第4話 後編②
美女は堂々と名乗りを上げる。
「我は血煙の魔神ルカ! 深淵の力を司る偉大なる――」
発言の途中、いきなりリチャードが斬りかかった。
躊躇なき斬撃が魔神ルカを切り裂くも、その身体は煙となって瞬時に復元する。
ルカは自信満々に笑う。
「クハハ、無駄だぞ! 我が肉体に物理攻撃は――」
「黙れ」
リチャードは攻撃を止めない。
凄まじい速度の斬撃がルカに叩き込まれていく。
絶えず身体を復元させながら、ルカは渋い顔で唸る。
「ぬぅ、斬られると痺れるな……魔力を込めた斬撃か。微量だが凄まじい精度だ。なんと面倒な……」
ルカはリチャードから距離を取ろうとする。
ところがそれを察知したリチャードは、追いすがるように突進して斬撃を繰り返した。
「逃がすか」
数百回と斬られたルカは、とうとう怒鳴りつける。
「やめろォッ!」
叫びが衝撃波となり、リチャードを軽々と吹き飛ばす。
リチャードは空中で体勢を制御し、音もなく着地してみせた。
ルカはリチャードを指差して問い詰める。
「貴様! なぜ我に攻撃するのだ!?」
「お前が魔神だからだ」
「理由になっとらん! いくらなんでも理不尽だろう!」
ルカは頬を膨らませて怒りを表明する。
一方、リチャードは釈然としない様子で立っていた。
ため息を吐いたルカは髪を掻きながら推察する。
「その反応を見るに、貴様は魔神に恨みを抱いているようだ。違うか?」
「…………」
「我は魔神を殺す魔神だ! そこらの低俗な災厄どもと一緒にするな!」
「魔神を殺す魔神だと……?」
「信じておらんようだな。では証拠を見せてやろう!」
ルカが手を打ち鳴らす。
すると、彼女の体内から色とりどりの光球がせり出してきた。
リチャードは目を凝らし、光球を見つめながら呟く。
「……まさかそれは魔神の魂か」
「その通り! 我がこれまでに葬った魔神の成れの果てである! どうだ! 我について少しは理解でき――」
リチャードは、誇らしげなルカの首を刎ねた。




