第8話 後編②
「お主は魔神を倒せるほどの力を持っている。しかし、極端な鍛え方ばかりで安定性に欠ける。我と共に戦うならば、もっと実力を高めてもらわねばな。期待しているぞ」
言い終えたルカが霧散して消える。
エレアが大剣を構えたところで、リチャードは遮るように叫ぶ。
「待て! "雷天"のエレアだな!」
「……なぜ私の名を知っている」
「お前は有名人だからな。すぐに分かったんだ」
無論、リチャードはエレアのことを知らなかった。
一度目の戦闘で得た情報をもとに、咄嗟に嘘をついただけである。
リチャードは前に進み出て毅然と主張した。
「言っておくが、俺は魔神じゃない。むしろ魔神を殺している側なんだ。信じてくれ」
「…………」
エレアは黙り込む。
さらにリチャードは短剣を地面に置いて両手を上げることで、敵意がないことをアピールした。
(魔術を攻撃に混ぜる技……死を繰り返して真似してもいいが、相手は魔神じゃない。会話から引き出せるならそれが一番だ)
リチャードは、エレアが戦闘中に見せた技術を盗もうとしていた。
それが最強の剣士になるために必要だと判断したのだ。
長い沈黙の果てに、エレアが大剣を地面に突き刺す。
彼女は兜を脱いで素顔を晒すと、凛とした表情でリチャードに要求した。
「……まだ信用したわけではないが、君の名前……それと魔神の力を感じる理由を教えてくれ」




