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第38話:オーバーライト・ザ・ワールド:世界の理を穿つ俺達の絆

■ 地獄からの脱出

「……カイト、しっかりしなさい!

 またあんたを失うなんて、私のプライドが許さないわよ!!」


スミレの叫びが、アヴァロンのコックピットに響く。

すべてのパワーを使い切ったカイトは、指一本動かせないほどの疲れに襲われていた。


瞳の青い光は消え、今は「人間」としての体温だけが彼を包んでいる。


「……スミレ、さん……。セレナ、も……無事か……?」


「はい……。私は大丈夫です。……カイトさん、戻ってきてくれて、ありがとうございます」


セレナがカイトの震える手を、両手でギュッと握りしめていた。

彼女の涙が、カイトを「神の領域」から「人間の世界」へと引き戻したのだ。


だが、安心しているヒマはない。

まわりでは巨大な機械が次々と爆発し、天井からはコンクリートの塊がドカドカと降ってきていた。


『——警告。あと180秒でここは崩れます。……出口はすべてふさがれました』


アヴァロンの機械的な声が絶望を告げる。


「……全ルート封鎖だと?

ふざけるな。……道がないなら、今ここで『作り直す』までだ!!」


カイトは、マヒしたような指をムリやり動かし、キーボードを叩いた。

彼の中には、暴走した時に味わった「世界のルールを書き換える感覚」が、まだ熱く残っている。


「スミレさん、ブラッディ・ネイルの全パワーをアヴァロンに送れ!

 セレナ、ホワイト・ヴィクトリーの計算能力を俺に貸してくれ!

 ……三人の力を一つにまとめて、この絶望をぶち抜く!!」


「……了解よ! 最高の『パッチ』、当てなさいよね!」


「はい、カイトさん! 私の全部、使ってください!」


二機のボロボロなロボットから、青と赤の光がアヴァロンへと集まる。

三人の心が一つになった瞬間。カイトの視界には、崩れる壁の「一番もろい場所」が光の網目となって浮かび上がった。


「——そこだッ!!」


アヴァロンが、七色の光をまとった拳を突き出す。

それはただのパンチではない。壁という「物体」を、一時的に「通り抜けられるデータ」に変える魔法のような技術だ。


ドォォォォォォンッ!!


三機はつながったまま、崩れ落ちる地獄の底から地上へと一直線に飛び出した。


背後で基地が完全に消え去り、巨大な穴が開くその瞬間。

月明かりの下、砂煙を切り裂いて三機が姿を現した。


■ 束の間の平和、そして……

「カイトくーーーーーんっ!!」


着地したアヴァロンのハッチが開くよりも早く、名前を呼ぶ声が響いた。

ドローンの電波を追いかけて駆けつけていた、リナだ。


「バカ! 心配したんだから! 配信なんてどうでもいいくらい怖かったんだからぁ!!」


リナが、フラフラしながら降りてきたカイトの胸に飛び込む。

彼女の温かさと、泣きじゃくる声。

それこそが、死ぬ思いで戻ってきた証だった。


「リナさん……。……ありがとな。君の声が、外の世界を思い出させてくれた」


カイトはリナの肩を叩き、スミレとセレナを見つめた。

三人のヒロイン。ボロボロになった三機のロボット。

ようやく、すべてが終わったのだ。


■ 新たなバグの予感

だが、カイトの視界の端。

喜びを切り裂くように、一通の「あやしい通信」が画面に飛び込んできた。


『……素晴らしい「目覚め」だったよ、カイト。

君が作り出した究極のプログラム、たしかに見せてもらった』


カイトの背中に、氷のような寒気が走る。

黒騎士を操っていた、本当の「黒幕(管理者)」たちの声だ。


『次は「回収」の時間だ。……君のその能力は、世界を作り変えるために我々がいただく』


通信はそれだけでは終わらなかった。

アヴァロンのセンサーが、リナに抱きつかれて微笑むセレナを映し出す。


その胸元で、カイトが見たこともない「黄金の紋章」が一瞬だけ不気味に光った。


『……そして、セレナ。

「聖女」という名の、我々の最高傑作。

君が自分の正体を知った時、はたして君は……まだその男の隣にいられるかな?』


「……カイトさん? どうしたんですか?」


何も気づいていないセレナの、きれいな瞳。

だが、カイトの手元の端末には、彼女の体から出ている

「人間には不可能なエネルギー波形」が、残酷な事実として記録されていた。


「……なんでもない。……帰ろう、俺たちのガレージへ」


カイトは、震える手でその通信を消した。

わかっていた。


スミレを助け出したこの勝利は、もっと恐ろしい「神様たちの遊び」の始まりに過ぎない。

そして、セレナに隠された「世界を壊す秘密」が、四人の絆をふたたび引き裂こうとしていることを――。

——三章・完。

——四章『聖女の覚醒』へ続く。

お読みいただきありがとうございます!

三人の命がけの脱出、そしてリナとの再会……。

第25話から始まった『魔道ハック 叛逆のエンジニア』、これにて完結です!


ですが、物語の歯車は止まりません。

カイトの覚醒した力を狙う『管理者』たち。

そして、セレナの胸に浮かび上がった黄金の紋章。

彼女が『最高傑作』と呼ばれる理由とは!?

さらなる強敵と、セレナちゃんの過酷な運命を巡る物語になります。


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