対決です
「さー夏央、美衣ちゃん、1週間経ったが君たちのノートはどうなったのかね。」
俺とミー子のノート取り対決開始から1週間、ノートは誰に見せても恥ずかしくないものとなった。
もともと俺は字がきれいな方 (たぶん)だからな!
それに比べてミー子は字がきれいとは言い難い。
いや、汚いというわけではないんだけども。
「大丈夫、俺は最近授業でも寝てないし、優等生なんだぜ。」
「そのせいで先生から何かあったのかって逆に心配されてるけどな。」
「うっせうっせ京介うっせ。」
先生も失礼だよな。
まじめに勉強してるのに頭でも打ったのかとは。
『なっちは普段から態度が全くまじめじゃなかったもんね。』
「おうミー子にだけは絶対に言われたくはないんだぜ。」
お前もよく寝てるじゃねーか。
「ほうほう、アヤのノートなかなかきれいだね。これは他人から写真撮られたり貸してとか言われるレベルだ。」
「おいコラ祈木なに勝手に見てやがる。」
といいつつ、褒められてちょっと嬉しい。
ねえ、私 (のノート)キレイ?
「あれ?かがみん、字キレイになった?」
『どっちかと言うと普段力抜いて書いてるだけ。』
「なん・・・だと・・・?」
思わず戦慄する俺。
ミー子は、字までも手を抜いて、力を温存していたというのか・・・?
『ふっふっふ、なっち、私の字が汚いと油断していたね?』
「前勉強会をしたときの字がきれいじゃなかったからな。」
『小学校の頃の字を思い出してみ。』
「小学校の頃?・・・ああ、そういや・・・って、ミー子の字がきれいだった記憶ねーよ。」
どう考えてもない。
ミー子がバカを見たような顔をしている。
『ハッハー気づいたか、実は最近字の練習をしているのだよ。母さん字きれいだし。』
「そうだな小学校の頃のやったらきれいな字は那空さんのものだよな。」
「やっべえ何これ美衣ちゃんの化学のノートやべえ。」
『コピーOK、撮影、転載禁止。』
「オーケーテスト前には使わせてもらうかもだぜ。」
そこで、ミー子がにやりとする。
『コピーの契約料は100円だぜぇ?』
「くっ・・・!分かった、これを受け取れ。」
京介がミー子に100円を差し出した。
『毎度あり。鈴波くんの私のノートのコピー権限は解放されたぜ。』
「やったぜ。」
まさかの金の取引だぜ。
おい待て、何で祈木は200円用意しているんだ。
「か、かがみん・・・いや、鏡崎さま・・・私に、化学と数学のコピー権限をくだせぇ・・・!」
『いいゾイ。』
あっという間に300円稼いだミー子。
俺の国語と日本史のノートもこんな風に行けそうなんじゃね?
「ミー子、こうなった以上、ちゃーんとノート取らなきゃな?」
「・・・(びく)。」
もしかしてこれからサボるつもりだったのかコイツ。
『お金もらっちゃったし当たり前でしょーが。』
「ま、金が発生したとはいえ、俺は負けねーよ?」
『私だって、なっちを超えるいいノートにしてやるつもりよ?』
「まあ、結果は冬休みになりゃわかるさ。」
12月に入れば、冬休みなんてすぐそこだ。
特編の授業ですぐに帰れる日も多くなるし、少し早く寝れば、授業中起きてることも何ら苦じゃなかった。
きれいにまとめたノートは見るだけでも復習になるし、もうすでにまとまっているので帰ってからまとめ直す必要もない。
学校では授業を受けて、帰ったらゲームをしたり、バイトをしたり。
冬休みはかなり近づき、そろそろバイト先の冬限定メニューを考える時期だ。
「これ、俺たちガチで成績上がるんじゃね?」
『この前の期末テストも、割と点数悪くなかった。』
「はっはーこれで俺は推薦で大学やら行けたりするかもだぜ?」
『じゃあなっちよりいい成績取って私がなっちの推薦枠奪ってやろう。』
「それは悲しみしか生まない。」
『たしかにね。』
進路・・・料理系に行こうか、他にしようか迷ってる。
料理系に行けばそれ一本での勝負となる世界だ。
ついて行けるかと言われれば心配かもしれない。
もしミー子がついてきてくれたりするのなら俺は負ける気がしないけどな。
「あっ!!!」
「・・・(びく)。」
そうだ思いついた!
冬限定メニュー!
冬にピッタリのスイーツがあるじゃないか!
あれは冬なら格別においしく感じるもの!
『いきなり大きな声出さないでくれびっくり。』
「ごめんごめん。冬メニュー思いついちゃってさ。しかも楽に作れるやつ。」
『ほうほう、いいんじゃない?』
「その名は・・・フォンダンショコラだ!」
「・・・(ぽん)。」
ミー子の左手に握った右手が乗っかった。
『いいねいいね、この時期売れそう。』
実はミー子はあの後もバイトを続けている。
俺より出勤日数は少ないけど、ちゃんと働いているみたいだ。
みたいだ、というのは、実はまだミー子と一度も一緒に仕事をしていない。
まあ厨房は何人もいらないしな・・・。
『なっちと同じ味で、なっちと同じ早さなら、かなり戦力らしい。』
「え?ミー子、もう俺と同じ早さでモンブランとか作れるの?」
『んにゃまだ。』
「うん、安心した。」
正直そんな速さで追いつかれたら俺の立場が危ない。
・・・そういえば、俺のほかにも厨房担当のバイトは2人ほどいるけど、そいつらの話は聞かないな。
・・・それだけ俺が上手と言うことですね!
「ただいまー、うー寒い。」
リビングの明かりがついている。
春姉かな?
「あっ、なつくんおかえりー。」
暖房の効いた部屋でソファにどべーんと寝ている春姉がいた。
「うおお部屋があったかい。やべーもう部屋戻りたくない。」
「こーら、コートだけはちゃんとハンガーに掛けなきゃダメだよ?」
「分かってるよー。」
さっさと部屋に戻り、コートをかけて着替え、リビングに戻る。
12月になってかなり寒くなってきたため、暖房が効いていてもストーブを焚いてしまう日が増えた。
「いやー、ストーブの前を占拠するっていい気分だよな・・・。」
「あっずるい!私もあったかくなる!」
そういってソファから降りて、俺の隣にくっついてくる春姉。
近い、近いです。
肩や、脚がぶつかり合う。
「・・・っ、」
「おー?なつくん、照れてる?」
「い、いやいや、そんなんじゃないよ?違うからね?」
「えー?・・・でもこれって、なんだか彼氏彼女みたいだね?」
もしこれが普通の男なら、動揺したりするかもしれない。
しかし俺は違う。
「俺の彼女はミー子だけなんで。」
彼女いるからな。
「あ、なつくんノリ悪い。ぶー。」
「あっ不機嫌になるんですね・・・。」
ちょっと予想外の反応だった。
「もういいよー、私一人でお酒飲んじゃおー。」
「え?こんな時間から?」
「だってなつくん、彼女できてから少し付き合い悪くなっちゃったんだもーん。もうちょっとお姉ちゃんにもかまってほしいんだけどなー。」
そういって、冷蔵庫の中からワンカップビンの梅酒を4つ取り出した。
「いやどんだけ飲む気!?」
「冗談冗談。なつくん、隣に座ってよ。」
言われたとおり、春姉の隣に座る。
すると、春姉が俺の肩に頭を預けてきた。
「んふふ、なつくんの肩確保ー。」
「もしかして飲んでないのに酔ってる?」
「むー、なつくん失礼だなー。」
ビンを開け、梅酒を一口。
「んーおいし。最近・・・と言うか前からだけど、なつくん、帰ってきてそのまま美衣ちゃんのところとか、バイトとか行っちゃうでしょ?私としゃべる時間がないよー。」
春姉が頬を膨らませる。
「でも最近勉強も頑張ってるらしいね?えらいえらい。」
そういって、頭をなでられる。
「私もなつくんのこと大好きだから、一緒にいたいんだからね?」
「・・・えっ?」
「んー?だからー、私だって、なつくんのこと大好きなのー。彼女優先なのは分かるけど、たまにはお姉ちゃんにだってかまってほしいんだよー。最近、紗由とも仲よくしてるし。」
大好きと言われて、思わず春姉の顔を見た。
・・・完全に真っ赤だ。
酔ってますね。
「それは、ヤキモチってやつ?」
「そーだよー。美衣ちゃんとらぶらぶしてて、紗由とも仲よくしてるのに私だけ・・・。もうちょっと、私とも仲よくしてよー。」
春姉が横から抱きついてくる。
これはどうしたものか・・・。
「そういえばなつくん、傷はもう大丈夫なの?」
「もう1か月経ったからな・・・さすがに大丈夫かな?」
「どれどれ~?」
そういって、春姉が俺のシャツの中に手を入れてきた。
春姉の細い指が俺の腹を這う。
それが非常にこそばゆい。
「ちょ、春姉。」
「ほんと、頑張ったよね。」
春姉がそのままもたれかかってくる。
「大切な彼女が危なくないように逃がして、刺されたってのに逃げずに戦ってさ・・・。言ってなかったけど、私だってすごく心配だったんだからね?」
「ご、ごめん・・・。」
「いろいろな人に言われたとは思うけど、多分、何度も聞いたとは思うけど、私からも言わせてね。お願い、自分は大丈夫だとは思わないで。無理しないで。」
春姉が抱きつく。
酔ったテンションなのか、春姉の肩が震えている。
感情が昂ぶっているんだろう。
「もしなつくんが死んじゃったりしちゃったら・・・私、立ち直れないよ。」
「春姉・・・。」
「なつくん、今から私が言う事は、聞かなかったことにしてくれていい。本当だったら、これは押さえておかなきゃいけないことなの・・・それでも聞いてくれる?」
春姉が上目づかいで聞いてくる。
これは・・・断れない。
「分かった、聞くよ」
「うん、ありがとう。でも、すぐに忘れてくれていいからね。」
春姉が俺の胸に顔をうずめ、ぽそぽそと話し始めた。
「私ね、いつからかはわからないんだけど、なつくんのことが好きなんだ。」
「・・・おおう。」
「いつからだろうね、もしかしたら、最初からかもしれないし、なつくんが春姉って呼んでくれた辺りかもしれないね。なんか、なつくんのこと意識し始めちゃったというか・・・そんな感じ。」
「ゆ、ゆるいな。」
「お酒のせいかもね。なつくん、私と初めて会ったときは冷たかったけど、今はこんなに優しくて・・・。美衣ちゃんだけじゃなく、私にも優しくしてくれて・・・嬉しかったんだ。」
なおも、春姉は続ける。
「過去のことを話しても、すぐに受け入れてくれて、私、救われたんだよ?すごく嬉しかった。この人なら、いつ一緒でもやっていけそうだなあって思った。だってほら、義理なら結婚できるじゃない?でも最近、なつくんに彼女ができて、私と話す時間も少しずつ減って・・・。」
「そ、そんなことは」
「あるよ。だって、なつくん最近家にいる時間自体短いんだもん。このまま、いつか全く話さなくなるのかなって思ったら、そんなの絶対嫌だ!って思って・・・。ごめんね、なつくん。こんな話聞いても、迷惑だよね。」
「迷惑なんかじゃないさ。むしろ、春姉のことに気付いてあげられなくて、俺の方こそごめん。」
「い、いや、なつくんが謝るようなことじゃないよ!今だって、私がこんな話しなきゃすむことだったんだし・・・。」
春姉が焦った顔を見せる。
「ありがとう、春姉。」
「・・・え?」
「俺の事、そんな大事に思ってくれて、ありがとうな。これからは、春姉のことも寂しがらせないようにするよ。」
「え、べ、別にいいんだよ!?この話は忘れてくれていいんだし!」
「いやいや、姉を寂しがらせる弟って、家族としてダメだろ。でも、やっぱり彼女は優先してもいいかな?もちろん、春姉の買い物とか、飲むときの話し相手とかは付き合う。」
春姉の動きが一瞬止まり、目に涙がたまってくる。
「やっぱりなつくん優しいや・・・。私嬉しいよ。わがままな姉でごめんね。もちろん美衣ちゃんを優先してあげて。でも・・・たまには、私の事も、かまってね。」
「うん、約束するよ。」
「う、うう、うわあ~~~~~ん!」
「なぜ泣くぅ!?」
突然春姉が泣き出した。
「なつくん、本当に、わがままな姉でごめんねぇ~!」
「は、はは、大丈夫だって。いいのいいの、家族なんだから。」
「うわぁ~~~~~~~~~!」
酒が入ってるせいか、泣き止むまで結構時間がかかった。
「なんで言っちゃったの私ぃぃぃぃぃぃっ!?」
泣き止んだら泣き止んだでまだうるさかった。
「言わないって決めてたのに!抑えておこうって思ったのに!私のバカ~~~~~~っ!」
珍しく春姉が大声で大騒ぎしている。
「ま、まあまあ落ち着いて。」
「私ちょっと死んでくる。」
「早まらないで!?」
二階に行こうとする春姉をあわてて止める。
「あんな話聞いたら気まずくなっちゃうの分かってるよ!これからちょっとずつ話しづらくなって最後はなつくんが家から出ていっちゃうんだあああああああ!!」
春姉が頭をブンブンと振る。
この人酔わせるとめんどくせえ!
「春姉!絶対そんなことないから!これからも普通!俺たちは姉弟!家族!」
「・・・ほんとに?」
「本当だから!俺の事そんなに思ってくれてて嬉しかったから!」
「・・・もし私が我慢できなくなってなつくんに襲いかかってもいいの!?」
「それは困るな!?」
寝かせたほうがいいかこの人!?
「本当に気まずくならない?今まで通り接してくれるって約束してくれる?」
「あ、ああ約束するよ。俺も春姉と話せなくなるとか嫌だし。」
「なつく~~~んっ!!」
春姉が抱きついてくる。
梅酒ワンカップでこんなに崩壊するのかこの人・・・。
「春姉、落ち着いて、とりあえず寝て。」
「なつくん!?まさか!」
「春姉が思ってるようなことはしないからな!?お願いだからその酔いを醒まして!?」
『ちょっとちょっとどうしたの。』
春姉を寝かしつけてすぐ、ミー子がやってきた。
もしかして春姉の声が聞こえてたのか・・・。
『ハルさんすっごい騒いでたしすっごいドタバタしてたし。』
「まあ、春姉が暴走してな・・・。」
酒でな。
『寝てるの?』
「ああ、今寝たところだ。・・・前に紗由さんが来たときにも飲んでたけど、あんときは酔ってなかったんだけどなあ・・・。」
『梅酒って結構アルコール強いでしょうよ。』
「14度・・・って、ビールとかより強いんだ。知らなかった。」
前に一度舐めたことがあるが、そんなに強かったとは。
『冷蔵庫にまだいっぱいあるね。私らも飲む?』
「飲みません。」
ミー子の酔ったところは見たことないけど、なんかめんどくさい気がする。
というか、見たところないのは当たり前か、未成年だもの。
『成人したら飲んでみる?』
「まあ、それなら付き合うわ。」
『楽しみにしてる。』
ミー子が微笑む。
酒か・・・。
俺飲めるかな。
飲んだことないけど、飲めなさそう。
母さんは飲むけど。
冬姉も飲むけど。
・・・あれ?俺も飲めるんじゃね?
『母さん飲めるし、私も飲めるかも?』
「まあそれは、どうだろうな。」
『ああそうそう。』
「どした?」
『今から冬メニュー試作してみない?』
冬・・・フォンダンショコラか。
「作ってみないって今から作るの?」
『楽なんだよね?』
「まあ楽だけど・・・チョコレートがないんだ。」
『じゃあ明日?』
「明日は俺がバイト・・・。」
『私が一人で作ろう!任せろ!』
ミー子が胸を張る。
『レシピなら分かるし一人でもいける。』
「任せろっていうんなら任せようかな。」
『よし任された。』
ミー子なら、まあ大丈夫だろう。
「多分、あとでミー・・・美衣が来ると思います。」
「ん?今日って絢駒君いるしバイト休みでしょ?」
「冬の限定メニュー、持ってくると思います。」
店長にそういうと、なんだか微妙な表情をされた。
「あ、ああー・・・、そうなんだ・・・。」
そして帰ってくる微妙な返事。
「ど、どうかしたんですか?」
「ん、まあ・・・ほら、冬だから寒いし、なんかあったかいものを・・・と思って勝手に決めちゃってたんだよね・・・そういえば言い忘れてたよ。」
「・・・マジですか。」
「まじまじ。フォンダンショコラなんだけどさ。」
「・・・マジっすか!?」
「えっ何その反応!?」
奇跡か、これは奇跡なのか。
「いや、冬メニュー、俺たちもフォンダンショコラにしようって話してて・・・。」
「じゃあ採用だね!すごいね!?」
「偶然ですね・・・。」
「偶然だね・・・。」
二人ともそれ以降何も言わず、仕事に専念した。
まあ、会話なんてバイト終わった後でいいもんな。
「お、ミー子。」
「・・・(ひらひら)。」
ミー子が手を振りながら厨房に入ってきた。
「・・・(きょろきょろ)。」
辺りを見回し・・・
「・・・(ちょいちょい)。」
なぜか俺が呼ばれた。
「ど、どうした?」
『店長どこ?』
フロアを見渡しても店長はいない。
厨房にもいないので、事務の仕事中だろう。
「ここにはいないみたいだし、案内するよ。」
『ありがとう。』
いったん厨房を離れ、店長の部屋まで行く。
思った通り、部屋の明かりはついている。
「ここだから。」
『分かった。』
ミー子が扉をノックする。
『はーい?』
部屋から、店長の声が聞こえる。
「・・・。」
しかしミー子はなにもしない。
『あ、美衣ちゃん?入って入って!』
「・・・(びく)。」
あてられて驚いている。
じゃあなんかアクションを起こすとかしてろよ・・・。
厨房で仕事を続けていると、ミー子が戻ってきた。
『やったぜ。』
初採用で嬉しそうだ。
表情には出てないけど。
「よかったな。」
『納得のいく出来だったものでね、フッ。』
「そんなにいい感じだったのか。」
『まあね。帰ったらなっちの分もあるし、一緒に食べようか。』
「お、いいね。楽しみにしてるぜ。」
『おう楽しみにしててくれ。』
微妙にドヤってるミー子をよそに、仕事を再開する。
『頑張ってね、またあとで。』
「おう、あとでな。」
ミー子が厨房から出ていく。
限定メニューが決まったということはフォンダンショコラのレシピも頭に入れておかないと。
迅速に、おいしくだ。
「・・・っと、とりあえず今はモンブランだ。」
マロンのな。
「絢駒君、今日もお疲れ様。寒いからコーヒーがよく売れるね。そして一緒にケーキもね。」
「やっぱりモンブランは人気ですね。」
「うち、ネットの評価だとモンブランが特に美味しいって書かれてるんだよね。絢駒君のおかげだね?」
店長が笑う。
俺のおかげ・・・なのか?
「ちなみにおいしさが日によって違うとも言われてるんだよね。これ完全に絢駒君が出る日だよね?絢駒君が絶対に入ってる火曜日と金曜日が当たりの日って書かれてるし。」
「たしかに、俺ですね・・・。」
俺のおかげらしい。
どうりで俺の入ってる日はモンブランのオーダーが多いわけだ。
日曜日とかに入ってる時はあまりモンブランだけ多いなんてことないんだけど。
「よし、厨房全員の腕を上げて、モンブラン以外もおいしいと言われるようにしよう!ちなみに毎週月曜日はチョコレートケーキが売れるんだ。」
月曜・・・俺とミー子以外の厨房担当の人だろうから、その人はチョコケーキがうまいのか。
よし、俺も全部平均的に高クオリティにしてやるぞ。




