第7話 中編
ルカはおもむろにリチャードの頭を掴むと、様々な角度に向けながら分析する。
「お主の時間戻し……何らかの魔神の権能のようだ。詳細は我にも分からないが……」
「魔神だと?」
「心当たりはあるか」
「一切ない。というか放せ」
リチャードはルカの手を払いつつ、彼女の分析を脳裏で反芻する。
湧き上がる疑問には嫌悪感が混ざっていた。
(俺はいつ魔神の力を……)
顰め面のリチャードを見て、ルカは愉快そうに問う。
「憎き魔神に生かされていたという事実が気に食わないか?」
「少し気になるが、拒むほどではない。この能力がなければ、俺は無力な村人のまま死んでいた。みんなのことも救えなかっただろう。だから、恨むどころか感謝すべきだろうな」
苦い表情ながらも、それがリチャードの本音であった。
ルカは納得した様子で頷いて話題を変える。
「ここにはもう用はない。移動するぞ」
「どこへ行くんだ?」
「近くに魔神の反応がない。しばらくは適当に移動だな。我の感知範囲に魔神が現れるまで動き続ける」
「わかった」
リチャード達は洞窟を出た。
その際、ルカはリチャードの頭を撫でつつ笑う。
「お主は何度も時間を戻して、必ず相手に勝つことができる。魔神狩りは我だけでも事足りるが、なんとも心強いことだな!」
「これからお前と共闘することになるのか?」
「状況によるな。お主はまだ弱い。我と肩を並べるにはまだ到底――」
刹那、リチャードは鋭い殺気を感じ取った。
頭上から落下してくる攻撃に合わせて、短剣を構えて防御する。
分厚い大剣を振り下ろしてきたのは、銀色の鎧と兜を纏う騎士だった。




