第14話 ドラゴンとの契約
「サリエ=リーゼさんっ。その背に僕を乗せて地上まで連れていってくれませんか。報酬はこの二倍のエレキマタンゴの肉です」
『もきゅもきゅ──』
僕の告げた内容に返事をせずに、エレキマタンゴの肉を再び食べ始めるレッサードラゴンのサリエ=リーゼ。
僕は大人しくお返事をまつ。
ここで急かすようなことを言うのは明らかに悪手だろう。
ようやくすべてのエレキマタンゴの肉を食べ終えたサリエ=リーゼが顔をこちらへと向ける。
口のまわりにキノコのカスがついている。
『話しにならないのー。見逃してあげるから、さっさと、ばいばいするのー』
「──報酬が、足りませんか?」
『ちいちゃいものは、ドラゴンを舐めすぎなのー。あたち達は誇り高いのー。はんぱ仕事は引き受けないのー』
「つまりは?」
『あーあー。言わないで、あげちゃのに。つまりは、あたちのことを、力でくっぷくさせてみるの。出来たら背中でもなんでも乗せてあげるのー』
そこまで告げると、サリエ=リーゼは、ばっと羽をひろげる。
ぺろんと口のまわりのキノコのカスをその長い舌で舐めとると、がっと口を大きく開いてくる。
それは、明らかに威嚇のしぐさだった。
「ビゲート」
『奥の手ですね』
「そうなんだけどさ。というか最初の時にレッサードラゴンたちに向かっていってたら僕、これ死んでたよね」
『まったく、エルダは細かいですね』
僕がビゲートにぼやいているのを不思議そうにみるサリエ=リーゼ。
どうやら、僕が独り言を言っているように見えるようだ。
『なにいってる、の? 大丈夫?』
なぜか心配されてしまう。まさか残念な子をみる目をドラゴンから向けられることになるとは思っても見なかった。
僕は咳払いして、そんなサリエ=リーゼに返事をする。
「すまない、待たせて。力を示せば、良いんだね。ビゲート『延滞者召喚』」
『延滞さん召喚スキームを発動。選定を開始するぞ。選定完了。延滞属性、敷金礼金未払い。未納により使役強制を設定する。設定完了。エレキマタンゴクイーンを召喚する』
スキルボードが激しく点滅を繰り返しながら、ビゲートの声でスキームが読み上げられていく。
次の瞬間、ぼんっと砂塵を巻き上げ、巨大なキノコが僕の真横に出現した。




