暑いときに食べるアイスは
「いやー、今回のテスト、あんま難しくなかったな。」
『補習はなさそうだね。』
俺たちは3日間のテストを無事に乗り切った。
よし、あとはテストの結果を待つだけだ!
『じゃあ、今日も一緒に来てくれると助かる。』
「ああ、もちろん。今日は早く行けるな。」
「・・・(こくり)。」
今日は、カウンセリングの日だ。
「最近、調子がいいみたいだね。」
「・・・(こくり)。」
「夜中起きることも少なくなりました。」
「うんうん、それはいいことだ。」
「ミー子、練習の成果を見せてやってくれ。」
「・・・(こくり)。」
頷いて、ミー子は下を向いた。
二五市先生はきょとんとしている。
見てろ、これが練習の成果だ!
「・・・(にこっ)。」
「お?おお!」
ミー子が微笑んだ。
表情の練習の成果だ。
少し目尻が下がって口角が上がっただけだけど。
前の状態からすれば、だいぶ変わっただろう。
「すばらしい!表情、変えられるようになったんだね!」
『少しだけですが。』
「いや、変えられただけでも大きな進歩だ!これからも続けてくれ。」
「・・・(こくり)。」
先生の表情も明るくなった。
やっぱり表情って大事だよな。
ずっと無表情だと、なんだか機械的な印象になってしまう。
まあ、今はケータイとかで顔文字とか使えばどんな感情かすぐわかるけど。
「うん、着実に回復に近づいてると思う。」
「ホントですか!」
「ああ本当だとも。この調子でいけば、美衣さんは喋れるようになるよ。」
『頑張る。』
「ぜひ頑張ってほしい。もちろん、夏央くんの手助けも必要だからね。」
「分かってます。」
まだいつになるとかはわからないけど、希望が見えてきた。
ミー子が喋れるようになるなら、俺はなんだってする。
そう、誓ったからな。
『やったぜ。』
「よかったな。」
『私、頑張るよ。』
「おう、頑張れ頑張れ。」
「・・・(ドヤ)。」
笑顔を見せようとしたのだろうか。
力が入ったその顔は、若干ドヤ顔だった。
なんだかかわいかったので、頭を撫でてやることにした。
『子ども扱いかよ。』
「最近口悪いな?」
『ケータイだからどんな口調でも許される、文字の特権よ(はーと)。』
「おう・・・。」
よく見ると、ミー子の顔が少し赤い。
どうやら、照れ隠しだったみたいだ。
「・・・(くいくい)。」
歩いていると、突然ミー子に腕を引っ張られた。
「なんだ?」
『暑いからアイスを食べて行きたい。』
ミー子が指差した先には、サーティーンアイスがあった。
「サーティーンアイスってどうしても高いイメージが・・・。給料前だし。」
『新しい味が出てるのよ。』
「あ、マジか行くわ。」
店の前には、でかでかと新しいアイスのロゴが入った旗が立っていた。
・・・新しい?
「・・・あっ。」
『どした?』
「夏限定メニュー、考えるの忘れてた・・・。」
『あっ(察し) と、とりあえずアイスを食べよう。』
「ソウダネ・・・。」
店に入ると、一気に涼しくなった。
「いらっしゃいませー!」
元気なお姉さんの声が響いた。
「ミー子、何食べる?」
『新しい味二つで迷ってる。』
「2つあると迷うよなー。」
「・・・(こくり)。」
追加されているのは2つともシャーベットだ。
イチジクと、マンゴスチン。
・・・何でそんな微妙なチョイスなんだろう。
マンゴスチンって知らない人すらいそうだが。
「じゃああれだ、俺とミー子で違うやつ選んでお互いのを食べてみよう。」
『なっち策士だね。』
「だろ?」
誰でも思いつきそうだけど。
「じゃあ、イチジクのシャーベットとマンゴスチンのシャーベット、一つずつください。」
「かしこまりましたー!カップでよろしいですか?」
「あ、はい。」
アイスの味を楽しみたいならカップだよな。
どんな味だろう、ちょっと楽しみだ。
「お待たせしましたー。イチジクシャーベットとマンゴスチンシャーベットになります。」
見る目鮮やかな真っ赤なアイスと、吸い込まれそうな赤黒いアイスが来た。
この色は・・・、素材が生かされてる証拠だ。
おいしそうだ。
ミー子はすでにテーブルに座ってスタンバイしている。
『おいしそう。』
「だな。」
『早速食べよう。』
「いただきます。」
「・・・(ぱくり)。」
俺はイチジク、ミー子はマンゴスチンを選んだ。
一口食べると、イチジク特有の甘い味が口の中に広がる。
少し遅れて、程よい酸味がやってきた。
このさわやかな味とアイスの冷たさが、夏の暑さを吹き飛ばしてくれる。
これはうまいぞ!
「そっちはどうだ?」
そう聞くと、ミー子はアイスをすくって、こちらに寄越した。
『あーん』
「えっ、あ、いや。」
ためらっていると、
『あーん(はーと)』
ケータイをずいっと突き出してきた。
こ、これ間接キス・・・。
「はぐっ。」
口の中にスプーンを入れられた。
瞬間、マンゴスチンの香り高い甘さが口の中いっぱいに広がった。
甘みと酸味が絶妙なバランスで共存している。
さすが、果実の女王と呼ばれるだけのことはある。
「これもうまいな!」
「・・・(こくり)。」
どちらも甲乙つけがたい。
それだけおいしい。
「・・・(あーん)。」
顔を上げると、ミー子が小さい口を開けて待機していた。
「食わせろと?」
「・・・(こくり)。」
「は、恥ずかしいんだけど・・・。」
「・・・(あーん)。」
あ、これ言っても聞かないやつだ。
や、やるしかないか。
俺もスプーンでアイスをすくって、ミー子の口まで持っていった。
「・・・(ぱくり)。」
口の前まで来たところで、ミー子が顔を突き出し、アイスを食した。
「・・・(こくこく)。」
食べながらミー子が頷いている。
『おいしいね。』
「そうだな。」
『どっちが好き?』
「うーん・・・。」
さっきも言ったが、めっちゃ決めづらい。
決めづらい、が・・・。
「うーん・・・、強いて言うなら、マンゴスチンかな・・・。」
『あら。私はイチジクかな。』
「どっちもうまいんだけどな。」
『分かる。』
とりあえず、高くてもいいからまた来よう、と思った。
『んで、新メニューはどうするの?』
「さっきのアイスを食べて思った。」
まあだからといって、果物をパクるわけにはいかないけど。
『ライチだね。』
「何でわかったんだ。」
さすがに言い当てられて俺も驚きを隠せないよ。
『マンゴスチンとライチの味は似てるからね。』
「まさか当てられるとは思わなかった。」
『ハッハッハ。』
ミー子が得意げに笑う。
笑ってるミー子を見るとなんだか頭を撫でたくなる。
というわけで、
「よしよし。」
「・・・。」
ミー子が固まった。
そして、
「・・・(ぐいっ)。」
思い切り顔を横に向けられた。
「ミー子さん、痛いんですけど。」
「・・・(ぷるぷる)。」
ミー子の顔が赤かった。
・・・何でこいつは頭を撫でた時だけ照れるんだろう。
『ライチにするって言っても、何にするのよ。』
「うーん、何にしようかねえ・・・。」
ライチ・・・、思いつかねえな。
どっちかって言うとライチはそのまま食べるイメージの方が強いからなあ。
「・・・そういえば、ライチの味がするパンがあったな。」
『パンってことは、ジャムかな?』
「確かそうだった気がする。」
ちょっと調べてみよう。
・・・ほんと、ケータイって文明の機器だよなあ。
ケータイではなく、もはや小さいパソコンのようなものだ。
これ一つでいくつのことができるんだろう。
それに、ケータイがなかったら・・・。
「・・・?」
ミー子が俺の視線に気づき、首をかしげた。
・・・ミー子との会話、もっと大変になるもんな。
「お、これだこれだ。」
「・・・(ずいっ)。」
ミー子もケータイの画面を覗き込んだ。
パンの名前は、ライチカンパーニュ。
グラハム粉を使ったもっちりとしたパンらしい。
本来カンパーニュはスープに合うパンだけど、ライチ強めのパンだし、コーヒーと組み合わせても大丈夫だろう。
「できればジャムも自分で作りたいんだよなあ。」
『でもジャムって半日くらいかかる気が。』
「そうなんだよなあ・・・。」
パンを焼く時間を考えると、さらに必要な時間が・・・。
まあ、売れることを前提にすれば、昼以降限定メニューでもできる。
売れるかわからないのがきついところだ。
そもそもライチがスーパーに並ぶことが少ないため、試作品ができない。
『テストも終わったし、時間はあるからとりあえずジャムを探そうよ。』
「そうだなー・・・。そういえば、ノイモールにコーヒーとかジャムとか売ってる店あったよな。」
『試作品なら、ジャムは市販のやつでいいと思うよ。』
「仕方ないよなあ・・・。」
グラハム粉も売ってないだろうし、薄力粉で代用するか。
『まあ、ジャムは保存がきくから、一度に大量に作ってもたせるって言うのもありじゃない?』
「たしかに。」
『じゃあ、明日行こうよ。先生の採点日で休みだし。』
「そうだな。」
先生、お勤めご苦労様です!
・・・ご苦労様なんて言ったら怒られるけど。
『じゃあノイに行こうか。』
「そうだな。」
自転車に乗り、ノイモールを目指す。
夏の日差しが肌を焼く。
半袖でも暑いな・・・。
「7月だってのに、今日は35度まで上がるってよ・・・。」
「・・・(ふー)。」
ミー子が肩をすくめた。
さすがに暑いよな・・・。
「まったく、7月でこれとか8月はどうなるんだよ。」
「・・・(ふるふる)。」
「そうだよな・・・、考えたくねーな。」
「・・・(こくり)。」
うだるような暑さの中、俺たちは自転車をこいでいた。
「あっつ・・・。まず飲み物買うか。」
『そうだね。』
ノイに着くころには、二人とも汗をかいていた。
特に俺、顔が濡れてる気がする。
「・・・(ふきふき)。」
ミー子が俺の顔をタオルで拭いてくれた。
「おう、ありがとう。」
『何で顔しか汗かいてないの。』
「わからん。」
体の方はあまり汗をかいていなかった。
「というかさ、ミー子はその服のシリーズ、好きだよな。」
ミー子が来ているのは、胸のところにNS65とプリントされたTシャツ。
こんな感じの服をミー子はいっぱい持っている。
NS18と書かれたTシャツ、NS35と書かれたパーカー、NS42と書かれた寝巻・・・などなど。
とにかく数が多かった。
NSシリーズというらしい。
「・・・(ふんす)。」
好きだぞ、とでもいうように、ミー子が胸を張った。
「そんなない胸張っても―――」
「・・・(どすっ)。」
「ごふっ!?」
ボディに右ストレートが直撃した。
なんか今一瞬女の子とは思えないような力が体にぶち当たった気がする。
おっかしーなー、ミー子にそんな力はないはずだけど。
『大きさを気にしているわけではないけど、面と向かって言われると腹立つ。』
「ごめんなさい。」
『許す。』
土下座したら許してくれた。
・・・地面がものすごく熱かったけど。
飲み物を買って一息ついて、俺たちはノイモール1階のジャム屋に来た。
いろんなジャムが売られている。
果物だけでなく、野菜のジャムもあった。
「いろいろ使えそうだな。」
『いくつか買って家に置いとこうかな。』
「それもいいな。」
店の奥のほうまで行くと、お目当てのものがあった。
「おお、これか。」
「夏の果物のジャムがいっぱいあるね。」
「マンゴスチンって、ジャムにするのか・・・。」
『か、変わり種かな?』
初めて見た。
『そういえばさ、夏の果物ってまだまだあるよね。』
「まあ、そうだな。」
『私はこういうのもいいと思うな。コーヒーと合うかは別として。』
そういってミー子が指差したところには、パッションフルーツのジャムと、グァバのジャムがあった。
「パッションフルーツはゼリー状だし、どっちかってーとそのまま食べるほうが良いんじゃないかな。何かに使えるとかは今から考えるの面倒だし。」
『デスヨネー。』
「グァバは食べたことないからなー。」
『トロピカルフルーツだし、コーヒーには合わないか。』
「そう言われるとライチも微妙だけどな。」
とりあえず俺はライチのジャムを買って、店を出た。
・・・気になったのでグァバのジャムも買っておいた。
「さ、じゃあ作りますか。」
『といっても今回はパンを作るだけだけどね。』
「そういうこと言わないの。」
ノイから帰ってきた俺たちは早速カンパーニュを作る準備を始めた。
さすがに汗をかいたので先にシャワーを浴びたが。
まずはナッツを刻む。
イースト以外をパンケースに入れておきます。
ホームベーカリーにセットして、生地を作る。
「俺愛用のホームベーカリー、頼んだぜピエール。」
『なっちはホームベーカリーに名前を付ける人だったのか。』
「ほら、フランス人ってパン焼くの上手そうじゃん?」
『フランス人だったんだねピエール。』
まあともかく、頼んだぞピエール。
「さあ、生地ができました。」
『揉んで丸め直します。』
「頼んだ。」
ミー子が手際よくパンの生地を揉む。
さあ、濡れたタオルをかぶせ、20分ほど待とう。
「2次発酵させるのに時間がかかるからオーブンの発酵使うわ。」
『そっちの方がめんどくさくないね。試作品だし。』
「一応、グァバのジャムでも作ってます。」
『だから生地が二つあるんだね。』
グァバの色でパン生地が微妙に赤い。
はたして美味しいだろうか。
休ませた生地をオーブンに入れ、発酵させる。
『生地がふくらんできたね。』
「あとちょっとだな。」
『大体2倍くらいだよね?』
「そうそう。」
2人してオーブンを覗き込み、パンがふくらむ様子を見ていた。
「よっし、じゃああとは切れ込みを少し入れて、強力粉を振って焼くだけだ。」
『焼き時間は?』
「んー、250度で10分、そのあと230度で10分、ってところだな。」
『パンだけなら意外と時間かからないもんだね。』
まあ、そこはパン作りに2時間を長いと感じるか短いと感じるかだな。
「じゃ、焼こうか。」
「・・・(こくり)。」
パンをオーブンに入れ、スイッチを押した。
あとは、焼き上がりを待つだけだ。
チーン、と、甲高い音が鳴った。
焼き上がりだ。
『いいにおい。』
「うまそうだ。」
パンにはいい焼き色がついている。
ライチカンパーニュの方はうまそうだな。
「こっちは・・・。」
「・・・。」
赤っぽいパンに焼き色がついて、少し不気味なことになっている。
味は大丈夫だろうか・・・。
「い、一応、味見してみるか。」
「・・・(こくり)。」
焼きたてのパンを実食。
まずは、おそらくうまくいったであろう、ライチカンパーニュ。
触った感じは、もちもちしている。
鼻をくすぐる、ライチの甘い香り。
「・・・あむ。」
「・・・(ぱくり)。」
もっちりとした食べごたえに、パンの芳醇なうまみ。
そして、口の中ではじける、ライチの甘さ。
それらが絶妙にマッチして、レベルの高いものに仕上がっている。
「これ・・・、うまいな。」
『いいね、これ。』
二人ともまたパンに手を伸ばそうとする。
「・・・おっと、これはバイト先に持っていかないと。」
『あ、そうだった。』
手を引っ込めて、パンを袋に包む。
このあと、バイト先に持っていこう。
グァバの方は、酸味がパンに合わず、残念な結果となった。
「ほうほう、夏のメニューの考案だね。えらいえらい。」
早速できたパンをバイト先に持っていった。
店長に撫でられた。
「こ、子どもじゃないんですから・・・。」
「いーんだよ。私から見たらまだ16の絢駒君なんてまだまだ子供だからねー。」
「店長何歳なんですか・・・。」
若くてきれいな人だと思うけど。
「おやおや、女の人に歳聞いちゃう?」
「あ、すいません。」
「25だよ。」
「あっさり言ってくれた!?そして若っ!?」
まだまだ子供って・・・、俺と一回りも違わないじゃないですか。
「そっかそっかー、私若いかー。絢駒君の守備範囲内?」
そういわれて、俺は思わず店長の左手を見た。
・・・指輪はしていない。
「やっ、まあ、年上は・・・、普通、じゃないですか?」
「ふふっなにそれ。あ、もしかして絢駒君ってロリコン?」
「んなわけないでしょう!?」
「あっははは!」
店長が楽しそうに笑う。
というか、店長25なのか。
・・・あれ。
「店長、冬姉と1つしか違わないんですね。」
前に、冬ちゃん最近ここ来ないねえみたいなことを言ってたから、もうちょっと年上なのかと思っていたが。
「まあ、ここは私の家だし、お父さんがここの店長やってる時は手伝ってたしね。それに、冬ちゃんは私の高校の後輩だよ?」
「あ、そういうことですか。」
冬姉は店長と同じ高校だったのか。
・・・つまり、店長は俺の先輩にあたる人なのか。
「さ、そろそろ本題に入らせてもらおうか。」
「あっはい。」
俺もそろそろ本題に入りたいところだった。
「ほうほう、これが絢駒君考案の夏メニューだね?」
「はい。」
「他の従業員はさ、みんなアイスとか、冷たい系のやつなんだよね。」
「アイスはみんなやりそうです。」
だからあえて、冷たくないやつ。
トロピカルな感じだとコーヒーに合わない可能性も出てくるし。
「この匂いはライチだね?結構強めなんだね。」
「そうですね。焼くときにライチジャムをたっぷり使います。」
「では一口。」
店長がライチカンパーニュを食べた。
俺はつばを飲み込み、店長の評価を待つ。
店長はパンを飲み込んで、口を開いた。
「もちもちしてるね。」
「そこですか。」
あー、これは・・・、不採用かな。
最初の評価がそれじゃあなあ。
「これ、市販のジャムを使った?」
「はい。あと、グラハム粉の代わりに薄力粉で。」
「んー、そっか。じゃあ、これはまだおいしくなる余地はあるね?」
「そう・・・、かもしれないですね。」
「むー・・・。」
店長が考え込む。
やっぱりだめかね・・・。
「よし、じゃあ、ちゃんと作って店頭に並べてみようか。」
「え・・・?」
つまり、ということは・・・?
「採用、ってことかな?」
「え、おお!」
まじで!?
やった!やったあ!
「実のところ、この状態ですでに結構レベルが高いんだよね。ちゃんとうちでライチジャムを作って、薄力粉じゃなくてグラハム粉で作ったらもっとおいしくなりそう。」
「レベルが高いだなんて、そんな。」
「褒めてるんだから謙遜しないのー。」
「じゃあ、ありがたいお言葉としていただいておきます。」
「それでいい。」
確かにさっき、一瞬バイト先に持っていくのを忘れて食べるところだった。
試作品でこれだから、期待はできそうだ。
「売り上げ、期待しててね?」
「はい!」
帰り道、俺はいつになく上機嫌だったと思う。




