第3話 後編②
日暮れ頃、リチャードは森の中を歩いていた。
やがて道が二つに分岐し、それぞれ別の方角へと続いていく。
リチャードは足を止めて悩む。
「どっちへ行こう……」
彼の脳裏では、最強の剣士になるための方法がいくつも浮かんでいた。
リチャードは腕を組んでそれぞれを検討する。
(無難なのは、王国の騎士になることだな。でも傭兵というのも悪くない。仕事を決めずに、情報を集めて各地の魔神を倒しに行く手もあるし……)
しばらく考えた末、リチャードは答えを保留することにした。
途方もない時間を戦闘だけに注いできた彼は、こういった判断力が鈍っていたのだった。
リチャードは道から少し外れた場所で野営を行う。
焚火で炙った干し肉を齧っていると、周囲の茂みに複数の気配を感じ取った。
彼は立ち上がって視線を巡らせる。
「ん?」
森の中は静寂に包まれていた。
広がるのは闇ばかりで、一見すると何の危険もない。
それでもリチャードは淡々と呼びかけた。
「何の用だ」
「……おっと、バレちまったかぁ」
木々の陰や茂みから現れたのは、十数人の盗賊たちだった。
彼らは下卑た笑みを湛え、武器を構えてリチャードを取り囲んで迫る。
「まあいい。殺して奪うだけだ。やっちまえ!」
盗賊の一人が叫んだ直後、他の者達が一斉に斬りかかった――否、斬りかかろうとした。
ところが彼らは動けなかった。
リチャードの纏う雰囲気が変貌したからだ。
禍々しい殺気が噴き上がり、それを浴びた盗賊たちは本能的に硬直する。
「な……ッ!?」
「他人を襲ったんだ。襲われて死ぬ覚悟もできているんだろうな?」
リチャードは冷めた目でそう述べる。
魔神の骨で拵えた短剣は淡い魔力の光を帯びていた。




