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整理整頓しかできない俺、異世界では世界の法則まで片付けられるようです  作者: ももにく


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第44話 最深部への鍵


【最深部への鍵】


【エリス・アストレア】


その文字だけが。


何度解析しても消えなかった。


「……私が、鍵?」


エリスが自分の胸に手を当てる。


不安そうな顔。


俺はすぐに首を振った。


「違う」


「え?」


「鍵だからって」


「使う必要はない」


「……」


「少なくとも」


「俺はそうするつもりない」


エリスは。


少しだけ目を見開いた。


「どうして?」


「だって」


俺は表示を見る。


「鍵ってことは」


「開ける方法の一つってだけだろ」


「……!」


「エリス自身を壊す必要はない」


アルベルトが頷いた。


「確かに」


「鍵と鍵穴は同じものではない」


リナも。


「じゃあ、別の方法を探せばいいんだね」


「そう」


俺は笑った。


「それが俺たちのやり方だ」


その瞬間。


エリスが。


小さく笑った。


「……ありがとう」


「ん?」


「なんでもない」


そう言って。


彼女は俺の隣に立った。


すると。


アリアが近づいてくる。


「エリス」


「……何?」


「あなたは」


「私から生まれた」


エリスの表情が固まる。


「それは……」


「嫌?」


「……分からない」


エリスは。


しばらく考えてから答えた。


「最初は」


「自分が何なのか分からなくなりそうだった」


「でも」


俺を見る。


「蓮が」


「私を私として扱ってくれたから」


アリアは。


少しだけ笑った。


「なら」


「大丈夫」


「え?」


「私はあなたを消さない」


「……」


「あなたも」


「私を消さないで」


エリスは。


ゆっくり頷いた。


「もちろん」


二人が向き合う。


同じ顔。


違う存在。


でも。


今は。


どちらも。


ここにいる。


俺は。


その光景を見ながら。


ふと気づいた。


「……待って」


「何?」


俺は【境界整理】を発動する。


二人の間に。


薄い線が浮かび上がった。


【存在境界】


【エリス:安定】


【アリア:安定】


【重複構造:62%】


「62%……?」


リナが覗き込む。


「何それ?」


「二人の構造が」


「かなり似てるってことだと思う」


「じゃあ」


アルベルトが言う。


「いつか混ざる可能性があるのか?」


俺は。


表示を確認する。


【統合可能】


【分離可能】


【共存可能】


「……全部ある」


エリスが。


驚いた顔をする。


「本当に?」


「うん」


俺は。


さらに詳しく見る。


【共存条件】


【互いの存在を認識し続けること】


「……」


エリスとアリアが。


顔を見合わせる。


「簡単じゃない」


アリアが言った。


「でも」


「難しくもない」


「どうして?」


「あなたが」


「私を忘れなければいい」


エリスは。


少し笑った。


「忘れないよ」


その瞬間。


二人の間にあった62%という数字が。


61.9%に下がった。


「……え?」


俺は目を疑う。


【重複構造】


【62%→61.9%】


「下がった?」


アリアが笑う。


「それが」


「共存」


「同じじゃなくなること」


「……!」


俺は。


その意味を理解した。


二人が同じ存在だから危険なんじゃない。


同じものとして扱うから。


片方が片方に吸収される。


なら。


必要なのは。


「整理だ」


俺は呟いた。


「同じところは」


「同じところとして残す」


「違うところは」


「違うままにする」


【始原整理】


【存在境界を再分類】


【共存構造を構築】


光が。


二人を包む。


エリスの身体から。


白い光が少しだけ離れた。


アリアにも。


同じように黒い光が浮かぶ。


二人を繋いでいた構造が。


一本ずつ整理されていく。


そして。


最後の一本が。


切れた。


【重複構造:61.9%】


【共存状態:安定】


エリスが。


胸元に手を当てる。


「……何も変わらない」


「うん」


「ちゃんと」


「私がいる」


アリアも。


自分の手を見る。


「私も」


俺は。


ほっと息を吐いた。


その瞬間だった。


【最深部への鍵】


【条件が変化しました】


【エリス・アストレア】


【単独鍵:解除】


「……!」


俺は表示を見る。


「鍵じゃなくなった?」


【新条件】


【エリス・アストレア】


【アリア】


【始原整理】


【三者による共同接続】


「三人?」


アリアが俺を見る。


「そうみたい」


「……」


エリスは。


少し驚いたあと。


笑った。


「じゃあ」


「三人で行けばいいんだね」


「そうなるな」


だが。


その直後。


世界記憶が発動した。


【最深部への接続準備】


【過去の記録を表示】


景色が変わる。


そこには。


まだ世界が存在していなかった。


何もない。


完全な無。


その中央に。


一人の少女が立っている。


アリアだった。


いや。


アリアになる前の。


始原の願い。


少女は。


何もない空間で。


一人で立っていた。


そして。


もう一人。


少女の前に。


誰かが現れる。


顔は見えない。


でも。


声だけは聞こえた。


『願いを一つ』


『叶えてあげよう』


少女は。


少し考えて。


言った。


『誰かと』


『一緒にいたい』


『それだけ?』


『うん』


『じゃあ』


『世界を作ろう』


そこで。


記録が途切れた。


「……世界は」


エリスが呟く。


「願いから始まった」


「そう」


俺は頷く。


でも。


おかしい。


一つだけ。


引っかかる。


「じゃあ」


「その願いを叶えた存在は」


「誰なんだ?」


世界記憶が。


震えた。


【記録欠損】


【第一管理者:該当せず】


【来訪者:該当せず】


【始原外存在:該当せず】


「……全部違う?」


俺は眉を寄せる。


なら。


誰が。


この世界を作った?


その瞬間。


世界記憶の奥に。


一行だけ。


新しい文字が浮かび上がった。


【世界創造者】


【名称:未定義】


【状態:存在】


そして。


最後に。


【現在地】


という文字が表示された。


俺は。


その場所を見て。


息を止めた。


【蓮の魂の内部】


「……は?」


エリスも。


アリアも。


同時に俺を見る。


そして。


俺の胸の奥から。


知らない声が聞こえた。


『やっと』


『私のところまで来たね』


俺の身体が。


一瞬だけ。


白く光った。


そして。


【最深部への扉】


が。


俺自身の中に。


開いた。

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