第78話:進化する神の顎(あぎと)。神理の上書き(ロゴス・オーバーライド)!
「——世界と結合してる? なら話は早い。……『地脈のシステム』ごと、俺が今ここで全部書き換えてやる」
カイトの両手が、発火するほどの速度でアヴァロンのキーボードを叩く。
『無駄だ! 貴様の機体ごときで、世界の地脈の奔流を処理できるはずが——』
「——俺を誰だと思ってる。ただのエンジニアじゃない、この世界の『管理者』だ」
カイトは、後輩である九十九の狂った論理に破られた『あのコマンド』を打ち込んだ。
今の俺たち(トリニティ・アヴァロン)なら、この技の真のポテンシャルを引き出せる!
『世界の理を喰らい、自分の論理で再定義せよ。──ロゴス・イーター、起動!!』
アヴァロン——いや、トリニティ・アヴァロンの周囲に、かつてないほど巨大で、禍々しいほどの神気を孕んだ『蒼い電子の顎』が具現化する。
「カイト! テュポーンの修復触手が来るわ!」
右腕部の『ブラッディ・ネイル』からスミレが叫ぶと同時、迫り来る赤黒い地脈の奔流。
それがトリニティ・アヴァロンに触れる直前、蒼い顎がそれを真っ向から『捕食』した。
バキバキバキッ!!
「——ッ! すごい情報量……! アヴァロンのストレージが悲鳴を上げてるわ!」
左腕部の『ホワイト・ビクトリー』で、セレナが青ざめる。テュポーンの莫大な魔力と古代の構造データが、逆流するようにカイトのシステムへと流れ込んできたのだ。
だが、新管理者となったカイトの演算能力は、それを完璧にコンパイル(変換)していく。
【システムログ:莫大な権限データの捕食を確認】
【対象の地脈接続を奪取……成功】
【スキル『ロゴス・イーター』の自己進化を実行します】
「……やっぱりな。九十九には弾かれたが、純粋なシステムデータの塊なら、今の俺の権限で問題なく喰いきれる!」
カイトの視界で、スキルが新たな名前へと上書きされる。
敵のシステムを喰らい、自らの権限で世界そのものを書き換える神の牙。
「——自己進化、完了。お前の論理、俺のシステムで丸ごと使わせてもらうぞ。……行けっ、『神理の上書き(ロゴス・オーバーライド)』!!」
進化した蒼い顎が、テュポーンの巨体そのものに喰らいつく。
『ば、馬鹿な!? テュポーンの……帝都のシステムが、逆に吸収されていくだと!? 貴様、ただの神を超えたというのかカイトォォォッ!!』
ゼノンの絶叫と共に、テュポーンへの魔力供給が完全にストップした。
無限の修復を失い、ただの巨大な的となったテュポーンへ向け、カイトは奪い取った地脈の全エネルギーを、三機の武装へと限界までチャージする。
「スミレ! セレナ! トリニティ・ブラスター、全門開放!」
『了解!!』
漆黒、純白、真紅の三色の極光が一つに交わり、神の雷となってテュポーンを撃ち抜く。
断末魔すら残さず、帝都の誇る最強の古代兵器は、跡形もなく完全に「フォーマット(消去)」された。
『おおおおっ!! やったぞ!! カイト殿が、巨大な化け物を打ち倒した!!』
王都で防衛にあたっていたジェイ・ガストとリュウジ、そしてナギの歓声が通信越しに響く。
王都の民衆も、絶望から一転、勝利の喜びに沸き返っていた。
「……ふぅ。やれやれ、とんでもないパッチ当て作業だったな」
カイトはコクピットで大きく息を吐き、緊張を解く。
だが——勝利の余韻に浸る間もなく、カイトの目の前のモニターに『不可解なエラーログ』が浮かび上がった。
それは、先ほどロゴス・オーバーライドでテュポーンから「捕食」した古代データの一部。
「……おい。なんだ、この隠しディレクトリ(ファイル)は……?」
カイトが眉をひそめる。
解析された古代兵器の魔力波長。それが、横のサブシートから送られてくるある人物の波長と、ピッタリと『完全一致』を示していたのだ。
「……カイト? どうしたの、そんな怖い顔をして」
通信画面越しに、不思議そうに首を傾げるセレナ。
カイトは、信じられない思いでそのデータと彼女を交互に見比べた。
「セレナ……。なんで、帝都の古代兵器のシステムデータが……お前の『フォーン・ブレイブ家』の魔力波長と一致するんだ……?」
「え……? 嘘でしょ……?」
セレナの顔から、さっと血の気が引く。
世界のバグを消し去った直後、カイトたち転移組の足元を揺るがす「最大の謎」が、突如として牙を剥いた──。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
かつて九十九に敗れた技が、神の権限によって『ロゴス・オーバーライド』へと進化! 帝都の超巨大兵器を完全粉砕しました!
そして戦いの後、突如として判明するセレナと帝都(古代兵器)の繋がり……。
いよいよ物語は第6章「帝都強襲編 〜偽りの鍵と、真なる世界兵器〜」へと突入します!
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