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第80話:ラース王国の決意と、異世界テクノロジーの融合(マージ)

空を覆っていた絶望の巨躯『テュポーン・フレーム』が消滅し、王都ラースに静寂と、それに続く割れんばかりの歓声が巻き起こった。


王都の中央広場。

 無事に帰還した『トリニティ・アヴァロン』と、王都を守り抜いた『アーマード・ジェイ・ガスト』。その足元へ、二人の若者が駆け寄ってくる。


「カイト殿! セレナ様! ご無事でしたか!」

「……はぁ、はぁ……。ものすごい、魔力収束でしたね……。計算機が、火を吹くかと思いました……」


声を上げたのは、凛々しい鎧姿の女性騎士エルナと、眼鏡の奥の瞳を白黒させて息を切らす神官の青年テオだった。

 かつて、王宮のガレージに運び込まれた機体の残骸を前に、いきなりスパナを取り出したカイトの奇行エンジニアしぐさに呆然としていた二人は、今や王都の防衛を担う立派な中核となっていた。


「エルナ、テオ。……ああ、こっちのシステム(機体)は正常だ。王都の被害はどうだ?」

「カイト様が通信を遮断してくださったおかげで、民の混乱は最小限です! テオも結界の維持、頑張ったんですよ!」


エルナが誇らしげに言うと、テオは照れくさそうに眼鏡を指で押し上げた。

 彼は神官であると同時に、カイトの影響を最も強く受けた「魔法技師」でもある。


「カイト殿の『解析デバッグ』の手法を参考に、結界の魔力回路コードを最適化したんです。……おかげで、僕のような気弱な神官でも、なんとか持ち堪えられました」


「……ふん、謙遜しすぎよテオ。あんたの回路構築、なかなかのものだったわよ」

 アヴァロンから降りてきたスミレが、ニヤリと笑ってテオの肩を叩く。


その後、一行は王城の作戦会議室へと場所を移した。

 円卓を囲むのは、カイトたち転移組と、ラース国王、そしてエルナとテオだ。


「——状況は以上です。帝都のゼノンは、セレナの魔力波長を狙っている。奴らが再び動く前に、こちらから帝都本国へ攻め込み、敵のメインサーバーを叩き潰します」


カイトの宣言に、会議室は緊張に包まれる。

 帝都を囲む強力な『絶対防空魔力場』。それをどう突破するかが最大の課題だった。


「その件ですが、カイト様……。僕に、提案があります」

 テオが、一通の古い魔導書と設計図を広げた。


「我が国の国宝『星のスター・クリスタル』……。その膨大な魔力を、カイト様の『物理法則』で変換すれば、帝都の防空網を突き破る『超音速の強襲輸送艦』を造れるはずです。……いえ、僕たちが造ってみせます!」


テオの言葉に、隣のエルナが力強く頷く。

「テオは、カイト様が以前仰っていた『エンジニアの誇り』という言葉に救われたのです。私たち現地人も、ただ守られるだけの存在ではいたくない。……どうか、お手伝いさせてください!」


二人の真っ直ぐな瞳。

 それを見た天才メカニックのナギが、パチンと指を鳴らした。


「決まりだ! テオの魔法理論と、あたしの『勇者警察世界』のメカ工学……これをガッチャンコ(マージ)すれば、最高にイカした船ができる! エルナちゃんも、資材搬入のリーダー、頼むよ!」


「はいっ、ナギ殿! 精一杯務めさせていただきます!」

「あ、あの……ナギ殿、その、あんまり急かさないでくださいね……?」


ナギの熱量に振り回されつつも、テオの表情には技師としての悦びが滲んでいた。


「——よし、ナギ。テオとエルナ、それに王宮の技師たちをまとめて『強襲輸送艦』の建造ビルドに入れ。俺はセレナとスミレの機体の最終調整を行う」


「了解!」


カイトの号令が飛ぶ。

 かつてスパナ一本で魔法世界を驚かせた男の周りには、今やその背中を追う現地の若者たちがいた。

 異世界のテクノロジーと、魔法世界の伝統、そして人々の意志が一つに混ざり合い、帝都打倒への『究極の翼』が形作られていく──。

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