第5話 前編
ルカの頭部が空中を回転する。
そして断面から赤い煙を出しながら静止し、その状態で怒鳴り散らした。
「だから斬るなと言っているだろう!? 貴様は何も学ばんのかっ!」
「……お前が魔神を殺す魔神だとして、俺が攻撃しない理由にはならない」
「目的が同じなら結託できるではないか! 少しは考えろ! 貴様は野生動物かっ!」
ひとしきり怒った後、ルカは咳払いをして落ち着く。
彼女はリチャードを見下ろして告げた。
「とにかく、我の話を聞け。それすらできないのなら、もういい。貴様を殺して立ち去るだけだ」
「俺は負けない」
リチャードはまたもやルカを斬ろうとした。
それを認識したルカは、蔑んだ眼差しで呟く。
「――愚か者めが」
赤い煙がリチャードに巻き付き、彼の肉体を一瞬で爆散させた。
リチャードの視界が暗転し、次の瞬間には切り替わる。
そこには誇らしげに名乗るルカの姿があった。
「我は血煙の魔神ルカ! 深淵の力を司る偉大なる王だ!」
「これは……」
リチャードは愕然とする。
何度も味わった感覚を通して、彼は自らの状況を正確に理解した。
(死んだことでまた時間が戻ったのか)
「どうした? 急に大人しくなったではないか」
何も知らないルカは不思議そうにリチャードを見つめていた。




