第81話:超次元の翼、ブレイヴ・アーク発進!
ラース王国の巨大地下ドック。
そこには、魔法世界の常識を置き去りにした「鋼の奇跡」が鎮座していた。
国宝『星の涙』を動力炉の核とし、カイトの物理演算とナギのメカ工学、そしてテオの魔法理論が三位一体となって結実した、全長三百メートルを超える白銀の巨艦。
「……できた。あたしたちの、最高の傑作!」
ヘルメットを脱ぎ、額の汗を拭ったナギが、潤んだ瞳でその艦を見上げる。
その隣には、スパナを握りしめたまま呆然と立ち尽くすエルナとテオの姿があった。
「信じられません……。ただの鉄の塊が、これほどの神気を纏うなんて……」
「カイト様の設計図通りに組んだだけなのに、まるで艦自体に意思が宿っているようです!」
カイトは二人の言葉に深く頷き、艦のコンソールに最後のアセンプリコードを打ち込んだ。
管理者権限により、異世界の魔法を「動力」へと強制変換していく。
「ああ、意思は宿っているさ。……この艦の名前は、『超次元強襲艦ブレイヴ・アーク』。俺たちの『勇気』を、帝都の喉元へ突き立てるための矛だ」
艦のブリッジ。
メインオペレーター席には、特殊なヘッドセットを装着したリナが座っていた。
「リナ、回線の状態はどうだ?」
「バッチリだよ、カイト君! 私のアンテナ体質、今はフルブースト中。王都全域のマナをキャッチして、この子のサーバーに直結させてる。……帝都のジャミングなんて、私の愛で握り潰してあげるわ!」
リナの頼もしい宣言と共に、艦全体が蒼い光を放ち始める。
「各機、発進準備! ジェイ・ガスト、カタパルトへ!」
『了解した、カイト殿! 我が魂のブースター、すでに点火している!』
艦の下部デッキから、蒼天の翼を広げたジェイ・ガスト・リベレイターが飛び出した。
続いて、スミレのブラッディ・ネイルと、吹っ切れた表情のセレナが駆るホワイト・ヴィクトリーが、アヴァロンを先頭に艦の随伴へとつく。
「——全エンジンのリミッター解除。目標、帝都上空『絶対防空魔力場』!」
カイトがエンターキーを強く叩くと、ブレイヴ・アークの両翼から猛烈な光の粒子が噴射された。
轟音と共に、白銀の巨艦が重力を無視して垂直に上昇していく。
数分後。
カイトたちの眼前に、空そのものが物理的に歪んだような、禍々しい黄金の結界が立ち塞がった。
帝都が誇る難攻不落の『絶対防空魔力場』。
『フフフ……来たか、カイト。だが無駄だ。その程度の出力では、この世界の理で守られた壁は突破でき——』
通信回線に割り込んできたゼノンの嘲笑。
だが、カイトはそれを鼻で笑い飛ばした。
「ゼノン、お前の作った『理』は、あまりにも古すぎる。……今の俺たちの仕様には、通用しない」
カイトはセレナへと視線を送った。
「セレナ、準備はいいか。……お前の波長を、俺が『正義』のコードに書き換える」
「ええ……! 私の力、好きに使って、カイト!」
セレナから送られてくる魔力データを、カイトは一瞬で変換し、艦の主砲へとバイパスした。
帝都の兵器と同じ波長を持つ『キー』が、今や敵の防御を無効化する最強の『クラック・ツール』へと変貌する。
「——全演算資源を主砲へ集中! ブレイヴ・バスター、照射ッ!!」
ドォォォォォォォォォッ!!
ブレイヴ・アークの艦首から放たれた極大の光条が、触れるものすべてを分解しながら黄金の結界を貫いた。
世界の理が、音を立てて砕け散る。
『なっ……馬鹿な!? 防空網が……一撃で!?』
「——全速前進! 敵のメインサーバー(帝都中心部)まで最短距離で突っ込むぞ!」
砕け散る結界の破片を払い除け、白銀の勇者艦が帝都の空へと躍り出た。
眼下に見えるのは、九十九が築き上げた幾何学的な帝国都市。
カイトの瞳に、闘志の火が灯る。
管理者の押し付けた運命をデバッグするための、最終決戦の幕が上がった──。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
いよいよ第7章「帝都侵攻編」の開幕です!
勇者シリーズのロマンである「超巨大母艦」と、カイトの「論理」による結界破壊……。
セレナの秘密を「逆手に取って敵の防御を破る」という、なろう主人公らしいカタルシスを感じていただけたでしょうか?
「ブレイヴ・アーク、熱すぎる!」「ゼノンの驚き顔が目に浮かぶw」と思っていただけましたら、ぜひページ下部の【★評価】と【ブックマーク】で、カイトたちの突撃を応援してください!
皆様の★が、ブレイヴ・アークの「主砲出力」をさらに倍加させます!




