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Please speak!  作者: 長野原春
39/113

家族でパーティもいいじゃない

「来たぜクリスマスイヴ!」

『わーい。』

「冷蔵庫には俺渾身のクリスマスケーキが用意されています。」

『わーい。』

 部屋の飾りつけなんてものはないけど、今日は12月24日。

 夕飯後にクリスマスパーティだ。

「去年は何がクリスマスだよとか言ってたのにな。」

『こんな時だけキリスト染まってんじゃねえよとか言ってた気がする。』

 彼女がいるとここまで違うものか。

「おっ、夏央の作ったケーキすご。お店で見るケーキと変わんないじゃん。」

 冬姉が冷蔵庫を開け、俺のケーキを見て驚く。

「似せたからな!」

『量産型ケーキ(ボソッ)。』

「見た目だけな!」

 いや、ほんとに見た目だけ。

『今日はお母さんが7時には帰ってくるって言ってた。』

「うちの母さんもなるべく早めに帰るって言ってたな。」

「おおー、なつくん、ケーキすごいねえ。もしかして買った?」

「買ってないって!」

 見た目似せたの良くなかったか!?

「普通に買ったら3000円くらいしそうなケーキだよね、大きさからして。」

「これなら作った方が安上がりだね!」

『私も負けてらんない。今度ケーキ作ってやる。』

「フッ、俺様にかなうかな?」

『みなさん、なっちこと料理自信ある系乙メンはここです!』

「だから名前の位置逆だから!」

 完全にけなしてるだろそれ。

「春女、お酒買ってきた?」

「うん、買ってきたよ。冬華さんはチューハイだよね?」

「おうおう!いいね!」

 2人の姉が酒で盛り上がってやがる。

 クリスマスといったらシャンパンなイメージがあるんだけども。

 どうせ俺たちはシャンメリー。

「てか、春姉は酒飲みすぎないでくれよ・・・?」

「はぐっ!?の、飲みすぎないよ!た、多分!」

 とても心配だ。

 この前あんなことがあったばかりだし。

「お、なになに?春女が夏央になんかしたの?」

「い、いや!?なんでもないよ冬華さん!」

「その反応、なんでもないわけないでしょうよー!教えろーっ!」

「いーやーっ!」

 冬姉が春姉に襲いかかる。

『そういえば私もなにがあったかは聞いてないなー。何があったんだいなっち(イケボ)。』

「そもそも声でてないんだけど?」

『おーしーえーろーよー。』

「秘密っ!!」

 義姉に告白されたなんて言えるかっ!!

『ならこの前なっちが襲い掛かってきたことをだな。』

「そんなことした覚えはないんだけど。」

 そもそもキミからしてきませんでしたかね。

『まさかなっちにあんな辱めを受けるとは・・・。』

「セーフだよな!?あれセーフだよな!?」

 もしかしたらってのを伝えただけだよな!?

 しかも言葉には出してないし!

「え、えええ~~~~っ!?」

 冬姉の叫びが響いた。

「こ、声が大きいよ冬華さん。」

「まーまー春女。血は繋がってないしいけるっしょ!あたしなんて実の姉だから無理だかんね!」

 あ、春姉ゲロったな。

「・・・(すたすた)。」

 ミー子が俺を離し、春姉の方へ向かった。

 そして、春姉の肩をロックする。

『オウオウ姉ちゃんよ、俺にも何があったのか教えてくれよぉ?』

「なんかガラの悪いあんちゃんに絡まれた!?助けてなつくん!」

「めんどくさいからやだ。」

『助けを求めたって無駄だぜぇ?ほらほら言って楽になっちまえよヒッヒッヒッ。』

「この人怖いよ!あとケータイ打つのに時間かかるから容易に抜け出せそうだよ!?」

「じゃあ律儀に待ってあげるんじゃなくて抜け出せばいいんじゃないかな?」

 ミー子に甘すぎだろ。

「おうおう春女ぇ、あたしにも言ったんだし美衣ちゃんに言ってもいいんじゃないのかい?それともあたしから美衣ちゃんに言ってあげようかぁ?」

「ヘルプミーなつくん!助けてくれたらお姉さんちゅーしちゃう!」

「よし乗った。」

 乗ったもクソもないがとりあえず助けてあげることにしよう。

「ミー子冬姉サラダバー。」

 ミー子と冬姉の腕をほどき、春姉を抱えて階段を上がっていく。

 ・・・やっぱ人一人持ち上げるのって重い。

 春姉の部屋でいいか。

「部屋に鍵はかかってないけどあの2人の良心に任せよう・・・。」

「ぜぇー・・・はぁー・・・。」

「まさかなつくんにお姫さま抱っこされちゃうとは。・・・壁に足がすれたりぶつけたりして痛かったけど。」

「そこまで・・・気を回せなかった・・・。」

 人かかえて階段上がるのつれぇ・・・。

「あ、ありがとうなつくん。だ、大丈夫・・・?」

「春姉が重いってわけじゃなくて・・・人一人抱えて階段ダッシュは・・・疲れた。」

 床にうつぶせで倒れる俺、カッコ悪い。

「で、でも頼もしかったよ!なつくん、意外と力あるんだね!」

「それは・・・一応筋トレというものを・・・してる、から・・・」

 退院後も体力の低下とかを避けるために筋トレを続けていた。

 退院直後は全然できなかったけど。

「へえ、なつくんこと料理自信ある系乙メンは頑張ってるんだね!」

「だから逆ぅ!?」

 もうそれ完全の俺をバカにしてますよね。

「そしてなぜ冬姉に言ってしまったし。」

「冬華さんに・・・脅されまして・・・。」

 む、あまり穏やかな話じゃないな。

「言わなきゃ、私をモデルにしたキャラクターを友達のエロゲーの原画師に送り付けて、商品化したら私にプレイさせるって・・・。」

 何それ恐ろしい。

 自分を自分が攻略するとな。

 それよりも、自分に似たキャラクターが全国の男どもに攻略されるというわけか。

 そういえばミー子に似たキャラが冬姉の会社のギャルゲーにいたな。

 あれ半分は俺のせいだけど。

 やっぱりあのゲーム買ってる全国の男どもシバくか。

「まあ、春姉かわいいしモデルにしやすいんだろ。」

「ふぁあ、わ、私がかわいい・・・?い、いや!そんなことないよ!というか初めて言われたよ!」

 春姉があわてる。

「そう!春女は結構かわいいから二次元化しやすい!」

 バーンと扉を開け、冬姉が入ってきた。

「冬華さんの良心に期待した私がバカだったのかもしれない。」

「ごめんな春姉。それはバカだ。」

「うおおなつくんがひどい!」

「・・・(ばっ)!」

 ミー子が飛びかかってくる。

 ・・・春姉じゃなく、俺に。

「何で俺!?」

『おいおいハルさんだけずるいぜ?私にもお姫さま抱っこしやがれ。』

「気にするところそこ!?」

 ミー子があおむけの状態でこちらを見ている。

 そんな期待した目でこっちみんな。

「いけ夏央!抱っこだ!やれやれ!」

 はやし立てるな冬姉。

「なつくん!男を見せるんだ!」

 チャンスとでもいうように春姉も乗っかる。

 あんたは俺を助けろ。

『ミー子は ようすを みている!』

「やめろその某ゲーム風表現。」

 なぜ俺は春姉の部屋で彼女をお姫さま抱っこせにゃならんのだ。

「やれ夏央ー!」

 冬姉がカメラを構えてやがる。

 その状態からやれと言われてやる人いるんですかね。

「き、きれいに撮るよ!」

 春姉も俺と一緒に買いに行ったデジカメを構えてやがる。

 だからあんたは俺を助けろ。

『早くしろよ夏央。』

「お前は何でそんなに横柄なんだ!?」

 頼んできたのお前だよな!?

「い、行くぞ。」

『どんと来い。体は預けたぜ。』

「戦場かよ。せめて背中にしとけ。」

 背中と腿に腕を回し、持ち上げる。

「・・・かるっ。」

 かなり軽かった。

「ミー子体重いくつ?」

『やん、女の子に体重を聞くなんて。』

「女の子・・・?」

『ぶっとばすぞ。42キロですが。』

「大分軽いな!?」

 ミー子の身長が確か151㎝。

 そこから割り出される平均体重は・・・まあ大体50キロってところか。

『BMI自体は健康ってことになってる。それに朝走ってるし。』

「じゃあ、春姉は?」

「お、女の子に体重を聞くなんて!」

 春姉が顔を赤くする。

「さっきから乗りっぱなしだな春姉。」

「ご・・・51キロ。」

「いやいや春女。あんた身長あるんだから普通でしょ。」

「そ、それでも157だよ!?」

 いやむしろ普通じゃないですかねえ。

「じゃあ冬姉。」

「乙女の体重を聞くなんて!」

「いい年して乙女とか言ってんじゃねえ。」

「俺の拳がうなりを上げる!」

 冬姉が右腕を構える。

「まだ24歳なんだから乙女と言わせてよ。55キロよ。」

 冬姉がそういった瞬間、春姉とミー子の視線が一か所に集まった。

 いやそもそも冬姉は身長が160超えてるし。

 いやまあその2つが体重の足しになってることは明らかなんだけどさ。

 でもそう考えると冬姉も結構細いよね?

「てか夏央の体重はいくつなのよ。」

「63だけど。」

『おそらく普通なんだろうけどちょっと細いよね。』

 全員細かった。

「てかあんたらいつまでお姫さま抱っこしてんのよ。」

「ミー子軽いからあんまり疲れなくて。」

『このままキスしちゃう?』

「わ!ロマンチック!」

「しない!」

 ミー子を下ろした。

 姉の前で彼女とキスとかどんな公開処刑ですか。

 ちなみに写真はばっちり撮られていました。


「たーだいまー。いやあ早く帰ってこれてよかったわ。」

「お邪魔しまーす。」

 母さんと那空なあさんが同時に帰ってきた。

『おかえりなさい。』

「おっ、母さんお帰り。那空さん!お久しぶりです!」

「わ!冬ちゃんお久しぶりね!どうどう?彼氏とかはできたの?」

「わーちょっとその話は勘弁です!」

 冬姉が逃げる。

「・・・あの子も来年25なんだから、そういう話があったっていいはずなんだけどねえ」

「ま、まあまあお母さん。」

 この人そうそう彼氏できないと思うぞ。

「よーし夕飯ね!今日はピザが来るわ!」

「よっしきたピザ!」

 冬姉が嬉しそうにする・・・太るぞ。

『たまにはがっと食べてもいいよね。』

「たまには・・・って、ミー子普段から食うよな?」

『甘いものはいくらでも食べれます。』

「ピザは甘くないぞ・・・?」

『知らないとでも思ってるのかぶっとばすぞ。』

 ひえええ、俺の彼女が怖い。

「ほらほら秋穂、みんなもグラス出して。飲み物あるから!」

 那空さんが飲み物を注いでくれた。

 母さんと那空さんはワイン。

 冬姉と春姉はシャンパン。

 俺たちはオレンジジュース。

「・・・なぜ?」

『どうせ俺たちはシャンメリーを返せ。』

「・・・美衣は何を言ってるの?」

 那空さんが首をかしげる。

 まあいいよ、オレンジジュースで。

「特に夢もないけどクリスマスかんぱーい!」

 母さんいいのかそれで。

「かんぱーい!」

 那空さんも乗っかる。

 あんたらもしかしてもう酔ってんのか。

 まあみんな乾杯してるしいいか。

「久々だがピザうまい。」

「たまにはいいよね!・・・普段から食べたら太っちゃうけど。」

「もしかして春姉ピザとか好き?」

「うん!好きだよ!あー、でも普段はガマンしてるかな。」

 ガマンか・・・俺ならできないな。

 食べたいもの食べたいし。

 しかし女性は体型維持とかかなり気にするしな。

 難しいもんだ。

「後でちゃんとブレスケアもしないとね!」

「ピザって意外とガーリック多いからねー。」

 そういえば結構臭いキツイよな。

 美味しい物の法則かもしれない。

「夏央、シャンパンおかわり。」

「はいはい。」

「えへへ~なつくん、私もおかわり~。」

「春姉はもうだめ!飲むな!」

 シャンパンって結構アルコール強いのか。

 ・・・12%か。

「ええ~お願いだよなつく~ん。」

「今その状態でこれ以上飲んだらどうなるかわからないから!」

 この前みたいになっても困るし!

 なんで紗由さんといた時は酔ってなかったんだ。

『なるほどなるほど。この前大騒ぎしてた理由はこれね。』

「ああ、そういうことだ。」

 ほかにも理由あるけど。


「ふー、食べた食べた。」

「ケーキはまだあとででいいよな。」

 チーズの後にすぐケーキってのはかなりきついだろうし。

「あ、そうだそうだ。ねえ母さん那空さん、これ見てよ。今日の夏央と美衣ちゃんなんだけどさ。」

 そういって、冬姉が母さんたちにさっきの写真を見せた。

「あらあら。」

「二人とも笑顔で微笑ましいわね。」

「ちなみに最初はこっち。」

 何枚撮ってんだ冬姉。

「あっはは!緊張してる!表情硬いわ!」

「面白いわね!・・・ああ、写真といえば。」

 待った那空さん、その写真なんだ。

「この前、美衣の部屋で撮った写真なんだけど・・・。」

「わあああああああああああ!!那空さんストップ!!」

「・・・(ばっ)!」

 俺たちはものすごい勢いで那空さんに向かっていく。

 ちょっと待ってくれその写真はまずい。

 ミー子も顔真っ赤じゃないか。

 さては思い返して恥ずかしくなったな。

「えー、いいじゃない、もう2人は付き合ってるんだから~。」

「そ、それとこれとは話が違うな!?」

『見せられる方の身にもなって、お願いだから。」

 別にエロいことしてたわけじゃない。

 ・・・エロいことしてたか。

 ただそれを母親とか姉に見られるのは・・・ね?

 これがさっきの春姉の気持ちか・・・?

「なんだか必死ね、見たくなっちゃう。」

「あたしも同じこと考えてたよ母さん。」

 あっこの人たちこういう人だった。

「冬華、夏央たちを押さえててもらえるかしら。」

「あっずるい。先に見ようとしてる。」

「母さんに譲りなさいよ。」

「分かったよー。というわけで、大人しくしててね!」

 冬姉にロックされた。

 おいおい、何でこういう時だけ力が強いんだい?

「って、アー!ストップ見るな!見せるなー!」

 抵抗も虚しく、この前してたことがばれた。

「・・・よし!」

「ねえなにがよしなの!?」

「ねえ那空ちゃん、冬華、春女、まだ飲み足りなくない?」

 俺の話は聞かず、母さんが続ける。

「足りなーい!」

「あたしも足りない!」

「まだ飲める~!」

 あんたはもう飲むな!

「これから飲みに行くわよ!・・・春女が少し心配だけど。」

 そういって、外に出かける準備をする母さんたち。

「あんたたちはお留守番頼むわね。」

「ちょっと待って!?目的それだけじゃないだろ!?」

「あーら、なんだというのかしらー?」

 にやにやしながら言う母さん。

 そのにやにやでだいたいなんなのか分かんだよ。

「・・・いい夏央?避妊だけはちゃんとするのよ?」

 ほらやっぱり!!

 耳元で小声で言うな!!

「じゃーねー!」

 母さんたちは上機嫌で家から出ていきやがった。

 俺とミー子は家に2人で取り残されてしまった。

「・・・あのですね、ケーキ、食べてないんですよ。」

『これは悲しい。せっかくなっちががんばって作ったのに。』

 冷蔵庫の中には、母さんたちに忘れ去られたケーキが鎮座していた。

「・・・(くいくい)。」

 ミー子が俺の袖を引っ張った。

『なっち、一応、何でお母さんたちが出かけたかは分かってるよ。』

 分かってるんですね。

 いや、俺も分かってるよ。

 あんなんで分からないほうがおかしいもんね?

『言っておくことがあります。』

「ほう。」

『私、今日はしたいとか思いません。』

「奇遇だな、俺もそう思っていた。」

 母さんたちの策略にはまるようでなんかやだ。

『なっちは普段から特にしたいとは思ってないでしょ。』

「その普段のミー子はいつでもしたいとか思ってるように聞こえる発言はやめろ?」

『思ってるよ?』

「思ってるのかよ!?」

『嘘だよ?』

「安心したよ!?」

 普段からそんなヤりたい盛とか嫌です。

『まあ、この前はちょっと、本気だったけど。』

「この前ね・・・。」

 危うく俺も本気になるところだったアレね。

 那空さんに写真撮られてお終いになったけど。

『今日はほら、お母さんたちに乗せられたみたいで嫌です。』

「とてもよく分かる。」

『というわけで、私たちだけでケーキを食べよう。』

「賛成!」

 本当はみんなで食べようかと思ったけど、まあ仕方ないね。

 冷蔵庫の中にあったブドウのカルピスをコップに注いだ。

『ちょっと雰囲気あるね。』

「飲み物はもうちょっとなんかあった気もするんだけどな。」

『私たちは仕方ないよ。成人したら一緒にシャンパンでもやろう。』

「それがいいな。」

 さっきもしたけど、もう一度乾杯。

「・・・(ぐっ)。」

 ミー子が右手をサムズアップした。

 お気に召してくれたようだ。

「なんか、あれだな。静かでいいな。」

 テレビはついていない。

 聞こえる音といえば、ストーブの音と、ときどき通る車の音くらいだ。

 それもなんだか穏やかでいい。

「・・・(すたっ)。」

 ミー子が立ち上がり、俺の隣に座った。

「あんまりくっつかれると食べれないんだけど?」

「・・・(にこっ)。」

 そう笑顔になられましてもねえ。

 でも、隣にいると暖かいな。

 まあそんな急いで食べるものでもないし、いいかな。

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