表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
昨日宰相今日JK明日悪役令嬢  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
断片の物語を紡ごう 【挿入話・外伝】
135/135

おとぎ話を歌おう

「ははさま。

 ははさまぁ。

 おはなししてぇ」

「おはなしぃ。

 ききたい~」


 ベッドの中で布団をかぶっている娘達にせがまれる。

 蝋燭のやわらかな明かりの中、好奇心旺盛な二人の娘はちっとも眠気など見せずに私の言葉を待っている。

 ああ。

 そうよね。

 遥か昔の時間、私もこうして物語を教えてもらった。

 いずれ、この子達も自分の子供達に物語を伝えるのだろう。


「ははさまぁ。

 おはなしぃ~」

「おはなし~」


 待ちきれなかったのか、娘達は上半身を起こして私の顔を覗き込んでくる。


「はいはい。

 分かったから」


 優しく二人の娘に布団をかぶせてあげる。

 そう。

 私に師匠がしてくれたように。

 ついに師匠のあとは継げなかったけど、精一杯愛情を注いでくれた師匠。

 間違った道に進んでも私が間違いに気づくまでじっと待ってくれた師匠。

 私が結婚したときに既にこの世界から消え去っていた師匠。

 今もこの夜空の下、師匠はおとぎ話を歌っているのだろう。


 古い古い記憶。

 ほとんど忘れてしまった時間の記憶。

 けど暖かくて優しい思い出。

 脈々と受け継がれる思いの欠片。


「じゃあ、おはなしをしてあげる」

「わーい♪」

「おはなしぃ♪」


 そう。

 この光景をこの子達も思い出すのだろう。

 そしてこの子達の子供達も。

 その子供達も。

 おとぎ話は伝えられてゆく。

 その優しさと共に。


「むかしむかし……あるところに……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[気になる点] この世界での皇室や宮家って存在が語られるだけで登場はしませんが、現実と同じく象徴的天皇制になったって理解でいいのでしょうか?その点気になります。 複数の宮家が存続していて、君臨すれど…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ