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第56話:デバッグ開始:3世代先の力を見せつけろ

【驚愕】アヴァロン、動く。……これ、同じ「ロボット」って呼んじゃダメなやつですよね?【リナch. 収録モード】


「……皆さん、お疲れ様です。リナです。

 今、私は魔法学院の巨大な訓練場に来ています。

 目の前には、金ピカの装甲を自慢する貴族さんたちの魔法機甲が三台。

 対するは、カイトくんの『アヴァロン』と、リュウジさんの『ジェイ・ガスト』。


 ……あ、審判が手を挙げました。……始まりますよ!」


 ***


 ──ラース王立魔法学院、第一訓練場。


「——異界の『賢者』とやら! 我ら王宮直系、魔法騎士候補生の誇りを知るがいい! 出け、ゴールド・ランス!!」


 貴族の少年──アルフォンスが叫ぶと、三台の魔法機甲が蒼い蒸気を噴き上げながら突撃を開始した。

 

 地面を揺らす重厚な足音、魔法銀の配管から漏れる魔力のスパーク。

 この世界の住人から見れば、それは「力」の象徴だった。

 だが、コックピットの中でコンソールを見つめるカイトには、それが壊れかけのポンコツが悲鳴を上げているようにしか見えなかった。


「……出力トルクが不安定、関節の同期に0.5秒のラグ……。……おまけに、重心移動の計算がマニュアル(手動)かよ」


 カイトは呆れたように呟き、隣を並走するリュウジに通信を入れる。


「リュウジさん、ガスト。……30秒で終わらせて、次の解析シゴトに戻りましょう」


『……了解だ、カイト殿。……生徒達に、本当の「規律」を教えてあげよう』


 ──シュンッ!!

 次の瞬間、アヴァロンとジェイ・ガストが「消えた」。

 

 実際には消えたわけではない。アヴァロンの魔導回路が、周囲の魔力を100%効率で推進力に変換し、魔法機甲のセンサーが捉えきれない「高周波機動」を行っただけだ。


「なっ、消え……!? どこだ、どこへ行った!?」


「——遅いな。……お前の背後、脆弱性バグだらけだぞ」


 カイトの声が、アルフォンスのコックピットに直接(魔法通信で)響く。

 振り向こうとするゴールド・ランス。だが、その巨体は、アヴァロンの軽く添えられただけの掌打一発で、激しい火花を散らして沈黙した。


「……ガッ……ハ……!? 動かない、……魔力が、……循環が止まった……!?」


「——魔法神経のバイパスを一点、一時的に遮断シャットダウンした。……今の設計じゃ、そこを叩かれるだけでシステム全体が『ハングアップ』するんだよ」


 一方で、リュウジのジェイ・ガストは、残りの二台を文字通り「玩具」のように扱っていた。

 

 巨大なドリルと重火器を構えるジェイ・ガストは、敵の放つ魔法弾を紙一重の回避で全ていなし、最小限の接触で敵機の武装だけを正確に破壊していく。

 それは「戦闘」ではなく、熟練の職人による「解体作業」だった。


「……ば、化け物か……。……これが、……異世界の技術なのか……!?」


 観覧席で見守っていた教師たち、そしてエルナやテオが息を呑む。

 

 アヴァロンの動きには、無駄な蒸気も、耳障りな金属音もない。

 ただ、洗練された「機能美」の塊が、静かに、そして確実に敵を無力化していく。

 

 わずか20秒。

 訓練場の土煙が晴れた時、そこには無傷で立つ二台の魔導機と、無様に転がる三台の鉄クズ、そして腰を抜かした貴族たちの姿があった。


「……カイト様、……リュウジ様……。……何という、……何という美しさ……」


 訓練場の出口で出迎えたエルナの瞳は、崇拝の念で潤んでいた。

 

 だが、カイトは勝利の余韻に浸ることもなく、制服のネクタイを緩めながら、端末の画面に視線を戻していた。


「……エルナ、テオ。……悪いが、祝勝会は後にしてくれ」


「……えっ? ……どこへ行かれるのですか?」


 カイトは歩みを止めず、城のガレージに安置されている「ある物」の方角──帝国の斥候部隊から回収した、あの四本腕の魔法機甲の残骸へと意識を向けた。


「……あんな子供騙しの『決闘』より、……もっと厄介なバグ(敵)を見つけた。

 ……あの四本腕のコード、……さっきの戦闘データと照合したら、やっぱりおかしい」


 カイトの瞳に、元38歳の社畜エンジニアとしての鋭い光が宿る。


「……あの設計思想……。

 ……魔法を、……『オブジェクト指向』で記述してやがる。……この世界マギアの住人の発想じゃない。

 ……九十九ツクモと言ったか。……そいつの『ソースコード』、……徹底的に暴いてやる」


 カイトの背後で、アヴァロンのメインモニターが、未知のプログラムの解析デバッグ開始を告げるログを激しく流し始めた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

第56話、圧倒的な「実力差」を見せつける決闘回でした。


「魔法=神秘」として扱う現地の学生に対し、それを「ただのバグ」として処理するカイト。そしてラスト、ついに九十九の「技術的な共通点」に確信を持ち始めるヒキ……。


「アヴァロンの動きがスマートすぎて濡れる!」「九十九とのエンジニア対決が楽しみ!」と思っていただけましたら、評価、感想、ブックマークなどで応援いただけると嬉しいです!

皆様の評価が、カイトの『対・九十九用デバッグツール』の精度を上げます!

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