第5話 中編
黙り込むリチャードは、冷静にルカを観察する。
(ゴブリンの魔神の時と同じだ。やり直す力はまだ有効だったのか)
リチャードは骨の短剣に触れる。
しかし引き抜くことなく指を離した。
(駄目だ。今の俺では絶対に敵わない。こいつはゴブリンの魔神より遥かに格上だ。無限に再戦すればいつか超えられるかもしれないが……)
リチャードは眉間に皺を寄せて悩む。
彼には何度でも死ぬ覚悟、そして苦痛を耐え抜いて勝利を掴み取ろうとする執念がある。
一方で戦闘以外の選択を検討するだけの理性も兼ね備えていた。
(攻撃を仕掛けるのはいつでもできる。まずは話をしてみるべきか……?)
方針が決まったリチャードはルカに尋ねる。
「お前の目的は何だ」
「唯一絶対の魔神となることだ! そのために他の紛い物どもを殲滅する! 我は魔族を殺す魔族なのでな!」
得意げに宣言した後、ルカはリチャードに顔を寄せる。
彼女は不敵に笑って言葉を続けた。
「我はお主との結託を望むぞ」
「なぜ?」
「ほどほどに使えそうだからだ。まだ我の足元にも及ばんが、人間の領域を逸脱しつつある。そういうお主の目的は?」
問い返されたリチャードは迷うことなく答えた。
「最強の剣士になることだ。そして魔神を皆殺しにする」
「ほう、面白い。我以外の魔神なら、いずれ殺し尽くせるかもしれないな!」
愉快そうに笑うルカは、リチャードの首に手を回して問う。
「それで、どうする? 互いの目的は合致しているが、我と協力するか?」
「…………」
逡巡の末、リチャードは頷いた。




