第3話 後編①
数日後。
旅の支度を済ませたリチャードのもとに老齢の村長がやってくる。
村長はリチャードの手を握り、穏やかな口調で告げた。
「村を救ってくれてありがとう。お主がいなくなると寂しくなるな。だがお前の夢を尊重するのが村の総意じゃ」
「こちらこそ今までありがとうございました。みんなは孤児の僕やニーナの面倒をずっと見てくれた。いつか恩返しさせてください」
「十分じゃよ。お主が倒した魔神の死骸が高額で売れるでな。これで村は安泰じゃ。しかし本当に貰っていいのか? 旅の資金に最適じゃが」
「もちろんです。村に対する感謝の印なので」
「お主は優しい子じゃな」
村長が微笑んだその時、鍛冶師のジョナサンがやってきた。
ジョナサンは布に包まれた細長い物体をリチャードに手渡す。
「感謝の印はありがたく貰うが、俺達の感謝も受け取ってくれよ」
リチャードが布を開くと、そこには灰色の短剣があった。
彼は柄を握りつつジョナサンに尋ねる。
「これは?」
「魔神の骨を削り出して作った短剣だ。色々と粗いがとにかく頑丈で、並大抵の武器より破壊力も高いだろう。今のお前にぴったりだ」
「ありがとうございます。大事に使います」
頭を下げたリチャードは、鞘に納められた短剣を腰に吊るす。
いよいよ出発というところで、今度はニーナが現れた。
ニーナは幾分かの躊躇いを見せた後、力強く叫ぶ。
「リチャード! 私も旅に出ることにしたの! 今は足手まといになるから一緒にいられないけど、いつか絶対に追い抜かしてみせるから!」
「ああ、お互い頑張ろう」
リチャードはニーナと握手を交わす。
ニーナは流れる涙を乱暴に拭って笑ってみせた。
その後、間もなく二人はそれぞれ別の方角へと出発した。




