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第2話 前編
リチャードはゆっくりと目を開く。
彼はあまりにも見慣れた……否、見飽きた草原に立っていた。
眼前には棍棒を構えたゴブリンがいる。
「二千五百七十二回目……」
そう呟いたリチャードは前に進む。
ごく自然な動作で棍棒を躱すと、すれ違いざまにゴブリンの首を切り裂く。
見事な手際であったが、彼の顔に喜びはない。
むしろ瞳には陰鬱な色が見え隠れしていた。
そこに驚いた様子のニーナがやってくる。
「リチャード! さっきの攻撃どうやったの!? すごすぎてびっくりしちゃった」
「ニーナ、来てくれ」
リチャードは会話を遮り、ニーナの手を引っ張って歩き出す。
有無を言わせない行動にニーナは戸惑う。
「ちょ、ちょっと!? どうしたの?」
「すぐに分かるよ」
直後に村で爆発が起きた。
リチャードは淡々と説明を始める。
「ゴブリンの魔神が現れた。君は敵わないから待っててくれ。魔神には僕が代わりに挑む」
「何言ってるの!? 意味が――」
「僕の言葉を信じてくれ。もう君が死ぬところを見たくないんだ」
リチャードは真剣な眼差しで懇願する。
ニーナは息を呑み、何も言い返せなかった。




