あり奇たりな別れ
中二全開…^_^;
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これは12年前の話。
とある山の麓の小さな町で、5歳の少年とその両親は暮らしていた。どこにでもあるような、ごく普通の家庭。少年は、ごく普通に、幸せに暮らしていた。
しかし、その幸せは、ある日突然奪われる。
その日、少年は両親と夕食を摂っていた。幼稚園であった事などを、楽しそうに両親に話していた。その時、突然見知らぬ男が窓を割って家のなかに入ってきた。
「だ、誰だお前は!!」
父親が、少年と母親を庇うように男の前に立った。男は不気味な笑みを浮かべながら近づいてくる。
「あんたが"絶対回避"だな?それとも"撲殺皇"と呼んだ方がいいかい?暴力団の元リーダー、どんな攻撃でも、武器でも、能力でも、全て見切り、避け、叩き落とし、隣町の組のリーダー、"撃墜女王"を無傷で、更に素手で倒した伝説の男、霧神 霧宗さんよぉ。」
それを聞いた父親、霧宗の顔が強ばる。
「そんなのは昔の話だ。今は関係ない!!俺に何の用だ!!」
「撲殺皇がここにいるってのを聞いて来たんだが、まさか撃墜女王と結婚してたとはねぇ。丁度いいや。」
男がこちらを指差しながら叫んだ。
「お前らの能力、奪いに来たぜぇ!!」
そう言って、男は銃を取り出して撃ち始めた。
霧宗は素早く側にあったゴルフクラブを掴むと、男が撃った銃弾を全て叩き落とした。
「おぉ~凄い凄い!!撲殺皇は健在だねぇ!!」
男は銃を捨て、右手を前に突き出した。するとその手のなかに火の玉が現れた。
「これは打ち落とせねぇだろぉ?」
そう言いながら火球を撃ち出した。
「"火炎術"か。それなら避ければいいだけだ!!」
霧宗は火球を避けようとした瞬間、何かに気付いて避けるのをやめた。火球は霧宗に直撃。そのまま霧宗は二度と起き上がらなかった。
「よく気付いたねぇ!そうだよね!避けれないよね!避けたら大事な家族に当たっちゃうもんね!そんな家族思いな行動のお陰で俺は"絶対回避"ゲット♪」
男はゲラゲラ笑いながらこちらを見ている。
「さぁ、次はあんたの番だよ、"撃墜女王"、霧神 裡夜さん?」
母親の裡夜は、男を睨みながら能力を発動させた。
「絶対に許さない…!!"究極銃撃"!!」
裡夜の周りに無数の重火器が現れる。その全てが宙に浮き、男に照準を合わせている。
「銃撃開始!!」
裡夜が叫ぶと同時に全ての重火器が火を噴いた。
「わわっ!!チョーすげぇ!でも、」
男は全ての弾丸を回避しながら裡夜との距離を一気に詰める。
「"絶対回避"を手に入れた今、そんなの敵じゃないんだわ。」
そう言って、裡夜の腹にナイフを突き立てた。
裡夜はその場に崩れ落ち、動かなくなった。
「よっしゃ!!"究極銃撃"ゲット!!俺って最強♪」
男が笑う。そんな光景を見ながら、少年は酷く動揺していた。
この男は一体誰?"撲殺皇"ってなに?"撃墜女王"ってなに?父さんと母さんはなんでアニメみたいなことをしてるの?なんで二人とも動かないの?この男は、父さんと母さんから何を奪ったの?
男は少年に近づいていく。そして"究極銃撃"で創り出した銃の銃口を少年に向けた。
「悪いねぇ坊や。お前には興味ないけど、目撃者は消しときたいんだわ。あの世で両親に会えるといいなぁ!!」
そのとき、少年は小さな声で話し出した。
「………………………………………………………せよ。」
「あぁ?何か言ったか?」
「父さんと母さんから盗ったもの返せよ!!」
少年が叫んだ瞬間、場の空気が変わった。男が創った銃が消滅する。
「な、なんだよこれ!?じ、銃が…!?おい!?火も出ねぇぞ!?」
能力が全て使えなくなったことで、男はパニックに陥っていた。そんな男に、少年は、男が最初に使っていた銃を拾って銃口を向けた。
「お前なんか、死んじゃえ。」
少年が引き金を引くと、男は動かなくなった。
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学校を飛び出した俺は、路地裏に隠れて自分の能力について色々と試していた。
「この能力、意外と用途が多いな…!」
この能力はかなり応用が効くことが解った。取り敢えず能力を使いこなせるようになるために練習を繰り返した結果、ほとんど完璧に風を使いこなせるようになった。
だからと言って、気が晴れたわけではない。
俺はこの路地裏に潜むようになってからは、路地裏で悪事を働く暴力団やヤクザを能力を使って殺すことを日課としていた。正義の鉄槌と称して自分の行為を正当化したかったのだ。この前殺した奴が言うには、俺は悪人達の中で、"疾風の殺人鬼"と呼ばれ恐れられているらしい。この呼び名をそのまま俺の能力名にした。ただ意味もなく人を殺す。それが俺の日常になっていた。化け物と呼ばれても、悪者にはなりたくない。そんな甘い考えのせいで、自分が悪者に成り下がっていることに、俺は気付けていなかった。自分が殺してきた者達と自分、どちらがより悪に近いか。そんな簡単なことさえ判断がつかないのに、自分は正常だと、決して狂ってなどいないと思い込んでいた。いや、自分が狂っているのではないかという可能性を、考えもしていなかったのだ。
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昼休み。今日は雨が降っている。翔渡君が姿を消してから2週間が経った。この2週間の間、彼とは一切の連絡も取れなかった。彼は、私がどれだけ心配しているか分かってないのかな?いや、それは絶対にあり得ない。だって、彼がこの学校からいなくなる前にやった行動は、私から周りの連中の意識を遠ざける為だってことは気付いてるから。彼が最後にみせた表情は、私のことを心配してる顔だったから。
「分かってるけど、メールくらいしてくれればいいのに…」
つぶやいて溜め息をつく。
「なに?月詩ちゃん、また風裂君の心配してるの?」
「あんたとあいつが仲良いのは分かるけど、あんたまで巻き添え喰らっちゃうよ?」
「そうそう。まぁ、確かに風裂君はいい人だったけどさ。」
仲良くしてる友達が話しかけてくる。彼女達は少なくとも、翔渡君を化け物呼ばわりはしない。ただ、私が彼のことで迫害されることを心配してくれてるみたいだ。
「翔渡君は何も悪いことしてないのに、化け物なんて呼ばれるのはおかしいよ。あのときだって、落ちそうになってる子を助けただけじゃん。確かに、空を飛んだことは驚いたけど、ただそれだけでしょ?」
「私達はそう思ってるけど、気味悪がってる連中が多いのがこの学校の現状。風裂君のことを思ってるなら、あいつがわざわざ自分を犠牲にしてまでつくったこの状況を崩さないことが大事だよ。いつか皆も分かってくれるって。」
彼女達はそう言ってくれる。確かにそうかもしれない。でも、皆分かってくれるのかな?私は、自分の席で本を読んでいる霧神君の方に目を向けた。彼は翔渡君といつも一緒にいたけど、どう思ってるのかな?そんなことを思っていると、霧神君は携帯を取り出した。どうやら電話がかかってきたらしい。盗み聞きするつもりは無かったけど、彼の声に耳を傾けてしまう。
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昼休みになり、僕はいつも通り、一人で過ごしていた。教室はクラスメイトの声で溢れかえっている。本を読んでいると、携帯に着信が入った。表示された名前を見て溜め息混じりに応答ボタンを押す。
「はい、霧神です。学校なんだからかけて来ないでくださいよ。誰かに聞かれたらどうするんですか。」
『それは自分でどうにかしたまえ。それより、風裂 翔渡の居場所がわかったぞ。』
「風裂が見つかった!?どこでですか!?」
『最近能力を使ったヤクザ殺しが頻発している路地裏だ。犯人は、ヤクザ達の間で"疾風の殺人鬼"と呼ばれている。まだ断定は出来ないが、彼である可能性が高い。』
「そんな…」
『我々も彼が犯人だとは信じたくないよ。君の目で現場を見て、しっかり犯人を断定してくれ。』
「はい、もし彼が犯人だったときは……」
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(翔渡君が、見つかった…!?)
霧神君の会話の相手は、誰かは分からないけど、翔渡君の居場所が分かったらしい。
(良かった、無事だったんだ…)
私がほっとしていると、霧神君の口から、恐ろしい言葉が飛び出した。
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「もし、風裂が犯人だったときは……」
俺は受話器の向こうにいる上司に告げる。
「彼が犯人だったときは、僕が始末します。」
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(犯人…!?始末する…!?翔渡君を…!?)
どうやら、翔渡君は何か事件に巻き込まれてるみたいだ。
(霧神君についていけば、何か分かるかも…!)
私は、携帯をしまい何処かに出ていった霧神君の後を、見つからないように追いかけた。
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俺が隠れている路地に、予想外の人物が現れた。
「やぁ、久しぶりだね。」
「霧神…?どうしてここに?」
「ひとつ確認したいんだけど、最近、この辺の路地で起きている殺人事件の犯人は、君かい?」
いつもと違う霧神の雰囲気に、俺は少し身構える。
「そうだと言ったら…?」
霧神の目付きが鋭くなる。
「僕は、能力を使った犯罪の取締りをする組織に所属している。残念だけど、僕は、君を始末しなければならない。」
「なるほどね。すまないけど、俺はまだ死ねないんだ。執行猶予とか貰えないの?」
「それは無理だ。上の指示で、見つけ次第始末しろと言われてるからね…」
「ならしょうがないな。」
俺は能力を発動させて風を纏った。
「全力で逃げさせてもらうよ…!!」
それを聞いて、霧神は少し笑った。
「君ならそう言うと思ったよ。でも、逃げるなら、僕を倒してからにしてくれないかな。このまま逃がしたら、上から処罰されかねないからね。」
霧神が能力を発動させる。彼の周りに無数の重火器が現れる。
「僕の両親は、能力者に殺されたんだ。だから、僕は能力が嫌いだ。でも、今までたくさんの能力者を始末してきたから、その人数分の能力を持っている。能力なんていらないのに、皮肉な話だよ。だから、僕は3つの能力しか使わない。」
銃口が俺の方に向かう。
「一つは、母の形見、"究極銃撃"だ。」
え?まじで?あれを撃つ気かよ!?
「銃撃開始」
重火器が一斉に火を吹く。射撃音と薬莢が落ちる音が路地に響き渡る。
「ちょ、おまっ!それここで撃っていいもんじゃ無いでしょ!?」
「君は知らないだろうけど、君の能力は、使用者次第で危険度Aに指定されるほど強力なものになる。事件の痕跡からして、君はその域に達している。僕としても、君は手加減できる相手じゃないんだよ!」
俺は必死になって銃弾を回避する。避けられないものは風で作った剣で叩き落とす。
「驚いた。銃弾が見えてるのかい?」
「空を飛ぶ練習をしてたら動体視力がかなりあがっちゃってね。銃弾くらいなら肉眼で見えるようになったんだわ。」
銃弾を避けながら、剣を振るう。剣の軌道から風の斬撃が生まれ、銃弾に近いスピードで霧神に向かって飛んでいく。
「父さんみたいなことを能力無しでやるなんて、流石だね。じゃあ、僕の2つめの能力だ。」
霧神は目の前に迫った風の斬撃を、ギリギリで回避してみせた。
「お前も避けれるのかよ…!?」
「あぁ、これが俺の2つめの能力、"絶対回避"。父の形見だ。」
互いに斬撃と銃撃を繰り返す。だが、互いにそれを避け続ける。
(くそ!このままじゃ、能力じゃなくて実力行使で避けている俺の方が不利だ…!!)
俺は背後の壁を蹴り、風を纏って霧神に迫った。
(俺の最高速度は音速を越える。たとえ俺自体を避けても、衝撃波は避けられないはず!!)
銃弾を弾きながら音速で飛ぶ。
「なるほど、考えたね。確かにこの狭い路地では衝撃波までは避けきれない。でも、」
纏っていた風が突然消えた。俺は霧神の目の前で停止し、そのまま地面に落ちた。
「これが僕の3つめの能力、"現実重視"。能力を否定する、僕自信の能力だよ。」
そう言いながら、霧神は右手に銃を生み出す。
「マジかよ。自分は能力使えるのかよ…!?」
「すまないね、僕は意外と自分勝手なんだ。」
霧神が引き金を引く。数発は避けたが全弾は避けきれずに掠ってしまう。距離を取ろうと後ろに下がるが、バランスを取れずに壁にもたれるように座り込んでしまう。体に力が入らず、立ち上がることが出来ない。
「どう見てもこれ、悪人を追い詰める主人公の図だよな。」
戦うことを諦めた俺は、銃を持ってこちらに歩いてくる霧神に言った。
「確かに、そうかもね。」
霧神は少し笑って答えた。
「なぁ、霧神。ひとつ頼みがあるんだけど、いいか?」
「なんだい?」
「月詩に、愛してる、って伝えてくれないか?」
「分かった。伝えるよ。」
「ありがとな、頼んだぜ。」
「やっぱ、お前は主人公だな。」
俺は、苦しそうに、しかし口元に笑みを浮かべながら言った。俺はもうボロボロで、自らの血で赤く染まっている。
「どうやら、そうらしいね。」
霧神が言った。霧神も笑みを浮かべているが、その目は悲しみに満ちていた。
「さっさと終わらせてくれ。」
「分かった。……じゃあね。」
拳銃の引き金に指が掛かる。
「もし、違う世界で出会えてたら、親友のままでいられたのかな…………」
「……………そうかもな。」
引き金が引かれる。鋭い銃声は、雨音にかき消された。突然吹き出した風が、別れを告げるように、霧神の体を撫でていった。
が、俺は銃弾に撃ち抜かれることはなかった。
「どうして…!?」
「何でここに…!?」
霧神が引き金を引いたとき、俺と霧神の間に、人影が割り込んだのだ。
「ちゃんと言ってよ…」
「えっ…?」
「その言葉、ちゃんと直接言ってよ!!」
割り込んだのは、月詩だった!!
月詩は俺を庇うように霧神と俺の間に立った。
「月詩さん!?何でここに!?」
「昼休みに霧神君の電話を聞いて、不安になってついてきたの。」
「そうか、聞かれてたのか…。ところで、君は今、撃たれたはずなのに何で平然と立ってられるんだい?」
問いかける霧神に、月詩は答える。
「霧神君、能力の危険度ランキング見たことある?」
「あぁ、勿論だよ。」
「それの1位の能力覚えてる?」
「所有者までは見れなかったけど、危険度は最高ランクのSS、自分と自分が触れているものに対する全てを無視する能力……名前は確か、" 完全無視"だったかな?」
「その通りよ。」
「それがどうかしたのかい?」
月詩の周りに冷たいオーラが流れ出る。
「その能力の所有者、私なの。」
月詩が地を蹴る。ただそれだけで、まるで重さが無いかのような初速で霧神に迫る。驚いた霧神が銃を乱射するが、当たっているはずなのに体どころか服にすら傷がつかない。月詩は速度を落とさずにそのままの勢いで右足を振り抜く。霧神は"絶対回避"を使って紙一重で回避する。しかし、月詩は空中での重心を無視して右足で踵落としを決める。まともに受けた霧神が地面に叩きつけられる前に、更に空中でサマーソルトを決める。明らかに物理法則を無視している。
「これが…月詩の能力……!!」
霧神は近くにあった鉄パイプを掴んで月詩に向かって降り下ろす。月詩は胸ポケットからシャーペンを取り出すと、シャーペンを持っていない左腕で鉄パイプをガードする。何故か鉄パイプの方がへし折れる。何事もなかったかのように月詩はシャーペンを振るう。明らかにリーチが短いはずなのに霧神の胸に深い傷がつく。シャーペンの軌道の延長にあった鉄パイプや霧神の背後の壁までが切れている。距離を取る霧神に向かって月詩は胸ポケットに刺していたヘアピンを投擲する。ヘアピンは霧神の腹部を貫き壁に突き刺さった。霧神はもう立ち上がることさえ出来ない。
「ハァ…ハァ……、待った、僕の敗けだ。降参だよ…。」
「許さない。翔渡君を傷つける人は、誰であろうと許さないから。」
「覚悟は出来てる。やりなよ。」
「言われなくとも、そのつもりよ。」
月詩は倒れている霧神にシャーペンを投げつける。霧神は心臓をシャーペンに貫かれて、そのまま動かなくなった。
「翔渡君!!大丈夫?」
月詩が俺に駆け寄って来た。
「あぁ、なんとかね。」
「良かった…無事でいてくれて……本当に、良かった…。」
月詩は俺に抱きついて泣き始めた。俺はどうしていいか分からず、ただ月詩を撫でてやることしか出来なかった。しばらくして泣き止んだ月詩は、笑顔で言った。
「さよなら。今までありがとう。」
俺は、月詩が何を言ってるのか理解出来なかった。
「さよならってどう言うことだよ!?」
月詩は、苦笑いを浮かべて話し出した。
「私の能力はね、ただ無視するだけじゃないの。能力を解除したら、それまで無視してたものが全て返ってくるの。だから、能力を解除したら、死んじゃうの。」
「じゃあ、解除しなければいいじゃないか!!」
「そうしたいけど、無視したものが大きくなるほど、能力を維持できる時間が短くなるの。そろそろ限界なんだ。」
「そんな…!!ずっと俺の側にいてくれよ……!!」
泣き叫ぶ俺に、月詩は突然キスをした。
「最後にその言葉が聞けて良かった。」
月詩は照れ臭そうに笑った。
「実はね、能力の所有者が移るのは、殺された時だけじゃないの。本人が願えば、その人に譲渡することも出来るの。どちらにしても、能力は失うけどね。」
そう言いながら、月詩は俺の肩をつかんだ。
「私の能力、翔渡君に持っていてほしい。」
月詩はそう言って笑った。
「分かった……。」
「ありがとう。お願いね。」
「月詩、愛してる。ずっと一緒にいたかった…!!」
「私も、大好きだよ……!!」
俺は月詩を抱き締めた。身体の中に、何か暖かいものが流れ込んでくる。月詩の体から力が無くなっても、月詩の体が冷たくなっても、俺は、能力の反動でボロボロになった月詩を、ずっと抱き締めていた。
次で最後です。




