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あり奇たりな結末

どれくらい経っただろうか。抱き締めていた月詩つくしの亡骸は、"完全無視ノーリアクション"の反動で、既に原型をとどめていなかった。

それでも俺は、月詩を抱き締め続けた。


「よぉ、別れの挨拶は済んだか?」


気がつくと、武装した大勢の男達に囲まれていた。「組織」の援軍が到着したようだ。

俺は月詩に上着を被せて立ち上がる。


正直言って、まったく勝てる気がしない。

足が震える。


それでも、ここで死ぬわけにはいかない。

月詩が守ってくれた命を、ここで散らすわけにはいかない。


涙をぬぐい、叫ぶ。


月詩がくれた能力の名を。

月詩が残した形見の名を…!!


「"完全無視ノーリアクション"!!!!!!」


能力の使い方と知識は、能力とともに俺に流れ込んできたので把握済みだ。

この能力は、月詩のオリジナルの能力だが、元は自分の感情を無視する程度の能力、"感情無視クール"。これが覚醒して"完全無視ノーリアクション"になったらしい。


自分と自分が触れているものに対する全てを無視する能力。

感情を無視し、その感情に対する冷静さを生み出す能力。


この能力の限界は不明。持続時間は最長24時間。ただ、無視したものが大きくなると、その分持続時間が短くなる。

そして、時間切れ、もしくは能力の解除とともに、無視したものが跳ね返ってくる。

とは言っても、返ってくるのは自分自身に関するものだけ。例えば、さっき武器に使ってたヘアピンとかには何も起こらないらしい。


使い方は、無視したいものを思い浮かべるだけ。

さぁ、仇を取らせてもらおう。

怒りを胸に秘め、能力を発動させた瞬間、




周りを囲んでいた男たちと、周囲の建物が、すべて吹き飛んだ。




「……は?」




いつの間にか、俺の体は赤いオーラのようなものを纏っていた。

待て待て待て待て、"完全無視ノーリアクション"は、こんな能力じゃなかったはずだ。俺の"疾風の殺人鬼(か ま い た ち)"も、オーラを出したりはしない。


じゃあ、これはなんだ?


頭の中に、ふと、先ほどの知識が浮かんできた。


『この能力は、月詩のオリジナルの能力だが、元は自分の感情を無視する程度の能力、"感情無視クール"。これが覚醒して"完全無視ノーリアクション"になったらしい。』


"感情無視クール"についての知識を思い出す。

自分の感情を無視する程度の能力。

たいして珍しくもない、ランクの低い能力。

この能力は、希に反転することがある。

反転すると、自分の感情を高める能力"感情解放パッション"となる。


……反転?


"感情無視クール"が反転するなら、"完全無視ノーリアクション"も反転する…?


今自分が発動した能力を探る。


自分と自分に触れているものに対する全てを限界まで引き上げる能力。

感情を爆発させ、その感情に適する力を生み出す能力。



名称:"完全解放オーバーリアクション"



「オリジナルの能力が反転したってことは、これは俺のオリジナルって訳か。ネーミングセンスねーなぁ俺。てか……」



『私の能力、翔渡君に持っていてほしい。』



「………俺は、月詩の最後の願いすら叶えてやれねぇクズってわけか。」


俺はその場に崩れ落ちるように座り込み、"完全解放オーバーリアクション"を発動させた。

体の奥から何かおぞましいものが溢れ出してくる。

俺の体を、すべてを塗り潰すような黒と、冷たい青のオーラが覆い、足元の地面が凍り始める。

意識が薄れていくなか、俺は、ヤケクソ気味に呟いた。




「滅びろ、世界」




その日、地球は、人口の7割を失い、再び氷河期を迎えることになった。



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-

































▼▼▼▼▼▼


「うひょー、派手にやってくれましたねぇ。見てくださいよ。地球が真っ白。こりゃ温暖化なんて解決しちゃったんじゃないっすか?


いやー、それにしても、ほんと間一髪でしたねぇ。ヘリに乗るのが遅かったら、俺たちもあの氷像の仲間入りするとこでしたよ。あぶないあぶない。


これやったのって隊長の親友なんでしたっけ。すごいっすねぇ。ここまで強力な能力があるなんて知らなかったっす。帰ったらランキング修正しなくちゃっすねぇ。あ、帰る基地が凍っててそれどころじゃないっすね。


てか、隊長ー。いつまで落ち込んでるんすか?そりゃクラスの女子に全力で挑んで負けたうえに、使わないって決めてた他人の能力まで使わないと殺されるってところまで追い込まれたなんて、ぶっちゃげトラウマもんの黒歴史ってのはわかりますけどぉ。ちょっ!痛っ!痛いっす!!そんなに怒らないでくださいよぉ。


………まぁ、ここからは真面目な話になるっすけど、見つかったらしいっすよ。異世界への入り口。まさか本当にあるとは思ってなかったっす。


もちろん隊長なら行きますよね?だって、隊長は主人公なんですから。」


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