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凡才剣士は死に戻りで最強に至る  作者: 結城 からく


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第1話 後編

 二人が村に辿り着いた時、無数のゴブリンが人々を襲っていた。

 指揮を執るのは、屈強な肉体を持つ紫色のゴブリンだった。

 ニーナは目を見開いて驚愕する。


「あれはゴブリンの魔神……」


 息を呑んだニーナは、刹那の逡巡を経て駆け出した。

 彼女は魔神に向かって突き進む。


「リチャードは村の皆と逃げてっ! あいつは私が倒す!」


「ニーナ!? 君は――」


 リチャードは何か言おうとした。

 しかし何も言えなかった。

 魔神の振るった大刀が、ニーナの胴体を斜めに切り裂いたのだ。

 分断される死体を見て、リチャードは膝をついて絶望する。


「そ、そんな……ニーナが……」


 無防備なリチャードを配下のゴブリン達が撲殺した。

 リチャードの視界が暗転し、次の瞬間には切り替わる。

 彼は草原でゴブリンと対峙していた。


「!?」


 混乱するリチャードは周囲を見回す。

 死の苦痛は消えているものの、記憶には深くこびりついていた。


「い、今のは……一体何が……」


 そこにゴブリンが飛びかかり、隙だらけだったリチャードを殺害する。

 直後に視界が切り替わり、リチャードは再びゴブリンと対峙した。

 彼はようやく状況を理解する。


「まさか……時間が戻っているのか……?」


 今度のリチャードは慎重だった。

 己の状況に戸惑いつつも、堅実な立ち回りでゴブリンを倒す。

 そこにニーナが走り寄ってきた。

 彼女は感心した様子で拍手をする。


「すごいじゃん! リチャードにしては見事な剣捌きだったね」


「ニーナ!」


 リチャードがニーナを抱きしめた。

 予想外の行動にニーナは照れる。


「ちょっと!? いきなりどうしたの。寂しくなっちゃった?」


「早く逃げよう! もうすぐ魔神が来るんだ!」


「何それ。こんな辺境に魔神なんて来るはずが……」


 会話中に村が爆発した。

 振り返ったニーナは血相を変える。


「えっ……本当に魔神が……?」


「だから不味いんだって。早くに逃げて――」


 リチャードが説得しようとしたところ、ニーナは村に向かって走り出した。

 驚いたリチャードは少し遅れて追いかける。


「ニーナ!? 待って! 駄目だッ!」


 リチャードは息を切らしつつ村に到着する。

 そこにはニーナの死体が転がっていた。

 死体のそばではゴブリンの魔神が下卑た笑い声を上げている。


 リチャードは目に涙を浮かべて崩れ落ちる。


「あっ……ああぁ……!」


 魔神がリチャードにゆっくりと近付いてくる。

 己の運命を悟ったリチャードは、憎悪を込めて魔神を睨んだ。


「わかった……お前を殺さないといけないんだな……」


 魔神が大刀を掲げた。

 リチャードは己の剣を喉に突き立てる。


「待ってろよ。いつか必ず倒してやる」


 迫る死に逆らうように、リチャードは己の刃で自害した。

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