まらない。
ギシギシとそのキノコの体に光が食い込んでいく。
『どんびき、なのー。でも、とっても大きくて、おいちそう。あたちがたべるように出してくれたのかな』
レッサードラゴンであるサリエ=リーゼは最初、ドン引きした様子だったが、すぐに食欲に負けてようにとことこと縦穴の壁を這い進み、エレキマタンゴクイーンへと近づく。
よだれをじゅるじゅるに称えた口をぱかっとあけると、エレキマタンゴクイーンへと噛みつこうと試みるサリエ=リーゼ。
しかし、エレキマタンゴクイーンもただで食べられるようなことはさすがになかった。
そのキノコの体を紫電の光が覆い、バチッと激しい音をたてる。
『いちち……ふぅーふぅー。でも、これぐらいじゃ、あたちはあきらめないのー』
何か激しい光がエレキマタンゴクイーンとサリエ=リーゼの間に走り、周囲に魚の腐ったような臭いが漂う。
サリエ=リーゼの口に火傷が出来たようだが、それだけだった。
『エルダ。賃貸料の一部を使うか』
「ああ、わかった。ビゲート、他のエレキマタンゴが賃貸料で納めてきた『電気』とやらを使ってくれ」
『エレキマタンゴクイーンに電流を流す』
サリエ=リーゼとエレキマタンゴクイーンの攻防を見守っていた僕は、ビゲートに指示する。
次の瞬間だった。
エレキマタンゴクイーンがまとう紫電の光が一気に輝きをます。
電気とやらが、どんどんとビゲートからエレキマタンゴクイーンへと渡されていっているのだ。
大気がパチパチと弾け始める。
腐った魚のような臭いがいっそう強くなり、ついにはエレキマタンゴクイーンが激しく輝きを帯び始める。
『エルダ、エレキマタンゴクイーンへ全電力を譲渡完了した。いつでもいける』
『ひ、ひぇ……』
大口を開けていたサリエ=リーゼがいつの間にかじりじりと後退している。
目の前のエレキマタンゴクイーンに明らかに怯えたようだった。
そのタイミングで、僕は声を張り上げると再びサリエ=リーゼへと交渉を持ちかけるのだった。




