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Please speak!  作者: 長野原春
27/113

修学旅行です 2

「おおー、こりゃすげえや。」

『かっこいい。』

 2日目、俺たちは首里城に来ていた。

 赤い!カッコイイ!

『琉球王国の外交、政治、文化の中心としてシンボルになっていたのが、この首里城です。中国と日本の築城文化を融合した独特の建築様式や石組み技術には、高い文化的、歴史的な価値があるとされ、首里城跡は、2000年12月、日本で11番目に世界遺産に登録されました。』

 説明の音声が流れてくる。

『琉球王国の歴史は、450年の時を経て、薩摩の侵略、そして廃藩置県により、その幕を閉じたのでした。』

「薩摩ってそんなこともしてたのか。」

『西郷どん何してるんですか。』

『首里城から国王が追放され「沖縄県」となった後、首里城は日本軍の駐屯地、各種の学校等に使われました。1930年代には大規模な修理が行われましたが、1945年にアメリカ軍の攻撃により全焼しました。戦後、跡地は琉球大学のキャンパスとなりましたが、大学移転後に復元事業が推進され現在に及んでいます。復元された首里城は、18世紀以降をモデルとしています。2000年12月には、首里城跡が世界遺産に登録されました。』

「城が駐屯地に使われてたのか。」

『まじかよアメリカひでーな。』

 それぞれ別の感想を抱いた。

 どっちかというとミー子は特に深く考えてない気がする。

 いや特に俺もあんまり深く考えてるわけじゃないけど。

「万国津梁の鐘つきの体験イベントを開催しておりますー!希望の方はこちらへ!」

「鐘つきだってさ。」

『やってみたい。』

 鐘つきの列に並ぶ。

 結構人が並んでいる。

「まさか首里城で自由行動とはな。」

『いいじゃないの。』

 うちの高校はどこまでも自由だった。

 人は並んでいたが、結構はけるのも早かったため、すぐに俺たちの番が来た。

『なっちお先にどうぞ。』

「ん、分かった。じゃあ写真撮ってくれよ。」

『了解。』

 鐘の前に立つと、なんだか威圧感を感じた。

 なぜこの鐘からそんなものを感じるんだ。

 鐘を打つのは小さい頃に打った除夜の鐘以来だ。

「せいっ。」

 ごぉ~ん。

 腹に来る音が響いた。

「写真撮れた?」

『ばっちし。』

 写真には、ちゃんと打つ瞬間の、俺が写っていた。

「よっしゃありがとう。ミー子の方も撮るぞー。」

『よろしく。』

 ミー子が紐を引き、振りかぶった。

 こぉ~ん。

 さっきの音より小さな音が鳴った。

 写真を見ると、ミー子が目をつむっていた。

 鐘の音にびっくりしちゃった、といった感じの写真になってしまった。

『重いあれ。』

「まあ仕方ないよな。これ写真。」

『なんか私がビビってるみたいになってるんだけど?』

「すまぬ。」

『うがー。』

 ミー子が俺に覆いかぶさって・・・こなかった。

『冷静になると恥ずかしいわこれ。』

「うん考えなおしてくれてありがとう。」

 そのあとも、二人で首里城を回った。


「よっしゃ正殿をバックに写真撮ってやるよ。」

『なんかかっこよさそう。お願いする。』

 ミー子が正殿の方まで走っていった。

 カメラに収まりきらないが、遠ざかるとミー子の顔が映らなくなるしこれくらいでいいだろう。

「んじゃあ撮るぞー。」

「・・・(こくり)。」

 ミー子が頷いたのを確認してから、カメラを向ける。

「・・・(すっ)。」

 右手を振り上げ、ピースをした。

 なんだかはしゃいでるみたいだ。

「よし、はい、チーズ。」

 撮れた写真には、旅行ではしゃぎ、笑顔の女の子が写っていた。

「いい写真だな。」

『ありがとう。楽しい。』

 その後も、いっぱい写真を撮った。

 ミー子の写真、俺の写真、二人で写った写真。

 楽しかった思い出を切り取って、いつかアルバムを見ながら、笑って話ができることを今から楽しみにしよう。

 何十年先のことかは、分からないけど。


「さあ今日の午後は那覇港に行きたいんだけど、いいかな?」

『なっちが行きたいなら。』

「港行って何するんだ?」

 そうだよな、普通なら港に行ってもすることなんてないよな。

 でも俺には目的がある!

「停泊してる船の写真を撮りたい!」

「それだけかよ。」

 京介があきれたような感じになった。

 しかしそれだけじゃないのが俺だ。

「あと、水中観光船の予約を取ってるんだ。結構大変だったんだぞ?」

「おおそれは興味ある!見たい!」

『私も見たい。』

「んー?何の話?」

 2人とも同意してる中ちょうど来た祈木が首をかしげた。

「なんか、夏央が水中観光船の予約を取ってくれたんだってさ!・・・そういえば、金は?」

「実は4人で予約取ってて全員分俺が払ったんだが・・・。みんな、俺に払ってくれますか?3000円。」

 思わず敬語になってしまった。

 しかし払ってくれないと俺が9000円おごることに・・・!

 まあみんなを無理やり付きあわせてるんだけど。

『興味あるし、私みたいから払うよ。』

「んまあ金には余裕があるし、いいぜ。夏央が予約してくれなきゃ見る機会もなかったしな!」

「よく分からないけど、やるねアヤ!私も払うよ!」

「みんな・・・!」

 感動のあまりちょっと涙が出た。


 那覇港にはたくさんの船が止まっていた。

 出発までまだまだ時間があるので、停泊している船の写真を撮りまくる。

「やばいっすねーこりゃ滾りますねー。」

「ちょっと待って追いかけるの辛いんだが。」

『なっちテンション高いな・・・。』

「好きなのはわかるけど走りすぎじゃないかなアヤ・・・。」

 立ち止まってる場合じゃないぜ!!

 今ここに泊まっている船をカッコよく撮るんだ!!

「あ、そうだ。京介、祈木。船の前に並んで。」

「おっ?写真撮ってくれる感じ?」

「じゃああの遊覧船の前でお願い!」

 祈木が遊覧船まで走っていった。

 きれいな色をした船だ。

「まあ、遊覧船だったら旅行感出るよな。」

「さっすが陽花だぜ。」

 京介も祈木の方へ走っていく。

『あとで私たちも撮ってもらおうよ。』

「お、いいな。」

 ちょうど船全体が入るように体勢を低くする。

 斜めに撮ると入りやすくなる。

「動くなよー。もっとくっついたらどうだ?」

「おーう、アヤ、なかなか恥ずかしい指示を出しますね。」

「旅行に来たカップル感出るぞー。」

「よーしなーみん、これくらいでいい!?」

「めっちゃ近いじゃねえか。」

 というか腕を組んでいた。

 このリア充め。

 顔もちゃんと見えているし、いい写真になったかな。

「よし、んじゃあ俺が夏央と美衣ちゃんの写真撮ってやるよ。どの船がいい?」

「・・・(すたすた)。」

 ミー子が目的の船まで歩いて行く。

 ミー子が向かったのは、海上自衛隊の護衛艦。

 珍しいものではあるが・・・。

「横須賀行けば普通に撮れね?」

『これがいいの。』

「分かった分かった。」

 2人でくっつく。

 後ろを見ると、灰色の大きな軍艦が浮かんでいる。

 なかなかの威圧感だ。

「うっし、じゃあ撮るぞー。はい、チーズ。」

 京介が写真を撮り、カメラを返してもらう。

 写真を確認すると、俺もミー子も目をつむっていた。

「しっかりしてくれよ京介。」

『ちゃんとやれよ京介。』

「オフウッ!美衣ちゃんが俺をさげすんでいる!」

『ほらもっかい撮って。』

「あ、スルーですか・・・。」

 また船の前に並ぶ。

 ミー子が腕を組んできた。

 いいんですけどね、沖縄だし、夏まだ終わってないんですよ。

『あつい。』

「腕組んどいてそれかこの野郎。」

「ほらこっち向け。」

 カメラの方に向き直る。

 次に撮った写真はうまく撮れていた。

 俺もちゃんとカメラの方を向いているし、ミー子も笑っている。

 うん、これ現像するか。

「やっぱかがみん笑ってるとかわいいね。」

「だろ!?ミー子の笑顔可愛いよな!」

「美衣ちゃん、ちょっと前までは笑うどころか全く表情変わらなかったもんなー。」

『一気にほめるな恥ずかしい。』

 ミー子がそっぽを向いてしまった。

「よしまだ時間はちょっとあるから残りの船の写真撮るぞ!」

「まだやるんかよ・・・。」

「私たち待ってるからねー。」

『いい写真撮れるといいね。』

「ついてきてくれないんですね君たち。」

 ほんとに誰もついてきてくれなかった。


『おっきい。』

 ミー子が言うように、大型水中観光船というだけあって大きな船だった。

「ちょ、夏央!早く乗ろうぜ!!」

 京介がものすごく興奮している。

「そんなに楽しみだった?」

「いやあ、実際乗れると考えるとかなりテンション上がるな!軍艦も乗ってみたいいけど。」

「8月に横須賀にでも行け。」

「来年じゃん!?」

 乗りたいというのなら8月のイベントを教えてやればよかった。

 今年はいかなかったけど。

『去年乗った時はすごかったよ。動かなかったけど。』

「動かないのかよ!船は動いてナンボじゃねえの!?」

「なーみんなんかすごいテンション高いね?」

「ああたまにうるさくなるんだよ。」

 いや普段からうるさいけど。

『本日は水中観光船オリガをご利用いただき、誠にありがとうございます。これより那覇港を出発し、約15分かけて、鑑賞ポイントへ移動します。』

 船内のアナウンスが響いた。

「ねえなーみん、オープンデッキに行かない?」

「おっいいね。夏央たちはどうする?」

「んー俺たちは」

『私たちは2階で外を眺めてるよ。』

 ミー子に勝手に決められてしまった。

「じゃあ鑑賞ポイントまでは別行動だな!」

「じゃあアヤ、かがみん、また後で!」

「ああ、ちゃんとポイントに着いたら下りてこいよ?」

「分かってるよ。」

 京介と祈木が階段を上がっていく。

『私たちも行こうか。』

「そうだな。」

 外に出ると、沖縄の海が広がっていた。

 太陽の光が海面に反射して結構まぶしい。

 船がゆっくりと進んでいく。

 顔に当たる海風が気持ちよかった。

『いい眺め。』

「こりゃきれいだ。」

『船の揺れも少ないね。』

「ああなんか船体を安定させてるらしい。」

『船酔いする心配ないね。』

「いやミー子は船酔いしないだろ。」

『ふふふ。』

 ミー子が柵に寄りかかった。

「あんまり身を乗り出すなよー。」

「・・・(こくり)。」

 船の後ろの方はテラスになっていた。

「椅子もあるし、こっちに座ってるかな。」

『私も。』

 ミー子が俺の目の前に座った。

「膝の上に座るのはよしてくれな。」

『恥ずかしいわ。』

 船の外には、鳥が飛んでいる。

 カモメかと思ったが、ミサゴという鳥らしい。

『おお水に飛び込んだ。』

「魚捕まえるんだな。」

 ミサゴの捕食に感心していると、今度は違うものが飛んできた。

 沖縄では鉄のミサゴとか言われてたりするらしい。

『うるさいなアレ。』

「ああなにもこんな時に来なくてもいいよな。」

 飛んできたのは、オスプレイ。

 音を立てて飛んでいく。

 あっちの方角に多分基地があるんだろう。

『間もなく鑑賞ポイントに到着いたします。展望席へ移動してください。』

 いよいよお待ちかねの水中観光だ。


 展望席は、非常に広かった。

 大きなガラスが張られ、水中が一望できる。

「すげえ!!海の中チョーキレイ!!!!」

 京介のテンションが最高潮になった。

「京介うるせえ。でもこれ確かにすげーな。」

『すげー。』

「うっわすごくきれい!」

 祈木もガラスに張り付く。

「めっちゃ透き通ってるよコレ!」

『なんすかコレ。』

「いやなんすかって海の中だろ。」

『すごすぎだろコレ。』

 ミー子もガラスに張り付く。

 海は非常に透き通っていて、遠くまで見渡せた。

 サンゴの間には、たくさんの魚が泳いでいる。

「俺今思ったわ。」

「・・・?」

 ミー子が首をかしげた。

「・・・予約しといて本当によかった・・・!」

「・・・(ぐっ)。」

 左手の親指を立てるミー子。

 この海の中の景色もすごいし、みんなが嬉しそうにはしゃいでるのを見るのもなんだかいい気分だ。

「なんかあれだな、海の中にいるみたいだ。」

「いやーこれすごいっすよー。さすが夏央パイセンですわー。」

 京介がすり寄ってくる。 

「あの魚たちって食べれるのかな?」

「なんつーこと言うんですか陽花サン」

 すかさず京介がつっこむ。

 海の中で泳いでる魚を見て魚が食べたくなるのかよ。

「・・・(ぺしぺし)!」

 ミー子が俺の腕を叩いた。

「どうした?」

「・・・(びしっ)!」

 ミー子が勢いよく指差した先には、

「・・・わあ、ウミガメ。」

 ゆったりと、ウミガメが泳いでいた。

「え、ちょ、ウミガメって俺たちめっちゃ運良くね?」

「やったねなーみん!ウミガメが泳いでるの初めて見た!」

 ウミガメはゆっくりと進み、海底の海藻をもしゃもしゃと食べている。

 そしてそのまま、こっちへ向かってきた。

「おい京介、ウミガメこっち来てるぞ!」

「ちょっ、陽花!俺たちの写真撮って!ウミガメと一緒に!」

「あいよー!」

 窓に背を向け、カメラを見る。

 生き物に配慮して、フラッシュは無しで。

「はい、チーズ!・・・おお!こりゃいいね!私たちも撮ってよ!交代!」

 カメラを構え、撮る準備をする。

 その間もウミガメはどんどんこっちに向かってくる。

「よーし、じゃあ撮るぞー。はい―――」

 ゴン!

「わっ!?」

「・・・!?」

「・・・チーズ。」

 ウミガメは窓に頭をぶつけた。

 その瞬間をカメラに収める。

 写真には、なぜかカメラ目線になったウミガメと、音に驚いてウミガメの方を向く祈木とミー子が写っている。

「なんか面白い写真になったな。」

「これはこれでいいな、とくにびっくりしてる美衣ちゃんの表情とか。」

「あーウミガメ逃げた・・・。」

『ウミガメにも頭の悪い子っているんだね。』

 普通にウミガメと写った写真よりも、ある意味記憶に残る写真になった。


 那覇港に戻り、ホテルへ帰る時間が迫ってきていたのでバスを使って急いでホテルへ戻った。

 夕飯はビュッフェといった感じで、みんな思い思いの料理を食べていた。

「んー、こういうのもいいけど、ちゃんとなんか沖縄っぽい!ってやつが食べたいなあ。」

 京介が不満を漏らした。

「まあ修学旅行なんてそんなもんだろ。ちゃんとしたの食いたかったら大人になって金貯めてこいよ、みたいな。」

「ひでーよなー。」

 でもうちの高校は恵まれている方だと思う。

「ビュッフェってどうも作り置きされてる前提だからなー。あったかいのがいいんだよなー。」

「んま、明日に期待するしかないよな。」

「まあ明日が止まりの最終日だからな。」

 修学旅行によくある、「ご飯は美味しくなかったね」というイメージから解放させてくれ!

「んじゃ部屋戻るか。」

「そうだなー。」

 大広間から出てエレベーターに乗る。

 最上階だからエレベーターでも微妙に遠い。

「なんつーか、これがすげー思い出だよな。」

「それよ。高校の修学旅行で部屋のくじ決めで最上階のいい感じの部屋が当たるっていうね。」

「京介に任せといてよかったぜ。」

「多分今年の運は使い果たしたな。」

「違いない。」

 部屋に入り、ベッドに寝転んだ。

「つーか、やっぱあれだな、自由行動とはいえ、疲れるな。」

「歩き回ったからなー。体力付きそうだ。」

「あと30分ぐらいしたら風呂だよな。」

「んじゃ20分くらい経ったら起こしてくれ。」

「あ、ずるいぞ夏央。」

 目を閉じて、休む。

 眠気はすぐにやってきた。


「海が見える風呂ってやっぱなんかすげーな。」

「けっこう潮風が・・・。」

 京介が目を閉じて言った。

「というか、露天風呂の外はすぐ崖なのか。」

「飛び降りる?夏央。」

「んなことしねーよ。」

「俺に死ねなんてひどい!」

「言ってねーよ!!」

 ギャーギャーと騒ぎながら風呂に入る。

 風呂は、見渡す限りの・・・男の裸。

 んな汚ねえモン見てられないので外の景色を眺める。

「夏央・・・でかいな。」

「なんだよどこ見てんだよ。」

「背中のホクロ。」

「見んじゃねーよちょっと気にしてんだよ。」

 肩甲骨の下の方だろ!!知ってるよ!!

 触って分かるんだよ!!

「下の方も夏央さんはご立派じゃないですかねえ・・・。」

「うっせ。見んな。」

「女の子もヒィヒィですなあ。」

「やめろそういうこと言うの。」

 下ネタ方向に持っていくな。

 今は男子しかいないけど!!

「まったく・・・、下ネタに反応しちゃうから夏央はむっつりなんだよ。」

「誰がむっつりだ誰が。」

「夏央だって興味あるんだろ?おっぱい。」

「いや興味ないこともないけど。」

「だろー!?おっきいのと小さいの、どっちが好きなんだよ?」

「うるせーどのおっぱいでもおっぱいは等しいんだよ。」

 大きくても小さくてもおっぱいが等しいのは俺の持論だ。

 手に余る大きさのおっぱいを揉みしだくのも、手に収まるサイズのおっぱいをなでてあげるのも同じ。

 だからおっぱいは・・・。

「ゴルァ京介ぇ!!てめえのせいで頭がおっぱいで埋め尽くされたじゃねえか!!」

「やめろ夏央!そんな大声でおっぱいって言うな!」

「てめえのせいだあああああああああ!!!」

 その後、男子が集まってきておっぱいトークは加速した。


「お前のせいでひどい目にあったじゃねえか京介。」

「はたして俺のせいなのか。」

「うんお前のせいだ。だからコーヒー牛乳で許してやる。」

「へいへい。」

 ガコン、と、自販機からビンのコーヒー牛乳が出てくる。

 紙のふたを開け、腰に手を当て、上を向いて飲む。

 ・・・ホテルの廊下で。

「・・・何してんのあんたら。」

『変な人がいる。』

 ちょうど来たミー子たちに見つかった。

「バッカ2人とも、風呂上がりのコーヒー牛乳はうまいんだぜ?」

「いやそんな当たり前のことドヤ顔で言われても・・・。」

『私はこっち。』

 ミー子が手にしていたのは、フルーツ牛乳。

「む、ミー子。いくらミー子でもそれは許せんな。」

『さわやかな酸味のあるフルーツ牛乳こそ風呂上りにいいでしょ。』

「風呂上りにはコーヒー牛乳って、昔から相場が決まってるんだよ。」

『なにおう。』

「フルーツ牛乳は許せん!」

『人の価値観を押し付けるなんて、そんなの傲慢だよなっち。』

「・・・マジレスやめてください、ミー子さん。」

『ハッハッハ』

 ミー子が右手を挙げ、「勝った!」というような顔をする。

「さ、かがみん。部屋にもどろっか。」

「・・・(こくり)。」

 そのまま部屋の方へ行ってしまった。

 ・・・何だこの微妙にやりきれない気分は。

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